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プラズマ技術も活用

<IFA>独自技術で“マスモニ画質”へ。パナソニックの4K有機ELテレビ開発者に聞く

2015/09/06 折原一也
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さて、いよいよ本稿のテーマである、CZ950の画質の話題に移ろう。

先述したとおり、有機ELのパネルについては非公表ながら、65型で曲面の有機ELで入手可能となれば、既に市場で実績のあるLGディスプレイ製パネルしかない。

それでは、LGブースに置かれたLG製4K有機ELテレビと画質が似ているかというと、デモソースが異なるとはいえ、同じパネルの画質とは思えないほど、映像表現が異なっていた。

IFA 2015のパナソニックブースにおけるCZ950の画質デモは、暗室に設置され有機ELマスターモニターと並べて、SDR映像を用いてデモ上映が行われていた。まさに間近に並べ、その画質がどれだけ正確かを確認できるデモだったのだが、暗部の沈み込みの素晴らしさはもちろん、暗がりに人のひそむ映像などを見ても、明暗の描き分けの正確さはマスモニに匹敵するほどだった。

IFA 2015におけるCZ950の画質デモ

では、パナソニックの高画質技術のどの部分が、CZ950の画質に大きく寄与しているのだろうか。答えをズバリ挙げよう。それは、パネルメーカーが自身では解決できなかったユニフォーミティー(均一性)に関する部分だ。

欧州では既に4K有機テレビが発売されているのだが、欧州のAVファンのあいだで問題となっているのが、湾曲型有機ELパネルの、端の部分の色再現性が良くないという意見だ。

そこでパナソニックでは、「4Kマスタースタジオプロセッサー」を採用したことで、有機ELのパネル特性に合わせたチューニングを行い画質を向上させたほか、「パネルベンダーともやりとりをして、高画質化を進めた」(永田氏)という。

プラズマで培った技術も活用して均一性を確保

ユニフォーミティーが良くない原因を掘り下げていくと、採用するパネルに応じた色変換アルゴリズムや、発光させるためにサイドに埋め込まれた電極による発熱など、ソフトウェアからハードウェア設計上の要素まで多岐に渡っていた。様々な要因によって、0%からリニアに階調を出せるはずの有機ELの性能がスポイルされ、液晶のように暗部階調が潰れる結果になっていた。

そこでパナソニックは、画質低下の原因を解明して解決しようとした。同じ自発光デバイスであるプラズマで培ったノウハウの見せ所だ。

「『4Kマスタースタジオプロセッサー』、そして『ブラックグラデーションドライブ』というプラズマの時の階調表現技術を追加した上で、『アキュレートカラードライブ』という技術を採用し、1,000ポイント以上の3Dルックアップテーブルを有機ELに最適化して持たせ、輝度によらず最適な色再現を実現しました」(永田氏)

ちなみにIFA 2015の会場内には、CZ950、有機ELマスターモニター、そして最高レベルの色再現として欧州でも評価の高かったプラズマテレビZT65を並べてデモを行っていた。ZT65の色再現も忠実志向だが、比べてみるとCZ950はサイズは違えど、マスターモニターの色とほとんど見分けが付かないほどだ。

有機ELマスターモニター(中央)とCZ950(左)、プラズマのZT65(右)

ブース内では様々なソースで比較が行われていた

特に暗部階調をつぶすか、それとも見せるかという微妙な表現の部分では、マスターモニターをリファレンスとして調整したという事もあって、「見せるべきところを見せる、見せないところは見せない」ことを徹底している。

画面全体を均一に正確に表現し、暗部階調も色もマスターモニターと同じように再現する。そんな当たり前のことをデバイスが変わっても実現したのは、液晶、そしてプラズマの経験を持つパナソニックだからこそ成し得たことだろう。

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