公開日 2026/10/07 18:26

JBL、AIギターアンプ/スピーカー「BandBox」で憧れのアーティストと擬似セッション。音楽を“使う”新体験

プロ向けアクティブスピーカー「3 Series MkIII」も先行披露
編集部:原田郁未
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ハーマンインターナショナルは、JBLをはじめとする各ブランドからこの秋冬以降に登場予定の新製品をいち早く披露するイベント「HARMAN ExPLORE TOKYO 2026」を開催した。

会場では、フロアごとにテーマやカテゴリーを分けて展示を実施。「Space O:音楽クリエイターフロア」では、音楽を「聴く」ことから一歩進んだ、「演奏する」「練習する」「作る」といった楽しみ方が提案されていた。

音楽制作環境を再現した展示

プロのアーティストから、これから音楽を始める人まで、幅広いユーザーに向けたこのフロア。DTMの制作環境や家庭のリビングをイメージした展示の中心に置かれていたのが、クラウドファンディングで成功をおさめたAI搭載スマートギターアンプ/Bluetoothスピーカー「JBL BandBox Solo」「JBL BandBox Trio」だ。

楽曲からギターだけを消して、自分が演奏!AIステム分離を体験

BandBoxシリーズの最大の特徴は、楽曲をパートごとの音源に分ける「AIステム分離」機能。プレゼンテーションでは、生成AI処理に特化したプロセッサーを活用していると説明された。

Bluetoothで入力した楽曲を本体内でリアルタイムに解析し、ボーカル、ギター、リズム/その他の楽器といった複数のステムに分離する。クラウド処理に依存せず、BandBox単体で解析できることもポイントだ。

AIによる判別でギター、ボーカル、その他楽器などを分離してオンオフ操作ができる

実演は、一般的なBluetoothスピーカーと同じように楽曲を再生するところからスタート。そのままAI機能を使うと、まずボーカルが消え、続いてギターの音を抜き出すなど、再生中の楽曲が目の前で変化していく。さらに、楽器の音を消してボーカルだけを残した状態で、スタッフが接続したギターを生演奏。アーティスト本人の歌声をバックに演奏する、疑似的なセッションも披露された。

音源から分離したアカペラに、生演奏が加わるパフォーマンスを披露

ギタリストなら原曲のギターを消してコピー練習に、ボーカリストなら歌声を消して歌唱練習に活用できる。特定のパートだけを取り出し、フレーズや歌い回しをじっくり聴き込むといった使い方も可能だ。

JBLでは、こうした体験を「音楽は『受動的に聴く』から『積極的に使う』へ広がりをみせる」と表現する。ストリーミングで音楽を楽しむだけでなく、TikTokなどへの動画投稿やダンス、演奏、音源加工など、楽曲を能動的に活用するユーザーにも訴求する。

アンプもエフェクターも練習機能も。音作りから録音まで1台で

BandBoxは、ギターやマイクを直接接続して使えるアンプでもある。プレゼンテーションでは、合計44種類のアンプ/エフェクトを搭載すると紹介された。ゲート、コンプレッサー、ワウ、モジュレーション、ディレイ、リバーブなどのエフェクトに加え、アンプやキャビネットのシミュレーターを用意。それぞれのパラメーターを細かく調整し、好みの音を作り込める。

様々なエフェクトを本機のみでかけることができる

本体でプリセットを呼び出せるほか、「JBL One」アプリからは、より詳細な設定が可能。会場でもギターを接続し、アンプシミュレーターやエフェクトを切り替えることで、音色が変わっていく様子を確認できた。

練習をサポートする機能として、チューナー、メトロノーム、ドラムマシン、ルーパーも内蔵する。ドラムマシンにはロックやファンク、ジャズなどのリズムを用意し、伴奏に合わせて演奏できる。

ルーパーを使えば、自分で弾いたフレーズを録音し、その上に演奏を重ねることも可能。フレーズの練習はもちろん、曲のアイデアを練る際にも活用できそうだ。さらに、USB-CでPCに接続すると、オーディオインターフェースとしても利用できる。BandBoxで作ったギターサウンドをそのままPCに入力し、DTMや配信へとつなげられる。

マルチな機能を訴求するBandBox

「JBL BandBox Solo」は、外形寸法約150W×87H×55Dmm、質量約530gと片手でも持てるコンパクトなモデル。屋外やキャンプ先に持ち出して演奏する使い方も想定している。

