アキバに“オノデン”あり!老舗店のオーディオコーナーはインバウンド客からも大人気
訪日外国人客が持ち帰る大人気「サウンドバーガー」
猛暑をものともせず多くの訪日外国人観光客で賑わいを見せた “夏” の秋葉原。うんざりする暑さには「オーディオで音楽を楽しむ意欲も失せてしまう」という声も聞かれるなか、秋葉原の老舗「オノデン」のオーディオコーナーは元気いっぱいだ。
ボーナス商戦を迎えた7月、特に好調な動きが目についたというのはCDプレーヤー。同社家電営業部課長・長島真一氏は「接客をしていてもCDプレーヤーに対する引き合いが多かったですね。7月10日から開催されたアマゾンプライムセールも好影響となりました。なかでもデノンのSACDプレーヤー『DCD-1700NE』が大変よく売れました」とCDプレーヤー人気は健在だ。
製品の相次ぐ値上げや供給の問題に直面するなか、ほとんどが “買い替え” のお客様だという。「メーカーが揃えるラインナップが減る、買える場所も少なくなる、そんな不安が募るなかで、この夏に行動に移される方が多かったようです」とその背景を分析する。
オーディオファンが厚い信頼を寄せるオノデンは、1951年に創業。“ホコ天” でも有名な秋葉原中央通り沿いに面した本館は竣工が1962年になる。3階に構えるオーディオ売り場の大きな特徴のひとつは “敷居の低さ”。「お客様からもよく、家電やテレビなどを見た後にも気軽に立ち寄れるといった声をよくお聞きします」と昔からの顔なじみの常連のお客様だけでなく、新規のお客様も多く訪れる。
そして、客層におけるもうひとつの大きな特徴は訪日外国人旅行者が多いこと。ただの物見遊山ではなく、「特に人気を集めています」と好調な動きを見せるのがレコードプレーヤーだ。「100V〜240Vまで使える仕様のモデルが多いため、その点での心配が要りません。渋谷のタワーレコードで “ジャケ買い” したのに、肝心のプレーヤーは持っていない。そんな方が当店でレコードプレーヤーをお求めになるケースも珍しくありません」
訪日外国人旅行者からダントツの1番人気となっているのが、オーディオテクニカの「サウンドバーガー(AT-SB727)」。「USB Type-Cで充電して使えるので、例えばワイヤレススピーカーをつないで公園で使用することもできます。また、何と言っても最大のメリットはコンパクトで荷物にならないこと。予備のカートリッジをお薦めしていますが、ほとんどのお客様が同時に購入されていきます」
衰えを知らないインバウンドに対し、ズラリと量感を出して展示するスピーカーも、インスタ映えする撮影スポットとして人気を集めている。様々なタイプや価格帯のモデルを揃え、もちろん聴き比べも可能だ。
長期のお盆休みにAVアンプを買い替えてホームシアター再構築
8月に需要が拡大したのはAVアンプ。8月に入り入荷が再開されたデノン「AVR-X1800H」やヤマハ「RX-A4A」が人気の中心。「今年はお盆休みが最大で11連休となったこともあり、長くなるおうち時間を利用して、AVアンプを買い替えるお客様が多くなりました。今はセッティングも簡単ですから負担も少ないですし、『RX-A4A』では新規のお客様も目につきました」
ハイファイアンプを買い替える動きにも火が付いている。この流れを後押ししているのはネットワークオーディオへの関心の高まり。「QobuzやAmazon Musicを新たに始めたいからという動機で、対応するアンプに買い替えるお客様が増えています」。なかでも「対応が早かった」というヤマハのネットワークプリメインアンプ「R-N2000A」「R-N1000A」「R-N800A」が人気を集めている。
ネットワークオーディオを始めるにあたり、長島氏はアンプの重要性を指摘する。「現代の環境に合わせてチューニングされた今のモデルと、手持ちの20年前のモデルのチューニングでは違いますから、新たにネットワークオーディオを始めるのであれば、アンプも新しいものへの買い替えをお薦めしています」。丁寧な説明に真剣に検討を始めるお客様も少なくないそうだ。
年が明けて早々の2月15日(土)には、ティアックの協力を得て「Qobuz体験試聴会」を開催し、大いに盛り上がりを見せたという。「Qobuzを知らない人はまだまだ多く、きちんと説明して、実際に音を聴いてもらうと、『Qobuzに対応したモデルはどれ?』と関心を持っていただくことができました。なかにはせっかくの機会だからとスピーカーと併せて購入されるお客様もいらっしゃいました」
ネットワークオーディオに対する関心の高まりを周辺機器の需要喚起へと結びつけていく一方、レコードやカセットテープが人気を集めるなか、オノデンでは他店で目にする機会もめっきり少なくなったMD(ミニディスク)レコーダー(TASCAM「MD-CD1MK3」)を取り扱っている。メーカーにもすでに在庫はないそうで、同店でも在庫限りの販売となる。今年2月で生産終了となったソニーの録音用MDも1人3枚まで購入できる。
「学校では授業や行事で使用する音楽をMDに保存されているところもあるようです。買い替えで探している方は苦労されているようです。先日はVHSデッキを探しているお客様が来店されました」。まさにオーディオ&AV業界の生き証人とも言えるオノデン。ティアックでは新入社員が入社すると、研修の一環として同店を訪れているという。
今、注目しているのは“テレビの音”の解決
Qobuzをきっかけに波に乗るネットワークオーディオとともに、長島氏が後半戦の注力ポイントとして目を向けるのは「テレビの音」。大型化・高画質化していくなかで、「テレビの音が聴きづらいとお客様がよく相談にいらっしゃいます」と切実なテーマと受け止めている。その解決策として推奨するのが「HDMI搭載アンプ」だ。
テレビコーナーには、6系統のHDMI入力を備えた一推しモデル、マランツ「STEREO 70s」を設置。75V型液晶テレビとトールボーイスピーカー Polk Audio「RESERVE R700」を組み合わせて実際に体感できるようになっている。
「YouTubeやNetflixは若い方だけでなく、年配の方もご覧になりますし、しかも今はテレビで楽しむことができます。大画面・高画質だけでなく、そこにはさらに高音質に楽しむためのお手伝いが不可欠になっています」と力を込める。
定番の選択肢としてはサウンドバーが定着しているが、それぞれにメリットがある。サウンドバーコーナーの前には、横幅わずか215mmながらテレビの高音質再生にも最適と謳う、HDMI端子を搭載したティアック “Referenceシリーズ” のステレオプリメインアンプ「AI-303」とダリのトールボーイスピーカー「OBERON5」を組み合わせ、比較試聴することができる。「もちろん音楽も楽しめます。オーディオの良さも確認していただきたいですね」
オーディオが日々の生活をもっと豊かにする。そのための最新の情報や新しい発見を、気軽に身近に感じることができるオノデン。長島氏は「外へ出歩くことも億劫になる猛暑が続いていましたが、ようやく涼しくなりました。これからお客様がお店へ足を運んでくださる機会も増えてくるはずです」と後半戦の盛り上がりへ期待を寄せた。
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