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ステラ/ゼファン発表会が開催

ウィルソン・オーディオの新最上位スピーカー「CHRONOSONIC XVX」登場。7100万円

ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
2020年02月16日
有楽町の東京国際フォーラムにて、ステラ/ゼファンによる新製品発表会&試聴会が開催され、ウィルソン・オーディオの新フラグシップスピーカー「CHRONOSONIC XVX」(クロノソニック エックス・ヴィ・エックス)、スイスHSE SWISSのフォノイコライザー「MASTER LINE7」などが登場した。


国際フォーラム ホールD1にてステラ/ゼファン共同の試聴会が開催された
ウィルソン・オーディオのCHRONOSONIC XVXは、昨年のインターナショナルオーディオショウにも登場していたが、昨年11月頭に日本に到着したばかりで、当時はまだエージングが十分ではなかったという。巨大なネットワーク回路や独自素材のキャビネットがその理由と考えられ、半年間、毎日のエージングを経て、改めて「真のCHRONOSONIC XVX」として紹介された。価格は7,100万円(スタンダードカラー/ペア/税抜)。


ウィルソンオーディオのCHRONOSONIC XVX。高さ187cmという堂々たる仕様
CHRONOSONIC XVXはウィルソン・オーディオの創業者、デヴィッド・ウィルソンの息子であり、現在会社を率いるダリル・ウィルソンが設計に大きく関わったモデル。ダリルは若い頃から父親を師としてスピーカー製作の修行を積んでおり、三人いるデヴィッドの息子たちの中でも一番耳が良かったそうだ。

CHRONOSONIC XVXの開発を手掛けたウィルソン・オーディオの社長、ダリル・ウィルソン氏

デザインも以前のフラグシップモデル、WAMM(Wilson Audio Module Monitorの頭文字をとったもの、父親のデヴィッド・ウィルソン設計)より流麗となり、サウンド面でもより「空気」を感じられる、音がふわっと明るいサウンドに進化しているとステラ社長の橋隅和彦氏は語る。

父親のデヴィッドが最後に手掛けたWAMMと、CHRONOSONIC XVX。方向性は近いが、細部のデザインなどにダリル氏のアイデアが見える

新製品について解説するステラ社長の橋隅和彦氏

もちろん、ウィルソン・オーディオのスピーカーの大きな特徴である「タイムアライメント」へのこだわりは引き継がれている。上がトゥイーター、アッパーミッド、ローミッド×2の4つのユニット、下がウーファーボックスになっており、ユニットを前後に動かすことで、試聴位置にマッチした最適なタイムアライメントを調整できる。

CHRONOSONIC XVXの上部背面。ユニットごとに前後の位置を設定でき、最適なタイムアライメントを実現する

CHRONOSONIC XVXの背面端子。バスレフポートは取り外して前面に設置することもできるという

特にローミッドは新しく開発されたドライバーとなっており、磁気回路はアルニコマグネットを4つ組み合わせた強力な磁気回路が搭載されている。再生周波数帯域は20Hz-30kHz、能率は92dB(@1W 1m 1kHz)。

デモンストレーションには、テクダスの最高級アナログプレーヤーAIR FORCE ZERO(価格5000万円)を使用。クラシック系の試聴には、グラハムエンジニアリングのトーンアームとテクダスのカートリッジ、ジャズ系にはSMEの3012 GOLDにオルトフォンのSPU 90周年モデルを組み合わせるという贅沢な構成だた。

本日の試聴会の再生機材。左上がAIR FORCE ZERO、その下にHSE SWISSのMASTERLINE7を設置

アンプ類はコンステレーションオーディオを使用しているほか、STORMTANKの電源、CADの仮想アース類も使用

AIR FORCE ZEROはステラ会長、西川英章氏の徹底した「エアー」へのこだわりで実現したもの。昨年3月にプロトタイプが完成し、5月のミュンヘンハイエンド、その後アメリカ・サンタモニカでも披露し、マイケル・フレーマーなど名だたるオーディオ評論家からも高い評価を得たという。すでに世界中で出荷・納品がスタートしており、プラッターにタングステンを採用したものが5,000万円、チタンを採用するものが4,500万円となっているが、タングステンの方が人気が高いそうだ。

