上位シリーズで培った技術やパーツを継承

デノン、Hi-Fiコンポの新エントリー「800NEシリーズ」。プリメイン/CD/ネットワークの3機種

公開日 2018/07/09 11:00 編集部:小澤貴信
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

DACチップは、192kHz/32bit PCMや5.6MHz DSDに対応した「PCM1795」を搭載。これまで同社はより上位のプレーヤーに本DACを搭載しており、このクラスへの採用は初とのこと。デジタルフィルターはDACに内蔵されているものを使用せず、Advanced AL32 Processing Plusによって処理を行う。

DCD-800NE(上)とPMA-800NE(下)

上位機からDACマスター・クロック・デザインも継承。これは、DACをマスター、FPGAやDSPなどのデバイスをスレーブとして動作させることで、DACの正確な動作とデジタル回路全体の高精度な同期を実現するという設計思想だ。また、クロック発振器は44.1kHz/48kHzでそれぞれ1基ずつ搭載する。

Advanced AL32 Processing Plusは、同社独自のアナログ波形再現技術の最新バージョン。独自のアルゴリズムで44.1kHz/16bitのCDデータを705.6kHz/32bitへアップサンプリングおよびビット拡張を行うことで、デジタル化で失われた情報を補間し、本来のアナログ波形を再現するとする。なお、Advanced AL32 Processing Plusはハイレゾ音源の再生にも適応される。

Advanced AL32 Processing Plusを搭載

DCD-1600NEの回路構成を受け継ぎ、回路全体のシンプル&ストレート化を徹底するミニマム・シグナル・パス回路を採用。基板上の信号の引き回しを最短化して、回路間の干渉や外部からのノイズ混入などを最小化したとする。

D/A変換以降のアナログオーディオ回路には、同社オリジナルという容量3,300μのブロックコンデンサーを採用。また、エントリークラスながらDCD-2500NEやDCD-1600NEなど上位モデルでも使用されている音質パーツを多数採用。いずれの音質パーツもフラグシップ「DCD-SX1」の技術を汲むものだという。

DCD-800NEの筐体内部

独自の振動抑制構造「ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクション」により振動対策も徹底。電源トランスをフット直近に配置、ドライブメカをシャーシ中央の低位置に堅牢なスチールブラケットを介して固定するなどして、内部/外部の振動の影響を排除する。また、DCD-1600NEなどで採用された高密度かつ高剛性のリブ入りフットを採用する。

高密度かつ高剛性のリブ入りフットを採用


PMA-800NE − 192/24対応の同軸/光デジタル入力を搭載したプリメイン

プリメインアンプ「PMA-800NE」は、192kHz/24bit対応の同軸/光デジタル入力を搭載。テレビやゲーム機、ポータブルプレーヤーなどからのデジタル入力との組み合わせも想定できる。一方でMM/MC対応のフォノ入力も搭載してアナログレコード再生もサポート。現代における広範な音楽ソース利用を意識したプリメインアンプとなっている。

PMA-800NE

アンプ部には、一般的なトランジスタの3倍のピーク電流供給能力を持つというHC(High Current)トランジスターをシングル・プッシュプルで用いるシンプルな回路を採用。シングル・プッシュプルとは1ペアという最小単位の素子で増幅を行うことで、デノンは最上位モデルから一貫してこの方法を採用。これにより、多数の素子を並列駆動して大電流を得る手法において問題となる素子の性能のバラツキによる音の濁りを回避できる。

PMA-800NEの筐体内部

増幅回路にはPMA-2500NE、PMA-1600NEと同様にプリアンプでの増幅を行わず、1段構成のハイゲインパワーアンプのみで増幅を行うハイゲインアンプ構成を採用。信号が通過する回路と素子の数を減らし、経路も最短化して音の純度を高めている。

定格出力は50W+50W(8Ω、20Hz ~ 20kHz、THD0.07%)、100W+100W(4Ω、1 kHz、THD 10 %、JEITA)。

ハイゲインアンプ構成を採用

信号ラインを最短化するミニマム・シグナル・パス回路を採用して、回路のシンプル&ストレート化を徹底。また、音質への影響の大きい入力カップリングコンデンサーも排除。色付けを抑えた純度の高い信号伝送を可能にしたとする。

また、ソースダイレクトやフォノ入力の切り替えを機械式スイッチではなくリレーで切り替えること、プリアウト端子やACアウトレットを削除したことも、回路のシンプル&ストレート化に寄与するという。

また、フォノ回路、プリアンプ回路、パワーアンプ回路などの各回路間の相互干渉を抑制するために、各回路のレイアウトを分離する「S.L.D.C.(Signal Level Divided Construction)」構造を採用する。

ボリュームは、モーター駆動のアナログ方式ボリュームを採用。アナログ方式ボリュームは入力バッファー回路が不要で、電子ボリュームに比べてシンプルな回路構成が実現でき、鮮度の低下や色付けを避けられるメリットがあるとのこと。

デジタル入力は、光デジタルを3系統、同軸デジタルを1系統搭載。いずれも最大192kHz/24bitの入力に対応する。デジタル入力基板はシールドケースに封入することで、デジタルオーディオ回路からの輻射ノイズがアナログアンプ部へ影響を与えることを排除する。

フォノイコライザー基板

デジタルオーディオ基板は金属製ケースの中に収められている

アナログ入力はアンバランスRCAを4系統、フォノ(MM/MC)を1系統搭載。出力はアナログRCA(RECORDER)を1系統、ヘッドホン出力を1系統備える。スピーカー端子はバナナプラグ対応のスクリュータイプで、A/Bの2系統を備える。

次ページHEOS対応のネットワークプレーヤー「DNP-800NE」

前へ 1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE