TCL技術者が超ディープに解説!「なぜSQD-Mini LEDはRGB Mini LEDより優れているのか?」
エリア数は「RGBバックライトでは3分の1になる」
ここからプレゼンは、テレビ業界で行われているエリア数表記への注意喚起に踏み込んだ。TCLいわく、業界には2つの“見せかけの概念”があるという。
1つ目は「ソフトウェア分割」。入力信号の処理段階で画面を仮想的に分割し、領域ごとに輝度や色のパラメーターを調整する手法だが、発光源であるバックライトそのものは分割制御されていない。
液晶テレビで唯一光っているのはバックライトであり、信号処理だけでは光漏れや低コントラストという物理的な限界は超えられない。ソフトウェア上の分割数は、バックライトの実エリア数とイコールではない、という指摘だ。
2つ目は「色制御エリア」。バックライトに赤・緑・青のLEDを敷き詰めるRGB方式のMini LEDでは、色を制御できる単位を含めてエリア数として数える表記がみられるが、TCLは「RGBの3つのLEDで1つの有効エリアを構成する以上、実際のバックライト分割数は公称値を3で割った値になる」と主張した。競合方式の一見多いエリア数には、マーケティング上の水増しが含まれる、という批判である。
もちろんこれはTCL側の立場からの主張であり、方式間の比較には各社の定義の違いも絡むため、割り引いて読む必要はある。ただ、「エリア数」の定義が統一されていない業界の現状を突いた指摘であることも確かで、スペックを見るときの視点として覚えておいて損はない。
色域拡大の2つの道。量子ドットか、RGBバックライトか
色域を広げるアプローチとして、説明では上述の説明に引き続き、2方式が対比された。実はどちらも「バックライト層で純度の高い赤・緑・青の三色光を作る」という点では同じである。
一つ目の方式の、TCLが採用しているSQD-Mini LEDは、青色Mini LEDバックライトの上に量子ドット層を置き、青色光の一部を波長変換して純度の高い赤と緑を作る。合成された光は見た目には白色光だが、その中身は鋭いRGB三原色のスペクトルを持つ光だ。
そしてもう一つのRGB-Mini LEDは、バックライト自体に赤・緑・青の3色のLEDチップを敷き詰め、直接三色光を作る。
TCLは両方式を「それぞれに長所と短所がある」と評したうえで、自社が量子ドット側、すなわちSQD-Mini LEDを選んだ理由を後段で展開した。
同社がRGB方式の課題として5つのポイントを挙げた。まず、隣接エリア間で異なる色の光が混ざる空間的な混色。そしてスペクトル上の混色。さらに、画面全体では広色域を維持できない問題。
また、RGB方式では赤・緑・青のLEDを1色ずつ個別に明るさ補正する必要があり、その補正処理自体が新たな色ズレを生んでしまう問題。さらに、3色のLEDは経年劣化のスピードがそれぞれ異なるため、使い込むうちに色バランスが崩れていく問題である。
とくに最後の劣化問題については、温度依存性も含めてグラフで示され、RGB方式では3色の劣化カーブがはっきり分かれるのに対し、青色LED1種類しか使わない量子ドット方式は、原理的にこの問題を回避できるとした。

