ハイセンス本社幹部「日本市場は非常に重要」。W杯・RGB MiniLEDテレビ…成長戦略のキーポイントは?
4Kテレビの新たなトレンドになりつつあるRGB MiniLEDテレビ。他社に先駆けて製品を市場投入し、そのトレンドを牽引しているのがハイセンスだ。
同社の本拠地である中国・青島(チンタオ)にて、ハイセンス本社グローバルマーケティングセンターの方雪玉社長と、ハイセンスジャパンの張喜峰社長に、製品戦略や日本市場への思いを聞くことができた。
世界での売上高5兆3000億円超え。ハイセンスが描く成長戦略とは?
方氏はまず、ハイセンスが現在160以上の国や地域で様々な製品を販売し、2025年のグループ全体の売上高が2244億元(約5兆3000億円)を記録したことを説明。グローバルなブランドとして大きな成功を収めていると述べた。
ハイセンスでは現在、ビジネスにおいて“6つの柱”を据えている。その6つとは「グローバル戦略」「徹底したローカライゼーション」「自社ブランド育成」「技術開発への継続投資」「スポーツマーケティング」「効率的な事業買収と異文化融合」だ。
「なかでもグローバル戦略には非常に重きを置いている」と方氏。企業買収やスポーツマーケティングといった柱を組み合わせ、世界規模での成長を目指しているという。

運営のローカライズという点では、本国である中国を「1」、その他の地域を7つに分割して各地域に運営センターを置く「1+7」戦略でビジネスを展開しているとのこと。
日本におけるハイセンスジャパンのように、各国で現地法人を設立しての販売やアフターサポート、地域ごとのR&Dセンターによる研究開発なども行っている

上述した売上のうち、中国以外での売上は全体のおよそ半分となる1107億元(約2兆6100億円)で、中国以外の地域でのシェアも順調に成長していると同社は説明。特にテレビや冷蔵庫ではトップシェアであったり、上位3位以内を獲得している国も多いという。
企業買収による事業拡大については、日本でも2018年に東芝映像ソリューション(現TVS REGZA)を買収したことを覚えている人も多いことだろう。
この買収後、レグザは日本国内でトップシェアを獲得するまでに成長した。ちなみに、レグザ製テレビもハイセンスが各国で販売しているが、海外では東芝(TOSHIBA)ブランドで展開されている。

また、日本以外の国々でも例えば、キッチン家電などを展開するスロベニアのgorenje(ゴレニア)など、世界各地で様々なブランドをグループに迎えている。
そのほか、中国国内でも科龍(ケロン)や容声(ロンシェン)といった白物家電ブランドを傘下に持ち、それぞれのブランドを保ちながらのマルチブランド戦略で業績を伸ばしている。
「日本は非常に重要な市場のひとつ」
方氏は「日本は非常に重要な市場のひとつであり続けている」とコメント。「2010年のハイセンスジャパン設立以来、ハイセンスは日本市場のユーザーニーズにしっかり寄り添いながら、着実にブランドへの信頼を積み重ねてきた」と言葉を続ける。
もちろん、戦略の柱のひとつである「徹底したローカライゼーション」は日本でも実施されている。
ハイセンスジャパンによるマーケティングやアフターサポートだけでなく、R&Dセンター(技術研究所)を日本にも開設し、上述のコメントのように、日本のユーザーのニーズに応える製品開発の研究を続けている。
一方で、「日本市場は世界的に見るとユーザーニーズが少し特殊な市場であり、そこに特化した製品を開発する必要がある」とコメント。日本のユーザーは品質への要求レベルが非常に高く、デザインや細かな部分にまでこだわる傾向にあるという。
こうした日本のユーザーニーズにあわせて、研究開発もハイエンドモデルの開発に注力していくと方氏は説明、「ハイセンスが持っている技術を日本にあわせて投入していくことが重要だと思っている」とし、日本のユーザーからの声に応えられれば、それが製品の研究開発に活き、さらに良い製品開発できるようになると語った。
なお、日本における現在のハイセンスはテレビのシェアで2位を獲得するまでに成長しているが「まだ日本のユーザーに認められていないと感じている」と方氏。
「例えば南アフリカでは、ハイセンスは中国ブランドではなく現地のブランドだと思われるくらいになっている。日本のユーザーは特に日本ブランドへの信頼が厚いが、ハイセンスも同様に日本のブランドだと思われるくらいになれるよう、しっかり活動していきたい」とした。
また、日本におけるハイセンスのブランドイメージを、もっとハイエンドなものにしていきたいとも説明。多機能・高性能なのに安価で購入できる“コスパがいいブランド”ではなく、RGB MiniLEDテレビを始めとするハイクオリティな製品を多数展開するハイエンドブランドとしての認知度を向上させていきたいと語った。
また、ビジネス環境という点でも日本市場は優れていると紹介。日本の企業や人々は誠実であり、ビジネスをするための信頼感があるとも述べた。
方氏は先日、とある日本の販売店との会談で日本を訪れたとのこと。「1時間程度の会談だったのだが、そのために往復6時間をかけた。我々がどれだけ日本を重要視しているかお分かりいただけるエピソードではないか」と語る。
また一方で、「急遽の訪日が決まった際には、即座に3社もの販売店が時間をとってくれた。日本の販売店の皆様からもハイセンスを支持していただいていると感じている」と言葉を続けた。
そして方氏はあらためてグローバル戦略の重要性に言及。
「ハイセンスをグローバルブランドへと成長させるためには、中国、日本、欧米といった重要市場を同時に深く開拓していくことが欠かせない。日本市場において消費者から長期的な信頼を獲得することは、ハイセンスのグローバル化の歩みにおける非常に象徴的かつ重要なブレークスルーとなるだろう」と述べた。
「RGB MiniLEDテレビの投入でさらなるシェア拡大を目指す」
日本市場での活動については、ハイセンス アジア太平洋地域センターとハイセンスジャパン両方の社長である張喜峰氏が詳細を説明。「レグザを買収し、映像エンジンを共同開発した好影響などもあり、ハイセンスグループの日本におけるテレビ市場での競争力が向上した」などと述べた。
日本の現地法人であるハイセンスジャパンが設立されたのは2010年。以降、テレビの販売から始まって、冷蔵庫や洗濯機といった白物家電も展開したり、サービスセンターを開設してのアフターサポート体制の構築、そしてR&Dセンター開設などで日本市場への現地化を図ってきた。
また、綾野剛さんや横浜流星さんをブランドアンバサ―に起用したり、横浜DeNAベイスターズやサンフレッチェ広島のスポンサーになったりと、製品以外の面でも様々な活動を展開。「日本でもしっかりブランドを起ち上げられた」と振り返る。

