[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第60回】DSDもiOSデジタル接続も!多機能DACポタアン“Soundroid Typhoon”を聴く

高橋敦

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2013年09月20日

USB-DAC/ヘッドホンアンプ機能をチェック!

まずはUSB-DAC/ヘッドホンアンプとしての印象だ。前述のようにMac環境ではDSDネイティブ伝送は利用できないので、普通にL-PCMの音源をチェックした。

その音のいちばんの印象は迫力!全ての帯域の楽器の音色に厚みや力強さ、そして勢いがあり、ダイナミックな表現力を備えている。

相対性理論「ミス・パラレルワールド」は、ポップスとロックがせめぎあうような曲調であり演奏だが、本機で聴くとロックの要素の方が強まる。まずベースが実にパワフルで音色が濃い。わかる人にはわかる言い方をすると、ジャズベっぽさよりはプレベっぽさを感じるようなニュアンスだ。ソリッドすぎずほどよくルーズで大柄、そしてドライブ感の強い音色になっている。低音の傾向としては、強力に制動してガッチリさせる方向ではなく、適当に緩めておおらかで大柄な表現が持ち味だ。

その上の帯域では、ギターの音色も特徴的。シングルコイルのギターサウンドらしいキレやエッジ感も出しながら、厚みもある。低音だけではなく中音域にまで、充実した厚みが及んでいることがわかる。

そのギターも含めてだが、ドラムスのスネアやシンバルなど高音側の感触を一言で言うと、音色が明るい。弾けるような抜けっぷりでほどよい派手さがある。女性ボーカルはシャープな成分が少し目立つが、耳障りなほどではない。その鋭い荒さもロック感を増している要因のひとつだ。

Daft Punk「Give Life Back to Music」はディープで厚いローエンドが特徴の音源だ。こちらを聴くと本機の中低音の濃さと厚みをさらにだめ押し的に確認できた。特にベースは厚く濃い音色がその厚さ濃さのまま長い音符で伸びるのが気持ちよい。低重心でリズムを大きく捉えたグルーブ感が伝わってくる。対してギターのカッティングのカチャカチャとした硬質さやキレも再現されており、そちらの細かなグルーブも生かされている。

iPhone 5とのデジタル接続でアップサンプリングとビット拡張を試す

続いてはiPhone 5とデジタル接続して、アップサンプリングとビット拡張をチェック。なお基本的な音調はUSB-DACとして使った場合と大きな変化はない。

アップサンプリングを48kHzから96kHz、そして192kHzに変更すると、音調のざっくり感が落ち着き、音の耳当たりが少し穏やかになる印象だ。音色の硬さやきつさが緩和される。それでいて音像のカッチリとした明確さも損なわれてはいない。なので192kHzで常用してもよさそうだ。

ただ最初に述べたざっくりとした感触は、それはそれで生々しさや荒っぽい迫力を生んでもいる。それを好む方はあえて48kHzを選ぶのも手だろう。ビット拡張(ワードレングス)も、32bitに上げてみると音色がほぐれる印象はある。明快な効果というほどではないがアップサンプリングと共に、ご自身の好みや組み合わせるヘッドホンとの相性に合わせた微調整に活用できるだろう。

…というわけで、SounDroid Typhoon SDT-A10。実に盛りだくさんなUSB-DAC/ポータブルヘッドホンアンプだ。単純なポータブルアンプではなく使いこなし甲斐のある多機能モデルをお探しの方はチェックしてみてほしい。


高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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