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【評論家コメントあり】「家庭に置けるRGB MiniLEDテレビ」。ハイセンス、「RGB U9S」説明会で魅力をアピール
ハイセンスジャパンは、RGB MiniLEDバックライト搭載4K液晶テレビ「RGB U9Sシリーズ」のメディア向け説明会を開催。実機デモンストレーションを交えながら画質を始めとする同機の実力をアピールした。
同シリーズは、5月に国内投入された最上位「RGB UXSシリーズ」に続き、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色をバックライト段階から独立制御する「RGB MiniLED」を採用したハイエンドモデル。すでに製品発表済みだが、今回は実機を一堂に並べ、画質や音質、上位モデルとの差、製品企画の狙いなどをより詳しく説明する機会として設けられた。
会の冒頭では、同社の李 建波副社長が挨拶。「RGB技術とテレビ事業を日本で拡大したい」と意欲を示した。
製品説明は同社商品管理部の趙 明昊氏が担当。説明会では、マーケティング関連の最新トピックス紹介、実機による比較デモ、タッチ&トライも実施された。
RGB MiniLEDを“普及価格帯”へ。55型もラインナップ
2026年の同社製テレビのラインナップは、RGB MiniLED採用の最上位「RGB UXS」、その下に今回の「RGB U9S」、従来方式のMiniLEDを採用する上位モデル「U8S」、さらに「U7S」と続く構成。ハイセンスではU9Sを「RGBのセカンドフラッグシップ」と位置付け、RGB MiniLEDをプレミアムテレビ市場へ広く浸透させる役割を担わせている。
U9Sのラインナップには55型も用意する。プレミアムテレビは最小サイズが65型以上から展開されるケースも多いが、U9Sでは55型にもRGB MiniLED、低反射・広視野角パネル、Devialetによるサウンドチューニングといった主要要素を投入した点も特徴のひとつだ。
同社によれば、日本では設置スペースの事情から55型へのニーズも大きく、「この技術を現実的に家庭へ置けるサイズでも届けたい」との考えがあるという。今回は実現しなかったものの、50型まで広げることも検討したかったとの発言もあった。
ハイセンスがRGB MiniLEDの主なメリットとして挙げるのは、より自然でリアルな色、高い発光効率と省電力性、そしてブルーライト低減の3点。
ハイセンスは米CTA(Consumer Technology Association)のメンバーとして、「真のRGB MiniLEDとは何か」という業界側の定義づくりにも関わっていると説明。単に「RGB MiniLED」という名称を掲げるだけでなく、RGBの光源構成や制御方式に一定の基準を設ける動きを進めているという。
説明会に出席したメディアからは「RGB UXSとU9Sはスペック表を見るとかなり似ているが、具体的には何が違うのか」という質問も。
これに対しハイセンスは、画像処理エンジンなど多くの部分は共通であるとしつつ、低反射性や視野角に関する技術、音響システムなどに違いがあると説明。
例えば共通点では、RGB MiniLEDバックライトの基本技術も同じで、色域についても両シリーズともBT.2020最大100%となり、この部分の色表現能力は同等。端子周りも基本的に同等で、HDMIは4系統を備えている。
そして、スピーカーも両モデルともハイファイオーディオブランドであるデビアレとのコラボレーションによるもの。ただし、 UXSが上位グレードの「Devialet|Opéra de Paris」であるのに対し、U9Sでは「Tuned by Devialet」となる。
製品説明でRGB MiniLEDそのものと並んで強くアピールされたのが、「ARコート低反射広視野角パネルPro」だ。U9Sでは広視野角パネルにAR低反射処理を施し、室内照明などの反射を抑制。正面だけでなく、斜め方向から視聴した場合にもコントラストや色を保ちやすくすることを狙う。
また説明会では、9月1日から一部機種にSpotifyアプリを追加する予定であることも紹介された。2026年モデルを中心にアップデート対応する計画で、具体的な対応機種については別途案内するとしている。
その他のトピックスとして、フラグシップの100型「RGB 100UXS」が東京国立博物館・平成館に採用されたこと、2026年上半期の100インチ以上テレビ出荷台数で、ハイセンスが世界シェア55.1%を獲得し1位になったことなどを紹介した。
スポーツマーケティングでは、プロ野球、Jリーグ、ソフトボール、FIFAワールドカップなどに続き、「B.LEAGUE 2026-27 SEASON」のオフィシャルスポンサーに就任したことも説明。熊本での災害支援にも触れ、元サッカー日本代表の巻誠一郎氏を通じた支援として、テレビ10台とスポットエアコン40台を寄付したとした。
実機比較で見えたRGB MiniLEDの画作り。“派手さ”より色の情報量を重視
ここからは、会場で実施された実機比較の内容を紹介したい。
会場には左から85、75、65、55型のU9Sが並べられた。最初にハイセンスが店頭向けに制作したRGB MiniLEDのデモ映像を再生し、その後、他社製テレビも並べて「色」「コントラスト」「動き」の3項目を中心に比較した。比較時には、映像モードを「ダイナミック」に統一したという。
