唯一無二のTVを徹底レビュー
東芝REGZA「55X3」の衝撃 ー やはり「4K」は凄かった
取材・執筆:大橋伸太郎/折原一也/鴻池賢三/林 正儀/村瀬孝矢/山之内 正
2012年01月20日
なめらかな階調再現は
歴代モデルで最も自然な描写を実現している
取材・執筆:山之内 正
4K超解像のさじ加減は巧みで誇張を感じさせない
55X3の映像はこれまでも確認する機会があったが、いずれも最終仕様一歩手前の段階で、レンチキュラーシートを貼っていない状態での視聴が中心であった。一方、今回視聴したのは市販品と同等のモデルで、4Kパネルのパフォーマンス、偏光切換シート+レンチキュラーシートの画質への影響の有無などを確認することができた。また、DBR-M190と組み合わせて実現する「レグザコンビネーション高画質」のメリットを他社製レコーダー使用時と見比べる実験も行った。
まずは4Kパネルのパフォーマンスだが、QFHD超解像技術との相乗効果でほぼ期待通りの成果を上げているという印象を受けた。『ソーシャル・ネットワーク』の自然な人物描写は緻密な輝度情報、色情報をベースにしたもので、ディテール描写に破綻や過度な演出は見られない。自然光に近い環境で撮影された室内シーンは最暗部からなめらかな階調を再現し、バックライト制御の完成度にほぼ不満はない。分割数は240個と限られているものの、そのデメリットを感じさせる挙動はなく、Xシリーズ歴代モデルのなかで最も自然な描写を実現している。
『山猫』の舞踏会シーンはHDマスターに含まれる膨大な情報を漏らさず引き出したうえで、細部の色の輪郭や微妙な階調を自然に再現する能力の高さを実感することができた。この作品はていねいなレストアによって本来の質感や鮮やかな発色を取り戻しているが、ディテールやコントラストを強調しすぎると破綻しやすく、悪い意味でテレビ的な硬い映像に傾く危険がある。本機の4Kアップコンバート技術はそのさじ加減が巧みで、あざとさや硬さを感じさせる手前で踏みとどまっているように見える。
連携による高画質化機能は立体感が僅かに秀でた
DBR-M190と本機を接続すると「レグザコンビネーション高画質」によって画質処理を分担し、余分な処理を重ねることなく画質改善を行うモードになる。ここで紹介した『ソーシャル・ネットワーク』と『山猫』の映像はその状態での印象だが、同機能が働かないパナソニックのDMR-BZT9000との組み合わせではどうだろうか。
結論から言うと、ワイドアングルでとらえたシーンの立体感に僅かなアドバンテージがある印象を受けたが、期待したほど大きな差ではなかった。ただし、それはDMR-BZT9000のディテールクラリティとアップコンバートを最小に設定した場合の印象であり、その設定によっては画調は大きく変化する。
最後に『ジュラシック・パーク』をじっくり見ながら画面に近付き、レンチキュラーシートの影響の有無をチェックした。3H前後の距離では気付かなかったが、画面に近付くにしたがって、角度によって画面細部のテクスチャーに通常パネルとの違いが現れるようになる。画素構造を拡大すればその違いの原因がわかるが、通常の視聴距離ではほぼ気にする必要はないだろう。グラスレス3Dのメリットを重視するなら無視できる範囲の現象といえる。
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