オーディオ 商品レビュー

次へ

オーディオ 関連インタビュー

次へ

<高橋敦のハイエンドショウレポート>信楽焼から鋳鉄まで − 個性豊かなスピーカーを聴く

2006年10月07日
設計思想の違いが見た目に現れやすいスピーカーは視覚に訴える力大きく、会場に華をもたらす存在感がある。今回の会場でのスピーカー展示全般、そして特に気になったいくつかを紹介させていただきたい。

まず全般を見てだが、大手メーカーのエントリー製品の展示が充実していたことが印象に残った。

ハイファイジャパンのブースには、新製品「Bronze Reference」シリーズが並ぶ。既報の通り、C-CAMトゥイーターの定格向上が主な改良点だ。定評を得ていたエントリーシリーズのアップデートであり、オーディオ入門層はぜひチェックしてほしい。

ディナウディオジャパンは、「Audience」「Focus」シリーズに「ATOLL」ブランドのアンプ/プレイヤーを組み合わせたシステムを提案。ハイコストパフォーマンスなシステムであり、これを聴いてひとつの基準とするのも入門の参考になるだろう。

「Bronze Reference」シリーズ(他にフロア型2機種)

「Audience」「Focus」シリーズ

では、目を引いた個性的な製品を見ていこう。

驚いたのは、信楽焼をルーツに持つ球形セラミックキャビネット採用スピーカーが2社から出展されていたことだ。東志(製作はセリカクリエーションズ)と丸十製陶である。

二者が同じ答えに行き着いたというのは、そこに有効性があるということだろう。素材の多孔性がもたらす適度な振動減衰と吸音というのがその鍵のようだ。また、球形のメリット(定在波回避、強度向上)はタイムドメインスピーカーでもおなじみだが、焼き物の技術を使えば球形にするのは難しくない。

デモ時刻とタイミングが合わず、どちらもじっくりとは聴けなかったが、共通したのはサイズ(どちらも10cmフルレンジ)からの予想を上回る低域。重みというよりは「響き」が印象的であった。

またセリカの製品は「点音源・無指向性」を謳うが、たしかにその心地よい広がりは従来のスピーカーとは異なる感触。明瞭な音像だが、BGMに向く耳あたりの良さも持つ。

セリカクリエーションズ(東志ブース)

丸十製陶はこの他にインテリア性の高い筒型+照明内蔵モデルの試作品も展示

続いては「弦楽器の理論と工法」というキーワード。

オンキョー「D-TK10」は、アコースティックギターの理論と工法を導入したスピーカー(キャビネット製作は高峰楽器)。マホガニー単版にギター独特の振動調整手法であるブレイシングを施したキャビネットが特徴。定在波を抑えるラウンド形状にも、ギターのボディサイドでの「曲げ木」工法が活かされている。
今回は素材をメイプルとローズウッドに代えた試作機が展示されていた。どちらもギターでは一般的な木材で、マホガニーよりブライトでアタッキーな傾向を持つとされる。限定発売も考えているとのことで楽しみだ。

マイクロピュア「Cz302ES」のキャビネットはラウンド削り出しのメイプル/マホガニー。発想はヴァイオリンから得ており、キャビネット製作はギター生産大手のフジゲンだ。

キャビネットを響かせるタイプだが、共振周波数を分散させつつ最小時間のみ響かせることで、余計な音色を付け加えずに低域再現性向上などのメリットだけを得ているのがポイント。これに特許マイクロピュアテクノロジーとムラタスーパーツィーター(そういえばこれもセラミック、つまり「焼き物」だ)が組み合わされ、上にも下にも驚異的に伸びやかに歌う。


D-TK01左からローズウッド、メイプル、メイプルサンバースト仕上げ

Cz302ESはバック工芸社とアポロンインターナショネルのブースでも利用されていた
他にも、もはやおなじみのクボテック「HANIWA」やキャストロンのダクタイル鋳鉄など、個性なアプローチと外観の製品が勢揃い。目と耳で楽しめるショーである。

(高橋敦 プロフィール

hiend2006report

関連記事