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プラズマ技術も活用

<IFA>独自技術で“マスモニ画質”へ。パナソニックの4K有機ELテレビ開発者に聞く

公開日 2015/09/06 13:40 折原一也
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さて、CZ950の画質関連の新たな取り組みが、映画『オブビリオン』の色彩を監修したハリウッドの現役カラリスト、マイク・ソワ氏とともに画質モード「トゥルーシネマモード」を作り上げたこと。ハリウッドの業界コミュニティとともに、本格的に画作りを行ったモデルなのだ。

マイク・ソワ氏と共に映画モードの画質をチューン

それでは、マイク・ソワ氏とエンジニアとの間で、どのような会話がなされたのだろうか。直接マイク・ソワ氏と「トゥルーシネマモード」を作り上げた永田氏は次のように語る。

「カラリストの方と今回はじめてお会いしたのですが、作品を作られる芸術家なんですよね。明らかに色が違うなどという事があればもちろんおっしゃるのですが、より作品に踏み込んだ、シーン単位の色再現の意図を語られるのです」。

「『このシーンはもっと赤く』であったり、暗闇の中から人が出るシーンでは『真っ暗ではなく、煙の中から立ち上がる、銃を持つシーンは埃の感触を出す』といった意図を語られるので、それを元に調整し、再度見せて『良くなっている』などコメントをいただく形で進めました」。

「『オブビリオン』の映像は明るいシーンが多く、ごまかしが聞かないコンテンツで、変に黒伸張を効かせてもダメですし、ノイズリダクションも難しいというコンテンツでした」(永田氏)。

CZ950には映画用モニターモードとして、測定にもとづいて認定を受けたTHXモードも用意されているが、やはり製作者の意図とは微妙な差が現れる。ハリウッドの現役クリエイターとともに作り上げたトゥルーシネマモードもまた、別格の価値があることは間違いない。

HDRについても紹介しておこう。有機ELはパネルの特性上、ピーク輝度が液晶ほどは伸びないものの、CZ950では400カンデラ程度は出ているようだ。

HDRの再現に効果的なのは絶対的な輝度よりダイナミックレンジという考え方に立てば、コントラスト比が事実上無限である有機ELにアドバンテージがあることになる。

「HDRについては、2000カンデラも出せるようなモニターで作ったコンテンツをどうテレビで再現するかという世界になります。HDRコンパチブルの信号が来たとき、どのようにしてもとのPQカーブを忠実に表現するか、様々なコンテンツで検証しています」(真田氏)とのことなので、期待したい。

Ultra HD Blu-ray対応の「HDRコンパチブル」仕様

背面までこだわり抜いたデザインも大きな見所

最後にCZ950のデザインついても触れておきたい。

「ヨーロッパは歴史的にもデザインコンシャスな市場です。凝ったデザイン、かつ最高画質という商品特性が受け入れられる市場として、本機を初めて投入する市場にヨーロッパを選びました。メタルフレームに浮遊感のあるフローティングスタンド、そして背面についても配線を隠せるバックカバーにフェラーリのシートにも使われるアルカンターラを用い、スタイリッシュに見せることにこだわっています」(真田氏)。

実物を目にすると、ホワイトのファブリック素材の背面パネルは質感も良く、確かに後ろからみても美しい。最薄部5.5ミリという薄さもあって、スタイリッシュさも最上級だ。

バックカバーはアルカンターラ素材を採用

3ウェイスピーカーを内蔵する

もう一つのこだわりポイントが音質だ。パネル下のスペースは狭いのだが、パンチングシート構造で前を向けたスピーカーを内蔵。トゥイーターとスコーカーとウーファーの3ウェイ構成+パッシブラジエーターを30W+30Wのアンプで駆動する。



TH-65CZ950は欧州では10月に発売されるが、「市場動向を見て他地域も含めて見ている」とのことで、日本発売は未定。価格は現時点で未定だが、相当高価なものとなることは間違いない。

プラズマのノウハウも投入してチューニングされた、パナソニックの有機ELテレビ「CZ950」は、IFA 2015で見た最高画質のテレビだったと太鼓判を押したい。

(折原一也)

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