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【特別企画】”音の遅れ”を徹底排除したサブウーファー

ECLIPSE「TD725sw」が最高峰であり続ける理由

2013/01/25 鴻池賢三
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■イコライザーによる音の"汚染"と"遅れ"

一般的なサブウーファーは、アンプに加えてイコライザー回路を内蔵している。しかし、イコライザーが音に汚染と遅延を引き起こす原因となってしまうことは見過ごされがちだ。実は、次のようなメカニズムで、実際に弊害が発生しているのである。

例えば、イコライザーである音域を2倍の音量に強調するとしよう。イコライザー機能を何気なく使っているときには、元の波形の振幅を簡単に2倍にする方法があるように考えてしまうが、実はここに大きな落とし穴がある。イコライザーに実際に使われているIIR型フィルターの動作原理は、元の波形に無限長の残響を加えることで実現している。つまり、一定時間聴いていると、残響の足し算で、その帯域の音が大きく聴こえるというカラクリである。

図1は、元の波形とイコライザーをかけた後の波形の比較だ。一見振幅はほとんど増えていないが、3番目のグラフのように波形を拡大すると、残響が長くなっていることがわかる

<図1>

図1の3番目の波形は、図2のように簡略化することができる。A1とA2が元の波形。A3以降はイコライジングのために作り出された残響成分だ。イコライザーの使用により、本来の音楽信号には含まれない成分が付加されてしまう。

<図2>

イコライザーを通した後の波形を見ると、残響成分が合成されて振幅が2倍に見えるし、聴感上も音圧が2倍になって聴こえる。ただし、ここで忘れてならないのは、イコライザーを通した後の波形は、元の波形に忠実ではなくなるということだ。音の最小単位となる波形(インパルス応答)を捉えて時間軸で展開すると、聴感上の音圧を増加させているのは、残響音の集合体であることが分かる。

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