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【特別企画】鴻池賢三が画質や使い勝手をチェック

「入門機と侮れない高コスパプロジェクター」 − Rec.709を正確に再現するBenQ「HT3050」の魅力に迫る

公開日 2015/12/22 11:59 鴻池賢三
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本ダイヤル含め、映像の拡大縮小やピントは、調整リングがレンズ周りに集約され、調整後はスライド式のフタで隠すことができる。光源ランプの光漏れを抑えることができ、見た目にもすっきり美しいのは好ましい。

開閉式カバーにより光漏れの心配もない

台形補正は上下に加え左右調整も加わり、スクリーンの正面を避け、斜めからの投写も可能になった。このクラスのDLPモデルとしては稀少な機能で、本機を選ぶポイントにもなり得る。

製品を確かめる鴻池氏

操作感は極めて良好。リモコンボタンを押してから本体の反応が素早く、ストレスを感じない。メニューの構成も統一感があって理解し易く、BenQ製品が初めてのユーザーも迷わずに使いこなせるはずだ。こうした洗練度の高さは、やはり世界で大量に販売してきた大手ならではと思えるものである。

リモコンはボタンが点灯


■明るくキレの良い画質

画質はDLPらしく明るくキレの良さが印象的。スペック的には2,000ルーメンとこのクラスでは平均的だが、ドラマやバラエティー番組など、平均輝度の高いコンテンツなら、明かりの有るリビングで100インチ程度の大画面を投写しても鮮明な映像が得られる。

視聴のようす

本機の特長である「Rec.709」については、ブルーレイ作品を中心に確認した。映画「オブリビオン」のチャプター14、湖畔に木々の緑が広がるシーン。緑色が強調されることなく自然に感じられると共に、遠景の森、近景の木の葉や草のトーンの違いが掴め、奥行きも感じる事ができる。

映画「CHICAGO」のチャプター5は、牢を模したセットを背後から照らす赤色のライトと、舞台を照らす赤色のスポットライトが飽和せずに滑らかなグラデーションを見せる。これらは、過去、Rec.709基準でキャリブレーションを行った映像装置で見た印象とも近いことを付け加えたい。

また、近年はBT.2020など広色域の登場により、相対的にRec.709の色再現範囲が狭いと誤解しがちだが、実際はコントラスト性能など、映像装置の基本性能に関わる部分が大きい。DLP方式の本機は、色付きの無いニュートラルな黒の表現が可能で、赤や緑といった原色の色乗りも良く、見応えのある色彩美を堪能できる。

音質面では、10Wx2のステレオスピーカーが自慢だ。音質にこだわる場合は、別途オーディオ機器の利用をお薦めするが、手軽にプロジェクター本体だけで音を聞きたい場合や用途もあるだろう。そうしたケースで、本機は充分な音量と低音の量感が確保できており、実用的だ。

■「高品位なハイコストパフォーマンス機」

本格的なホームシアター向けプロジェクターでは予算的にも設置スペース的にも敷居が少々高い。一方、データ用プロジェクターでは映画作品の高画質を充分かつ忠実に引き出すのは難しい。本機は、そうした狭間で悩んでいるホームシアタープロジェクター入門ユーザーに適していると言える。

一般的なデータ用プロジェクターは言うに及ばず、従来のBenQモデルに比べても冷却ファンの音が静かになった。視聴時に小さな音やセリフが聞き取りやすく、作品の中に没入できるのも嬉しい進化で、特にホームシアター用途として好ましい。

Rec.709を前面に押し出した忠実な色再現は、映画ファンやアニメファンが作品を読み解く上でも重要であるし、写真愛好家などクリエイターの要望も満たしてくれるはずだ。

入門機と侮れない、高品位なハイコストパフォーマンス機の登場だ。

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