VGP2026でデノンAVアンプが7モデル金賞!プロの絶対的信頼を勝ち得る魅力を紐解く
デノンは、AVアンプにおいてエントリーからフラグシップまで、フルラインナップを備えており、パワーアンプの内蔵数をはじめ、搭載する機能の違いによって、整然と構成されている。そして、開発コンセプトである「The World’s First」を、自社のAVアンプに課す使命として貫いている。
最新のイマーシブオーディオフォーマットにいち早く対応して、エンドユーザーに届けてきたことも、「The World’s First」を掲げる所以だろう。以前は、Dolby Atmosの実用化に際して、米ドルビーラボラトリーズがデノンのアンプにプロセッシングとデコードプログラムをインストールし、実証実験を積んだ経緯はよく知られている。
立体音響への対応だけでなく、音楽再生についても同様だ。ネットワーク再生のプラットフォームである「HEOS」をいち早く上位機から下位機まで対応させ、Hi-Fiオーディオで話題となった「Qobuz Connect」もカバーする。そしてHDMIの進化にもきめ細かくフォロー。デノンAVアンプは、いつの時代も「観る」「聴く」の最前線を走っているのだ。
長年積み重ねてきた姿勢は、多くのオーディオビジュアルファンの心を掴んでおり、オーディオビジュアルの総合アワードである「VGP2026」にて、特別賞受賞モデル含む計7モデルが部門金賞に輝いた。本稿では、金賞受賞モデルを中心に、改めてデノンAVアンプの魅力に触れていきたい。
家庭用Dolby Atmosのフルスペックである15chを実現した世界初の最上位AVアンプ
まず、デノンAVアンプのフラグシップであり、VGP2026では連続6期の部門金賞を成し得たモデルだけに授与される「殿堂入り」を果たした「AVC-A1H」から紹介していく。
本機は、2007年に発売された「AVC-A1HD」以来、16年振りに登場した最上位機。ドルビーとの協業の過程で送られてきたテストディスクから、15ch(9.1.6ch)が家庭用のDolby Atmosのフルスペックと受け止め、完璧に再現するリファレンスの実現に勤しんだという。そうして完成した世界初の15ch一体型モデルだ。
各chの定格出力150Wに対応する「15ch モノリス・コンストラクション・パワーアンプ」を搭載しており、15ch同時出力を支える強力な電源部として、同社で最もパワフルな約11.5kgの特注電源トランスをはじめ、高音質パーツを細部にまで採用する。
DACには、ESS社製のHi-Fiグレード2ch・32bit DACを10個使用しており、クロックにも超低位相雑音クリスタルを投入。内部振動を最小限にまで低減する構造「トリプル・レイヤー・コンストラクション」や、大電流タイプのパワートランジスタ「Denon High Current Transistor(DHCT)」など、Hi-Fiオーディオコンポーネントを彷彿させる高音質パーツが惜しみなく盛り込まれている。
「AVC-A1H」、圧倒的なワイドレンジとS/Nを実現したイマーシブサウンドの不動のベンチマーク
Dolby Atmosが収録されている4K UHD BDを試聴してみよう。再生を開始して一瞬で感知するのは、音場が広大で澄み渡り、情報量が桁違いに豊かなことだ。
ブラッド・ピット主演のレース映画『F−1®』は、ワンシーンにこれだけ多くの音が仕込まれていたのかと驚く。走行音以外の様々なフォーリー(効果音)で構成されているが、それを細大漏らさず表現する、その動きの描写がきめ細やかで克明だ。バックの音楽(劇伴)も埋没せず音楽の自立性がある。
DSPの処理が正確かつセパレーションが完璧なため、オフシーンの出来事のサラウンドスピーカーの描写も存在感がある。イギリスGPのスタートシーンは、20台のF1マシンの咆哮が湧き上がるような量感だ。音圧が高まってもうるさくないのは、解像感があり帯域がバランスよく整っているからである。S/Nと解像感、ワイドレンジ、フラットバランスは余裕ある設計の賜物。