色再現のデモで興味深かったのは、ハイセンスが「他社機の方がピーク輝度そのものは高く見える場面もある」と説明していたことだ。
テレビの店頭デモでは明るく鮮やかな画面が目を引きやすいが、輝度を上げすぎると明るい部分で色が飽和し、黄色の中に含まれる微妙な色差や細部が失われる場合があるという。
U9Sでは、RGB MiniLEDが持つ高い光量と色純度を活かしつつ、ピーク輝度だけを最大化するのではなく、「明るさとカラーボリュームのバランス」を重視していると説明。
夕日やネオンなど、“鮮やかな色そのものが強い光を持つ”映像はRGB MiniLEDが得意とする一方、RGBバックライトを使えば自動的に高画質になるわけではない。映像処理側のチューニングが適切でなければ、その素性を活かせないというのがハイセンスの考えだ。
自然風景を使った比較では、赤から朱色、オレンジへと連続するグラデーションを確認した。ハイセンス側は、一部の比較機では特定の色が強く出ることで色差が圧縮され、自然界ではやや不自然に感じる色になる場合があると説明する。
こうした赤/オレンジ系の階調は人物の肌にも多く含まれるため、単なる風景映像だけの問題ではない。U9Sでは「派手にする」よりも、色相間の細かな違いを残し、肌や自然物を含めた階調のつながりを整えることを重視しているという。
RGB MiniLED固有の課題にも踏み込んだ。RGB MiniLEDでは、赤、緑、青の発光素子が物理的に別々の位置に存在する。この3色を常に「RGB、RGB、RGB……」と同じ並びで配置すると、発光位置のずれが一定方向へ積み重なり、映像の境界によっては色にじみやクロストークにつながる可能性があるという。
分かりやすい例として挙げられたのが、ニュース番組などで「赤い帯の上に白文字」が載る画面。バックライト側の赤の位置関係によっては、本来白い文字まで赤やピンクがかったように見える場合がある。
同社では、隣り合うブロックでRGBの順番を単純に繰り返すのではなく、RGB、BRGなどと配列を変化させ、特定色の位置的な偏りを相殺するよう設計。RGB素子の物理配置まで含めて色にじみを抑えていると説明した。
高輝度部分でも同様に、単純に光量を稼ぐのではなく、白飛び、色飽和、輪郭の消失を避けることを重視するという。RGBバックライトの高い輝度能力を画面全体の派手さに振るのではなく、ハイライト部に残る細かな色や質感を保ち、映像全体として階調を成立させるチューニングを採る。
ARコートの比較は、黒い画面や暗い映像を表示し、スマートフォンのライトなどの映り込みを観察する形で行われた。比較機では照明の光が画面上の広い範囲に拡散して見えるのに対し、U9Sでは反射が広がる範囲を抑えている、というのが同社の説明だ。
正面だけでなく斜め方向からも比較し、U9Sは広視野角パネルとの組み合わせによって、視聴位置がずれた場合の反射と色抜けを抑えるとアピールしていた。
また、明るい字幕や文字の周囲にバックライトの光が漏れて見える、いわゆるハローについても説明があった。MiniLEDでは、正面から見た際には目立ちにくいハローが、斜め45度付近から見ると強調されることがあるという。比較デモでは、字幕や価格表示などの白い文字周辺を使って光漏れの違いを確認した。
動きの比較では、ハイセンス社内で制作したという、倍速処理の破綻が分かりやすいテスト映像を使用した。細かな模様を持つ物体や高速移動する被写体などを使い、残像、カクつき、補間の乱れを比較。U9Sでは144Hzパネルと映像処理を組み合わせ、より滑らかな動きが得られると説明していた。
実際の他社モデルとの比較では、処理が間に合わず映像が重なって見える部分があったのに対し、U9Sではそうした現象を抑えたスムーズな映像を訴求した。
評論家はU9Sをどう評価する?
説明会の参加者には、オーディオビジュアル評論家の折原一也氏の姿も。ファイルウェブ編集部では、今回のデモを通じたU9Sの印象や、ハイセンスのRGB MiniLEDテレビラインナップについて話を聞いた。
折原氏は、上位モデルのRGB UXSについて「最高峰」「モンスターモデル」という印象を持つ一方、U9SについてはUXSほど物量を投入したモデルではないものの、バランスよく作り込まれていると評価。
下位のU8SからU9S、UXSへとラインナップが自然につながっており、RGB MiniLEDによる色の良さだけでなく、総合的な完成度を重視した製品との印象を述べた。特に音質への評価は高く、「テレビ単体の音としてかなり良い」とし、Devialetによるチューニングについても高く評価していた。
開発スタッフによると、U9Sの強みは「2026年のテレビ業界で最も注目されている技術のひとつであるRGB MiniLEDを、かなり手頃な価格から体験できること」だという。
「市場でも最も手頃なRGB MiniLEDのひとつ」であり、最先端のテレビ技術を試してみたいユーザーへ提案したいという。
特に、55型を28万円台から用意した点は大きい。最上位テレビの100型や85型には憧れても、日本の住環境では導入できないユーザーは少なくない。その層までRGB MiniLEDの選択肢を広げられるか。U9Sは、2026年に一気に競争が激しくなったRGB MiniLEDテレビ市場で、ハイセンスが「技術を先行して見せる」段階から、「実際に普及させる」段階へ移ったことを示すモデルと言えそうだ。

























