公開日 2024/06/13 10:00

オーディオテクニカ、新旗艦MCカートリッジ「AT-ART1000X」。コイル形状刷新で出力向上

「AT-ART1000」の設計思想・デザインを踏襲
編集部:松永達矢
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
オーディオテクニカは、新フラグシップMCカートリッジ「AT-ART1000X」を、7月12日(金)に発売する。価格は770,000円(税込)。6月22日・23日に開催されるOTOTEN同社ブースでは本モデルのデモ機出展も予定されている。

「AT-ART1000X」

アナログリスニングのさらなる理想を追い求めたとする「Excellence」シリーズから発売された、 “ダイレクトパワー方式”を採用のMCカートリッジ「AT-ART1000」の後継モデル。設計思想とデザインを踏襲しながら、音質、および出力電圧の向上を念頭に開発を実施。音楽表現にさらなる磨きを掛けたと同社はアピールしている。なお、AT-ART1000は、AT-ART1000Xの発売に伴い終売するが、アフターサポートは継続して提供される。

ダイレクトパワー方式とは、発電コイルをカンチレバーの真上に配置する機構で、前モデルAT-ART1000で初採用された独自方式だ。発電コイルをカンチレバーの根元に配置する従来方式と比較し、カンチレバーの長さや材質に起因する音質への影響を抑制できると説明する。

AT-ART1000Xにおける一番大きな変更点として、発電コイルの形状を刷新。前モデルAT-ART1000では、丸型の発電コイルを使用していたが、本モデルでは角型発電コイルを新たに開発し、搭載する。コイル形状を角型にすることで、一定の音溝への変位に対して大きな磁束の変化量が得られるため、出力電圧の向上に繋がったと説明する。また、出力電圧の向上に伴い、低域の聴感上の周波数レンジの拡大、高解像度の音像描写を実現したとのことだ。

発電コイル形状を丸型から角型へと刷新

コイル素材は、前モデル同様φ20μmのPCOCC線を使用。1.1mm×0.6mmの長方形で8ターン巻くことで成型。極薄25μmの特殊フィルムで保持し、わずか0.5mmの強力な磁気回路中のギャップに配置することで、コイルコアに非磁性体を用いた空芯型ながらコイルインピーダンス3.5Ωで、0.22mVの出力電圧を獲得した。インピーダンス値の向上については、「丸型コイルよりも角型コイルの方が、若干ではあるが使用コイルの長さが異なる」として、結果的に増えたと説明している。

出力ピン部

AT-ART1000Xでの角型コイルの搭載については、「AT-ART1000発売時には丸型コイルの成型が精一杯だった」と同社カートリッジ部門・チーフエンジニアの小泉洋介氏がコメント。製造上、角型成形は非常に難しいとのことで、巻線機などのオートメーションでは無く専用の治工具を作成し、町田市・成瀬工場にて専任のスタッフが1台1台ハンドメイドで製造を行なっているという。

前モデルからのさらなるブラッシュアップポイントとして、構造上露出する磁気回路に新たにコーティングを実施。前モデルにおいては、パーメンジュールのヨーク表面に腐食が見られたとのことで、特に構造上スペースのない発電コイルを内包する磁気ギャップ部分は腐食による異物の蓄積が促進されるケースがあったとのこと。耐食性能を向上させた磁気回路コーティングを新たに施すことで、長期間に渡って安定した性能維持が見込めるとのことだ。

長期におけるパフォーマンス維持のため、磁気回路にコーティングを施す

磁気コーティングは最終決定に至るまで、複数種類のマテリアルを試したと説明。トライ&エラーを重ね、製品仕様においては「耐食性を獲得しながら音の変化は無い」コーティングを施したとアピールしている。

さらに、カートリッジ取り付け穴にネジ切りを追加。AT-ART1000発売以降、同社のカートリッジ取り付け穴はネジ切りタイプにシフトしており、本モデルもそれに倣う形で構造を新たにした。

ほか仕様はAT-ART1000を踏襲。スタイラスチップとカンチレバーには、同社上位製品に採用されている特殊ラインコンタクト針と、φ0.26mmソリッドボロンカンチレバーを採用する。ボディは、異なる素材を組み合わせたハイブリッド構造とすることで音質に悪影響を与える寄生共振を分散。専用磁気回路と振動系を支えるベース部にチタニウム削り出し材、ハウジングにはアルミニウム、カバーには硬質樹脂材を使用する。

ボディは異素材を組み合わせたハイブリッド構造で寄生共振を分散

針圧についても前モデル同様、ひとつひとつの個体を測定・調整し2〜2.5gの間で最適な値を個体ごとに割り出して明記したカードを備える。そのほか付属品として非磁性体ドライバー、ブラシ、ワッシャー、カートリッジ取り付けビス、未使用時保管用の天然無垢のタモ材を採用したカートリッジケースを同梱。ケースには、シリアル番号をレーザー刻印した透明のアクリルプレートが設けられており、鑑賞して楽しむこともできる。

測定・調整の上で個体ごとに適正な針圧を明記

未使用時保管用の天然無垢のタモ材を採用したカートリッジケース

再生周波数域は15Hz - 30kHz、チャンネルセパレーションは30dB(1kHz)、出力バランスは0.5dB(1kHz)、推奨負荷抵抗は30Ω以上(ヘッドアンプ接続時)となる。外径寸法は、17.0W×17.3H×25.5Dmm、質量は11g。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 スーパートゥイーター沼への誘い。フォステクスが引き出すマルチアンプ・パラゴンの桃源郷
2 HDRがもたらす画質の革新! ダイナミックレンジの進化で画質はどう良くなる?
3 究極の「音」は電源から。出水電器が贈るロジウムメッキ・ブレーカーの衝撃
4 順位の変動が激しいブルーレイレコーダー。1位はパナソニック「DMR-2W103」<ビジュアル&関連製品売れ筋ランキング3月>
5 EarFun、AmazonスマイルSALEでイヤーカフ型やANC対応の完全ワイヤレスが安く。セールと併用できるクーポンも公開中
6 ESOTERIC・TAD・OCTAVE ハイエンド プリメインアンプ比較試聴会。秋葉原テレオンで5/16開催
7 シリーズ60周年記念イベント「ウルトラマンの日 in 杉並公会堂」7/10開催。『ティガ』オリジナルキャストも登壇
8 コナン/マリオ/プラダを着た悪魔etc...最新映画の「前作」はどこのサブスクで観られる?
9 オーディオリプラス、航空機グレードアルミ合金削り出しボディの電源ボックス「SAA-4SZ-MK2-RU」
10 ユキム、YUKIMU SUPER AUDIO ACCESSORYの静電気除電ブラシ「ASB-1」を値上げ
5/1 14:36 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー200号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.200
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • analog Grand Prix