セリフ、つまり俳優の声の自然な再現も映画での強みになる。若き日のボブ・ディランを描く『名もなき者』、ディラン役のティモシー・シャラメとバエズ役のモニカ・バルバロのデュエットの声の対比が生むハーモニー、アコギの響きの美しさは、AVアンプの姿を纏ったHi-Fiオーディオコンポーネントと言いたい。
一体型AVアンプとして過去にないワイドレンジとS/N、解像力を達成した本機は、イマーシブサウンドにおける不動のベンチマークだ。
エントリークラスながら立体音響をカバーするハイコストパフォーマンスが魅力
フラグシップモデルの音が超一流であることは、下位モデルの開発に対しても大きなアドバンテージとなる。たとえばエントリークラスだ。VGP2026では、「AVR-X580BT」と2025年の新モデルである「AVC-X2850H」が部門金賞を受賞した。さらにAVC-X2850Hは、HDMIジッターリダクションによってジッターを大幅に低減する高音質技術が「企画賞」として評価された。
AVR-X580BTは定格出力70Wの5chパワーアンプを搭載したサラウンド対応のAVアンプであり、全5ch同一構成のディスクリート・パワーアンプが投入されている。電源供給ラインの低インピーダンス化や、Hi-Fiライクなパーツ配置の最適化を図ることでノイズ低減を実現するなど、エントリーモデルながら、できうる限りの高音質技術が盛り込まれている。
2025年の注目モデルは、やはりエントリークラスの新星として登場したAVC-X2850Hだろう。定格出力95Wの7chパワーアンプを採用しており、5.1.2chのイマーシブシステムが組めるため、Dolby AtmosやDTS:Xの立体音響を楽しむことができる。イマーシブサウンドに対応したスタンダードモデルという位置付けだ。
自動音場補正技術についても、AVC-X2850Hでは「Audysssey MultEQ XT」が使用できるようになっている。ノイズ低減を成し得るためチューナー機能を非搭載とし、HDMIの「ジッター・リダクション」機能も備え、ジッターを低減してマスタークロックを正確に作動させるなど、音質本位を追求したハイコストパフォーマンスモデルである。
「AVC-X2850H」、最上位機の音の質感を受け継ぎながらも鮮鋭感のあるセリフ表現
エントリークラスからは、AVC-X2850Hの音質をチェックしていく。本機で感心したのは、エントリー機にして音の質感はAVC-A1Hを受け継いでいることだ。
シリーズで開発年次の最も新しい本機は、DSPをはじめとするデジタル回路に最新のデバイスを使い、『スーパーマン』(4K UHD BD)は、目まぐるしく三次元音場を駆け巡る主人公やヴィランなど、オブジェクトの軌跡の鮮明さといった動的表現力について、A1Hを聴いたあとでもそれほど聴き劣りしない。駆動スピーカーの台数が少ないのにだ。
基本的な音質傾向が、フラグシップモデルと比較するとナロウレンジでやや軽くハイ上がりに聴こえるが、明るい音質が映画の会話シーンでプラスに作用しているため、セリフに鮮鋭感があり、小音量でも聴き取りやすいというメリットに繋がっている。
エントリークラスで搭載されたジッターリダクションの恩恵か、『名もなき者』バエズ役のモニカ・バルバロのアコギをつまびいての歌唱から、繊細さ、清冽さ、悲しみが伝わり、音楽映画で大きな効果を発揮する。
なお、本機から「チャンネル・レベル・モニタリング機能」が初採用された。全7chの音声信号レベルが、リアルタイムでテレビやプロジェクターからの映像に表示できる。一種のエンターテインメント機能だが、“The Hometheater” を標榜する本機として、少しでも多くのオーディオビジュアルファンに、本機を入り口としてホームシアター沼にハマってほしいというデノンの願いが感じられる。