ワシントンに第一号として納品されたAIR FORCE ZERO。西川氏みずからセッティングに赴いたという

試聴の前半はウィルソン・オーディオのSASHA DAW、後半はCHRONOSONIC XVXを使用した。フォノイコライザーにはHSE SWISSのMASTERLINE 7を使用している。

HSE SWISSは、エンジニアのロバート・フーバーがスイスに操業したブランド。彼が手掛けたEQ-1というスタジオイコライザーは銘機として知られ、世界中のスタジオにもインストールされている。世界最高のノイズ性能を誇るマイクアンプの開発も手掛けており、スタジオユースとして要求される高いS/Nを実現したモデルを開発している。MASTERLINE 7は正面のVUメーターが大きいという特徴に加えて、台座も高音質化に寄与しているという。電源は別筐体から供給。価格は870万円(税別)。

スタジオ・エンジニアリングの世界でも高い評価を得るロバート・フーバー氏

HSE SWISSのフォノイコライザーアンプMASTERLINE 7。スタジオユースで培った技術力やデザインセンスが反映されている

ステラ/ゼファンの試聴会では必ずといってよいほど再生される、ハリー・ベラフォンテが1959年に録音した「アット・カーネギーホール」から試聴はスタート。録音手法がモノラルからステレオに移行する最初期の録音だが、ヴォーカルの存在感はもちろん、現場にいる観客の息遣いまで伝わってくるような鮮度の高さが圧倒的。SASHA DAWで試聴すると細かな情報量までつまびらかに引き出され、時を超える音楽の力に酔う。

SASHA DAWもダリル・ウィルソン氏の手によるもの。価格はスタンダードカラーで670万円(ペア・税別)

アナログの試聴で特に印象に残った盤は、アルトゥーロ・ミケランジェリのピアノ、カルロ・マリア・ジュリーニ指揮、ウィーン交響楽団による「ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番」。まさにオーディオの愉悦という言葉がふさわしいほど、ピアノの存在感とオーケストラのバランスが素晴らしく、非常に豊かなステージングが眼前に展開する。ピアノが「歌う」ではなく「踊る」とでも形容したくなるような溌剌とした動き、夜の帳が降りるように静かに消えゆくフレーズなど、物語性豊かな第5番を存分に楽しませてくれた。

他にも、ストコフスキー指揮による1960年ごろに録音された「ラプソディーズ」、ジャズトランペット奏者、ドク・チータムによる「イッツ・ア・グッド・ライフ」、パブロ・カザルスがホワイトハウスに招待されてレコーディングしたモノラル録音によるカタルニア民謡「鳥の歌」など、貴重なアナログレコードが次々に再生された。

今月頭に亡くなったミレッラ・フレーニを追悼して、彼女のレコード盤を再生する西川英章氏

先日死去したソプラノ歌手、ミレッラ・フレーニを追悼して、彼女のアルバム2作品も再生。「トゥーランドット」「オテロ」など著名なオペラの録音だが、非常に伸びやかで表現力豊かなソプラノを、CHRONOSONIC XVXは余裕たっぷりに再生してみせる。

橋隅社長は、「AIR FORCE ZEROはアナログレコードに刻まれた音情報を余すところなく引き出すよう開発されましたが、その微細な情報量をきちんと再生できるのも、CHRONOSONIC XVXの実力あってこそだ」とコメント。ウィルソン・オーディオが、「現代ハイエンドの正しい方向性」を示すスピーカーであることを改めて強調していた。

今後のステラ/ゼファンの製品の予定として、AIR FORCE V PREMIUMの開発が予定されているほか、HSE SWISSからもプリアンプが予告されている。こちらについても情報が入り次第レポートしたい。

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