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サウンドに加えてデザインや素材感にもこだわる

【ヘッドホン祭】デノン、音質とデザインを両立したポータブルヘッドホン「AH-MM」シリーズの発表会を開催

ファイル・ウェブ編集部 小澤貴信
2014年10月25日
ヘッドホン/イヤホン関連のメーカーが集うイベント「秋のヘッドフォン祭2014」が中野サンプラザで開幕。デノンは、先行して発表されていたポータブルヘッドホン「AH-MM」シリーズ3機種の発表会を開催した。

AH-MM400

左からAH-MM300、AH-MM200、AH-MM400

今回発表されたのはMusicManiacシリーズに登場したポータブルタイプのヘッドホンで、「AH-MM400」(実売4万円前後)・「AH-MM300」(実売3万円前後)「AH-MM200」(実売2万円前後)の3機種(関連ニュース)。MusicManiacの“プレミアム・ポータブルヘッドホン”と位置づけられる。発売日はAH-MM300が11月下旬、AH-MM400とAH-MM200が12月上旬となる。

AH-MM400はアラウンドイヤー・タイプのヘッドホンで、アメリカン・ウォールナット材のイヤーカップを採用。ピアノやギターにも使用される響きの良い天然木材を用いて、形状や厚み、仕上げに至るまで入念なチューニングを行っていることが特徴だ。

AH-MM400(実売4万円前後)

コンパクトに折りたたむことが可能


イヤーカップにはアメリカン・ウォールナット材を用いている

ハンガー部やヒンジはアルミアロイダイキャストを使用

ドライバーには40mmフリーエッジ・カーボン/ペーパー・コンポジット振動板を採用。イヤーパッドおよびヘッドバンドには、日本の皮革メーカーと協同で新開発した、肌触りと耐久性を両立する人工皮革を採用。コンパクトに折りたたむことができ、持ち運びにも考慮されている。

オンイヤー型ヘッドホンのAH-MM300は、AH-MM400と同様にフリーエッジ構造を用いた40mmフリーエッジ・カーボン/ペーパー・コンポジット振動板を搭載。ネオジウム・マグネットを採用した点も共通だ。

AH-MM300(実売3万円前後)


ハウジング部を90度回転させ、フラットにして収納できる

イヤーパッド部

イヤーカップには、本体内部で発生する不要振動をダンプし、高域から低域までナチュラルな音色を実現するGFRP素材を採用。表面はセラミック・フィニッシュを施している。やはりイヤーパッドとヘッドバンドには新開発の人工皮革を採用。本機はイヤーカップを回転してヘッドバンドとフラットにして収納することができる。

小型・軽量にこだわったオンイヤー型ヘッドホンであるAH-MM200は、新規開発の30mmトリプル・レイヤードPET振動板を搭載。高剛性と軽量性を両立する三層構造の振動板と高磁力ネオジウム・マグネットを採用している。

AH-MM200(実売2万円前後)。カラーはブラックとホワイトを用意


本機もコンパクトに折りたたむことが可能だ

イヤーパッド&ハウジング部

イヤーカップには、AH-MM300と同様にGFRP素材を採用。イヤーカップ表面のセラミック・フィニッシュ、イヤーパッドやヘッドバンドに採用された人工皮革などもこの上位モデルを踏襲する。本機はAH-MM400と同様に小さく折りたたんで収納することが可能だ。


素材感を活かした、女性でも使えるエレガントでシックなデザイン

発表会では、AH-MMシリーズの開発に携わった同社CSBUデザインセンターの福島欣尚氏が登場。AH-MMシリーズの開発において念頭においたのは、“デザイン”、“サウンド”、“コンフォート”の3点だった述べ、各ポイントについて説明してくれた。

ディーアンドエムホールディングス CSBUデザインセンター 福島欣尚氏

デザインについては、エレガントかつシックなイメージを追求したとのこと。ヨーロッパのデザイナーを採用し、クラシックで飽きのこない、男女のどちらにも使うことのできる意匠を目指した。最終的なデザインに至るまでには、アンケートやインタビューを繰り返し、その反応のフィードバックしていったという。

イヤーカップやハンガー部などの素材感にも徹底的にこだわった

AH-MM400に採用されたアメリカン・ウォールナット材。木目の美しさが際立つ

AH-MMシリーズにおいてデザイナーが特にこだわったポイントのひとつは、“手にしたときの素材感を大切にする”こと。ヘッドホンのハンガー部には通常はプラスチックを用いることが多いが、AH-MMシリーズ3機種ではアルミアロイダイキャストを使用した。AH-MM400はイヤーカップにアメリカンウォールナットの木材を採用。材質が堅いため加工が難しいが、木目が美しく音質にも優れるために採用を決めたという。この木材は寸法的な狂いも少なく、高級家具やピアノなどの楽器にも使われている。

