TCL技術者が超ディープに解説!「なぜSQD-Mini LEDはRGB Mini LEDより優れているのか?」
10万枚の配光データベースとAI色変換。アルゴリズムの厚み
ハードウェアの次はアルゴリズムだ。TCLは「いまの世代では、優れたハードとアルゴリズムの組み合わせが決定的に重要」と位置づけ、光の制御と色の制御という2点についてそれぞれ説明した。
光制御の土台にあるのは、配光シミュレーションである。第3世代の配光設計シミュレーターで最適な光の形を設計し、10年以上かけて蓄積した10万枚超の配光データベースから、表示効果が最適になる組み合わせを導くと説明された。
スライドには、LEDの間隔に対して配光の広がりをどう取るかというパラメーターを軸に、バックライトの均一性とハローの強さのトレードオフ曲線が示され、その交点として最適解が選ばれていた。
配光を絞りすぎれば、光が届かない場所ができてムラになる。逆に広げすぎると均一にはなるが、ハローがひどくなる。この綱引きを定量化して部材設計に落とし込んでいるわけで、エリアあたりの配光性能は年率30%超のペースで向上しているという。
実際の映像表示時のローカルディミング制御は、10万エリア級に対応する自社開発アルゴリズムで行う。
映像の意味内容を理解するAI処理を組み込み、コンテンツ解析にもとづいて各エリアのバックライト値を計算。空間方向・時間方向のフィルター処理、ピーク輝度制御、色補正、輝度補正を経てバックライトを駆動する。
並行して、液晶パネル側でも画素ごとの調整を行う。たとえばバックライトを暗くしたエリアでは、その分だけ液晶側の透過率を上げて画素の明るさを補う。
バックライトと液晶の統合動作を画素単位で行うことで、エリア駆動しても映像が狙い通りの明るさと色に見えるようにする仕組みだ。導入前後の比較写真では、非常に暗いシーンのディテールとコントラストの改善が示された。
色制御は、「TCL AI Color Transformation」と名付けられている。2018年から研究を続けているといい、RGB光源の拡散特性と色ずれの対応データを蓄積し、AIによる3D色彩エンジンと2つの色空間をまたぐ非線形の色補正エンジンで色精度を高めるというものだ。
その原理は、入力側とディスプレイ側の双方でRGB値と人間の知覚に基づく色空間を行列変換で往復させ、「知覚上の色の一致」を数学的に保証するのだという。
前述したRGB方式固有の混色・色ずれ・経年劣化への補償もこのアルゴリズム群が担い、LEDが劣化して色がずれても元の色に戻せると説明した。