ドライバー構成は、55mm径フルレンジドライバー1基とデュアル・パッシブラジエーター。出力は18W RMSで、周波数特性は73Hz - 20kHz(−6dB)となる。

JBL BandBox Solo

上位モデルの「JBL BandBox Trio」は、Soloの機能をベースに、出力や入出力、操作性を強化したモデルだ。165mm径ウーファー1基と25mm径シルクドームトゥイーター2基を搭載し、出力は135W RMS。周波数特性は50Hz - 20kHz(−6dB)となる。外形寸法は344W×265H×228Dmm、質量は6.65kgで、バッテリー駆動時間は約10時間。

JBL BandBox Trio

本体上部にはディスプレイと操作部を備え、4チャンネルミキサーも内蔵。アプリを使わず、本体だけでミキシングや音作り、各種設定を行えるという。また、外部出力から、より大規模なスピーカーシステムへ接続することも可能。練習からライブまで、使用する環境に応じてシステムを拡張できる。

Trio本体上部のモニター部分

楽器を弾かない人にも。好きな歌声を聴き込む楽しさ

BandBoxシリーズは、一般販売に先駆けて2026年5月ごろから8月末までクラウドファンディングを実施し、支援総額は1億円を突破したという。

インフルエンサーによるコンテンツも随時投稿された

支援者の約半数はギター経験者/ギタリストだった一方、約20%は楽器を演奏しないユーザーだったとのこと。参考展示を行った店頭でも、楽器を演奏しない来場者がAIステム分離に関心を寄せ、「好きなアーティストのボーカルだけを聴く」といった体験に反応するケースがあったそうだ。

多彩な機能を扱うための操作画面にも力が入っている。BandBoxのユーザーインターフェース「JBL BandBox App Experience」は、「iF DESIGN AWARD 2026」で最高位のiFゴールドアワードを受賞。アンプシミュレーター、エフェクト、チューナー、AIステム分離、ルーパーなどを一元管理できるUIが評価されたという。

次世代プロ向けアクティブスピーカーからパーティースピーカーまで幅広く展示

同フロアには、BandBox以外にも、制作や演奏、歌唱などに向けた製品が並んでいた。国内ではヒビノ(株)が取り扱っているプロ向けアクティブスピーカーのカテゴリーからは、新スタジオモニター“3 Series MkIII”が参考展示。「308P MkIII」「306P MkIII」「305P MkIII」の3モデルが披露された。

プロ向けスタジオモニター新モデル “3 Series MkIII”も展示

いずれも新設計のウーファーとClass Dアンプによるバイアンプ駆動を行う設計とのことで、81通りのDSPルームチューニング機能により多様な制作環境に最適化できる点も特徴。308P MkIIIは8インチ(203.2mm)ウーファーと110WのClass Dアンプ、306P MkIIIは6.5インチ(165.1mm)ウーファーと110W Class Dアンプ、305P MkIIIは5インチ(127mm)ウーファーと86W Class Dアンプをそれぞれ搭載するモデルとなっている。発売日/価格はまだ未定だ。

さらに、リアルタイムAIボーカルリムーバル機能を搭載したポータブルタイプのパーティースピーカー「PartyBox Encore 2 Plus」、ポータブルBluetoothスピーカー「JBL GO 5」、小型マイクシステム「EasySing Mic Mini」なども紹介された。

リビングテーブル風の展示でコンパクトモデルも紹介

こうしたスピーカーやマイクシステムの活用例として、路上ライブやカラオケに加え、街頭演説などで使われるケースもあると説明された。音楽制作から身近な場所での演奏、音声の拡声まで、用途の広がりを感じさせる展示となっていた。

また、製品紹介の中ではJBLとギター/楽器用スピーカーとの関わりについても紹介された。BandBoxには、同社が長年培ってきた楽器再生の歴史がつながっているという。

初期の代表的なスピーカーユニット「D130」は、レス・ポールやレオ・フェンダーからも評価され、Fender Twin ReverbなどにもJBLのユニットが採用されていたとのこと。かつて一部のユニットで型番末尾に使われていた「F」が、Fenderに由来するというエピソードも披露された。

ロック創成期のサウンドを支えたJBLのルーツと、AIをはじめとする現代の技術。その両者を結び付けた製品がBandBoxだと説明する。スピーカーやヘッドホン、イヤホン、プロオーディオなどを通じて音楽を届けてきた同社は、今後、AIを軸とする新たな音楽との関わり方も提案していく考えだ。

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