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<山本敦のAV進化論 第159回>

開始迫る「新4K8K衛星放送」。初のチューナー内蔵テレビ、東芝「レグザ BM620X」の完成度をチェック

公開日 2018/06/14 08:00 山本 敦
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先日6月1日には開始半年前のセレモニーも開催された
4K視聴チップはUSBメモリー程度大きさのドングルで、テレビの背面左側のフタを開けた所にある専用スロットに差し込むと、新4K放送が見られるようになる。ドングルの装着に特別な工具なども不要だ。ユーザーはインターネットやFAX・電話から申し込んでチップを取り寄せる必要があるが、別途購入代金や送料は要らない。ドングルの発送開始は10月頃を予定しているので、12月1日からの放送開始に間に合わせるためにも、早めに申込みを済ませておきたい。

背面の端子にA-CASチップを装着する仕様だ

ところで、東芝レグザの新シリーズが日本初の4Kテレビとは言っても、画質や操作性などが満足のいくものでなければ、いまわざわざ買うべき必要は無い。そこで今回は、4K液晶レグザ「55BM620X」を借りて、映像を中心に実力をチェックしてみた。本機は画質だけでなく、音質にもこだわった“重低音バズーカオーディオシステム”を内蔵するハイクオリティモデル。どこまでのパフォーマンスを発揮するのか楽しみだ。

バズーカオーディオシステムで音質を強化

BM620Xシリーズは55/50/43型の3サイズ構成。4K液晶はVA方式で、HDRはHDR10とHLGに両対応する。東芝レグザの開発陣が練り上げてきた映像エンジンは、新4K放送時代を見据え、前機種からSoCを一新。映像信号処理の精度を高めた「レグザエンジン Evolution」を搭載する。

リモコンには「4Kボタン」を装備

■4K HDRを高画質化する様々な独自技術。“重低音バズーカ”で音質にも注力

注目は新4K放送を高精細に再現するノイズ処理技術「BS/CS 4KビューティX」だ。HEVCフォーマットで送られてくる4K/60pの映像の精彩感をよりシビアに復元するため、画素サイズごとに映像の内容を分析。映像のテクスチャーを立体部と平坦部に切り分けながら、平坦部はより滑らかに、凹凸の豊かな被写体は細かな絵柄をより引き立たせる方向で画づくりを行う。

従来のデジタル放送についても「BS/CS 4KビューティX」と同じ考え方をベースにして、映像を画素単位で把握して高精細化処理を行う。特に重視したのは動きのある映像で発生しがちなボケの改善だった。「動き追従ノイズパターン抽出型3次元ノイズリダクション」の機能を新設したことで、前後フレームで画素の“動き”を検出。元の位置と移動先で画素の変化を比較しながら、適切な処理を加えてダイナミックな動きのある映像に切れ味を加えてボケを抑える。スポーツの映像や動くテロップのくっきり感がより際立ちそうだ。色の濃い映像は質感によりフォーカスしながらリアルな色彩感を蘇らせる「カラーテクスチャー復元」や、輪郭線の細かな映像の精彩感を高める「地デジ精彩感復元」も健在だ。

HDR映像の正確な色彩表現を可能にする「HDRリアライザー」では、シーン単位でヒストグラムを取りながらリアルタイム処理に必要な階調のダイナミックレンジを振り分けて画づくりを行う。これぞ高い処理能力を持つ「レグザエンジン Evolution」の真骨頂だ。映像はフレームごとにヒストグラムを解析し、リアルタイムに高画質処理をかける。人間の目で見た印象に近い色合いや奥行き感を引き立たせられるという。

同じ階調再現のアルゴリズムを活かし、人物の肌をよりきれいに見せる「美肌リアライザー」も近年のレグザで話題の機能。高輝度部も人の肌の質感がキープされるので、特に映画やドラマで効果を発揮するはずだ。

新4K放送に対応するチューナーは本体に1基搭載する。4K番組の録画は、別売のUSB-HDDをテレビに接続し、現行の地デジ、BS/110度CS放送と同じように行える。従来の地デジやBS・110度CSデジタル放送についてはチューナーが3基ずつ内蔵されているので、1つの番組を視聴しながらのダブル録画にも対応する。

さらに本体を無線・有線でインターネットに接続すれば、NetflixやAmazonプライム・ビデオ、DAZN(ダゾーン)にYouTubeなど様々な動画配信系コンテンツへの扉も開く。

BM620Xシリーズならではの特徴は、従来の薄型テレビから想像も付かないほど迫力あふれる重低音をテレビ単体で再現できる「バズーカオーディオシステム」が搭載されたところだ。レグザの上位モデルは従来からテレビ単体でもリッチなサウンドを再現できることにこだわり続けてきたが、BM620Xシリーズはスピーカーの容積をたっぷりと確保したうえで、マルチアンプで駆動するシステム構成を採用。パワフルでクリアなサウンドを実現している。

フロント側にはフルレンジスピーカーを左右に1基ずつ、背面側にも新設計の重低音バズーカウーファーを搭載する。左右に向けたユニットから音を出力して、芯のある低音と目の覚めるような方位感を再現する。中高音域は896バンドの「レグザサウンドイコライザー」で細かく調整ができる。さらに低音域には独自のオプティマイザーを組み合わせるハイブリッド構成により、特定の音域に偏らないナチュラルバランスなサウンドに仕上げた。

■レグザ『BM620X』の画質&音質をチェック

今回はUHD BDプレーヤーにBDレコーダー、インターネットに接続できる環境を準備し、55BM620Xの画質をチェックした。

まずはUHD BDディスクの映画『インターステラー』から「チャプター9」、宇宙船でワームホールに突入するシーン。映像メニューは「映画」、コンテンツモードは4K-BDにセット。映像の詳細設定はデフォルトのまま、なめらか調整は「クリアスムーズ」を選んだ。

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