HOME > レビュー > 10万円以下AVアンプの大本命! デノン「AVR-X2600H」のサウンドは“柔と剛”を兼備する

数多くの新規格に対応する発展性も頼もしい

10万円以下AVアンプの大本命! デノン「AVR-X2600H」のサウンドは“柔と剛”を兼備する

公開日 2019/07/09 06:37 大橋 伸太郎
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チャプター1、オープニング「ブラック・アイズ」。ジャクソンがツアーで訪れたライブ会場のシーン。聴衆の歓声が高く広く渦巻きバスドラが地響きのように連打する中を、怒りをたぎらせたジャクソンの歌声が突き抜ける。ロックシンガーが身を置く世界の高みとアーティストのパワーが一瞬で印象付けられるが、聴衆は彼がステージに出てきただけで喜ぶのだ。ここでのイマーシブサウンド(ドルビーアトモス)の役割は、聴衆と歌声の間の「乖離感」を表現することにある。

AVR-X2600Hの開発テーマに、先述した多チャンネル駆動時のクロストーク減少がある。デュアルワイヤ方式の電源供給で共通インピーダンスを低減することでクロストークが減り、音像フォーカスが向上した。今回トップスピーカーは2発だったが、広漠とした会場の表現は十分で、歓声を振りきるようにジャクソンの歌声が分離して浮き上がり、スーパースターの孤独が描かれドラマの伏線が定着した。

シーンが変わり、主人公アリーの番になると、場末のナイトクラブでの歌に先立ち、オフシーンで「虹の彼方に」がアカペラで流れる。本来ドラマの進行とこの曲は関係ない。ここでこの曲を口ずさむのは、最初のリメイクの主演女優であるジュディ・ガーランドへのレディー・ガガのオマージュであり、同時にアリーという娘がショービズの世界に生きることを運命付けられていることを暗示している。

サラウンド再生はUHD BD『アリー/スター誕生』を中心に視聴した

ここでのレディー・ガガは柄にもなく(失礼!)清らかで素直な歌い口で、AVR-X2600Hの5.1.2再生が、リスペクトと成功への祈りを込めた歌声を聴き手の前方頭上に温かく浮かび上がらせる。せっかくUHD BDを買っても、テレビのスピーカーではここでのメッセージを見落とすだろう。また、たとえホームシアターシステムであっても、音のいい装置でないと直感的にそれを享受できない。

ここでもAVR-X2600Hの音場表現が大きな力となる。本機はノイズがよく抑えられ解像力が高く、肉声に迫る表現力がある。メロディーに込められたメッセージが一瞬でわかるのである。だからこそ冒頭のジャクソンのライブコンサートのよそよそしく怒りに満ちた描写との対照が生まれる。

次ページ地力の高さに加え、システムのステップアップが容易な発展性も魅力

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