特にテレビについては、2025年の日本市場でのシェア3位を獲得。「2026年はRGB MiniLEDテレビを投入することで、さらなるシェア拡大を目指す。実際に、第1四半期はシェア2位を獲得できた」と、日本でもハイセンスのテレビが受け入れられていることを紹介した。
このように、日本でも順調に存在感を増しているハイセンスだが、前述の方氏のコメントにもあるように、さらなるブランド認知向上を図っていきたい考えを持っている。方氏らへのインタビュー後には、ハイセンスジャパンでマーケティング部長を務める家倉宏太郎氏からも「日本市場におけるハイセンスブランドの認知活動をさらに加速させていく」とのコメントがあった。
サッカーW杯などスポーツマーケティング手法も深化
上記の横浜DeNAベイスターズやサンフレッチェ広島へのスポンサードにも現れているように、ハイセンスはスポーツマーケティングを積極的に展開している。その最たる例が、サッカー・FIFAワールドカップや、UEFAチャンピオンズリーグへの協賛だろう。ワールドカップへの協賛は今年2026年のカナダ・メキシコ・アメリカ大会で3大会目になる。
最初の協賛となった2018年のロシア大会では主にスタジアム広告などでの活動が中心だったが、今回はVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)用ディスプレイの公式パートナーとして大会運営を支援するなど、関わり方が深化。高リフレッシュレートやRGB MiniLED技術によって、スポーツ観戦に最適な視聴体験を提供しているという。
ちなみに、ハイセンスは民生用のテレビだけでなく、放送業界向けのマスターモニターも手掛けていたりする。今後、こうした技術力がスポーツの各種大会で活用される日が来るのかもしれない。
また、世界規模の大会に協賛する一方で、例えば日本でも小学生年代のサッカー大会「ハイセンスカップU12」を川崎市で開催するなど、草の根レベルでもスポーツを支援。
「勇気を持って前に進もうというスポーツの在り方は、ハイセンスの企業理念にも通じるものがある。スポーツマーティングはユーザーとの接点づくりに非常に有効だと思っている」と説明した。
そして、こうした様々な活動でハイセンスへのブランド認知を広げ、製品にも信頼を持ってもらえるように取り組んでいると説明。「世界トップクラスのブランドを目指して、一歩一歩確実にグローバル化を深めている」とした。
なお、今回の取材ではRGB MiniLEDテレビについてのより詳しい話を聞くこともできた。そちらは別途あらためてレポートする予定なのでご期待いただきたい。