女性も気軽に装着できるデザインを追求した

フリーエッジドライバーによる原音忠実再生を実現

肝心のサウンドについては、福島氏は特に詳細に解説。「デノンのサウンドは技術と人で継承しています。デノンの全製品のサウンドは、サウンドマイスター(米田晋氏)がチェックを行います。それはヘッドホンも同じです」とデノンの音作りのスタンスを紹介した。

デノンの音決めを行うサウンドマイスターである米田晋氏も紹介された

AH-MM400とAH-MM300のドライバーユニットには、40mm径のフリーエッジドライバーが採用されている。フリーエッジ・ドライバーは、一般的なヘッドホンの振動板と異なり、ダイナミック型スピーカーとほぼ同じユニット構造を取っている(下の写真を見ると、そのちがいがよくわかる)。振動板の素材には、一般的なヘッドホンがPETを用いているのに対して、本機はカーボンとペーパーの合成素材を用いている。ちなみにフリーエッジ・ドライバーは、同社のヘッドホンの旗艦モデル「AH-D7100」や「AH-D600」でも採用されている。他社での採用例はきわめて少ないという。

AH-MM400/MM300に採用されたフリーエッジ・ドライバー

PET振動板を採用した一般的なドライバー(左)と比較すると、ちがいがよくわかる

フリーエッジ・ドライバーの長所は、正確なピストンモーションが可能なこと。開発にあたっては、ドライバーの動きにレーザーを照射してその動きを解析し、正確なピストンモーションが行われているかの確認を繰り返した。また、フリーエッジ・ドライバーはf0が低く設定できるため、共振周波数も低くできる。こうした要素により正確な音の再生が可能となり、さらにはデノンらしい中低域の押し出しや、歪みの少ないクリアな中高域の再現の要にもなった。

駆動するドライバーにレーザーを照射して正確なピストンモーションが行えているか測定を繰り返したとのこと

むき出しの振動板を駆動させてそこにライトを当て、ピストンモーションを可視化するデモも行われた

なお、AH-MM200は小型・軽量化を最優先したこともあり、前述のように3層構造のPET振動板を搭載している。福島氏は本機の音質傾向について「小口径でもパンチのあるサウンドを実現できた」とコメントしていた。

ドライバーを固定する機構部分にも注力したとのこと。福島氏は、部品に衝撃を与えた際の振動が減衰していく模様を示したグラフを示し、「一般的なプラスチックでは不要振動が音質に悪影響を与えるため、AH-MMシリーズではグラスファイバーで強化したプラスチックであるGFRPを採用しました」と述べた。GFPRは内部損失が高く、音がきれいに減衰するという。

一般的なプラスチックとGFRPによる振動の減衰の比較

音作りにおいては、ポータブルヘッドホンという特性上、スマートフォンやポータブルプレーヤーでもしっかりと鳴らせることも重視したとのことだ。

デノンオリジナルの合成皮革を採用し付け心地にもこだわった

最後に“コンフォート”、装着感へのアプローチについて説明。付け心地の良さと耐久性を追求するため、イヤーパッドには新開発の合成皮革と低反発ウレタン素材を採用した。

装着感にもこだわり、独自の合成皮革や厳選した低反発ウレタンを採用

合成皮革はデノンオリジナルで、国内メーカーと協力して開発したもの。一般的な合成皮革は汗などによる加水分解によって経年劣化していくが、AH-MMで採用された合成皮革では加水分解に帯する耐久性を2倍に向上させた。低反発ウレタンについても、品質を重視して国産品を採用。頭や耳にかかるイヤーパッドの圧力を計測しながら、平均的に柔らかく接触するように試作を重ねたという。

デノンはヘッドホンにおいても50年の歴史を誇る

発表会の冒頭ではディーアンドエムホールディングスの宮原利温氏が登場。「デノンは100年の歴史を持つHi-Fiオーディオブランドであり、先日発表したPMA-SX1のようなオーディオコンポーネントを手がけていますが、その一方で現代の新しいリスニングスタイルでデノンのHi-Fiサウンドを楽しんでいただける製品も積極的に手がけています」と述べた。

ディーアンドエムホールディングス 宮原利温氏

さらに高い評価を得たUSB-DAC「DA-300USB」や発売されたばかりのポータブルヘッドホン「DA-10」を引き合いに出しながら、ポータブルでもデノンサウンドを楽しめる製品に力を入れていることをアピールしていた。また、デノンがヘッドホンブランドとしても50年の歴史を誇ることも紹介していた。

DA-300やDA-10についても言及

デノンがヘッドホンにおいても長い歴史を誇ることが紹介

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