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ボーズのプロフェッショナルラインナップへ新たに4機種のスピーカーが追加される。屋内専用の「DS16S」、屋外・屋内どちらでも使用できる全天候型スピーカーの「DS16SE」と「DS100SE」、同一のコンセプトを持ちながら高さ10mもの天井への設置が可能な埋め込み型スピーカー「DS100F」だ。さらに3つの動作モードを自在に活用できるデジタルミキサー・アンプ「DXA2120」も加わり、“FreeSpace”シリーズとして送り出される。
■ボーズ“FreeSpaceシリーズ”の新製品ラインナップ
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まず「DS16S/SE」、「DS100SE」の共通する部分として上げられるのがローインピーダンス/ハイインピーダンス対応で、その切り替えが容易にできる点、そして設置に対しても3ステップで簡単にセッティングできるという手軽さをアピールしている点だ。
インピーダンスの切り換えはダイヤル式となっている。このダイヤルはスピーカーを設置したあとでも即座に対応できるよう、グリル側に設けられている。
普段家庭で楽しむオーディオ用途には8Ωや6Ωというローインピーダンスモデルが使われるが、業務用途においては一つの空間に10個以上のスピーカーを設置するといったケースも少なくない。この時に問題になるのが伝送時のロスである。ある一つの空間にまんべんなくスピーカーを設置するということは、それだけ長い距離の配線をしなければならない。ハイインピーダンス伝送は長距離伝送における損失が少なくできるので、このような設備向け配線に多く用いられるのだ。もう一つの特徴である設置のしやすさは工事時間の短縮に繋がる。大量のスピーカーを設置する場合、時間との勝負となる一方、配線時に極性を間違えたりするといったミスが起こらないとも限らない。こういった事態を招かないよう、本シリーズではワンタッチで取り付けブラケットに接続できる特殊な形状としているため、極性を間違えるようなこともない。
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| ▲「DS16S」では本体グリル脇の右側面カバーを外した箇所に、簡単に出力が切り替えられるマルチ・タップトランスを設けている |
▲「DS16S/SE」は専用のブラケットを付属しており、わずか3ステップでの簡単な壁設置を実現している |
一つのスピーカーが奏でるサウンドが、どれだけ広いエリアをカバーできるかということも業務機では重要になる。室内専用の「DS16S」と屋外兼用の「DS16SE」は5.7cmフルレンジドライバー1本のみのシンプルな構成であるが、水平170度、垂直160度(水平設置時)という広い範囲をカバーできる。13cmウーファーと2本の5.7cmツィドラードライバーを搭載する「DS100SE」にしても、アーティキュレイテッド・アレイにより水平180度、垂直75度(アレイの付け替えにより、水平・垂直設置どちらにも対応)というエリアをカバーしており、一定の音質を保ったまま広い範囲に的確なサウンドを届けることができるという。埋め込み型のDS100Fでは13cmウーファーと5.7cmツィドラードライバー1本ずつの組み合わせになるが、真下に向け160度コニカルで均一な指向性を持たせるとともに、天井が高い吹き抜けに設置する場合でも十分なパワーによって、スピーカーの存在を目立たせず、グラウンドレベルまで的確なサウンドを届けることが可能となっている。
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| ▲全天候型スピーカー「DS100SE」は、2本の中高域を担う5.7cm口径“ツィドラードライバー”と、13cm口径のウーファーを1本搭載。広いカバーエリアを実現する独自のアーティキュレイテッド・アレイ設計が採用されている |
▲「DS100F」は中高域の再生を担う5.7cm口径“ツィドラードライバー”1本と、低音再生を担う13cm口径のウーファーを搭載。指向特性は160度のコーン状とし、効率の良い音響プランを実現する |
そして今回「DS16S/SE」と「DS100SE」では、サウンド面において明確な位置付けを持たせているという。小型の「DS16S/SE」は“バックグラウンド”、大型の「DS100SE」は“フォアグラウンド”という分け方だ。“バックグラウンド”はその名の通り、商業施設内でBGM的に音量を落として使用するパターン。対しての“フォアグラウンド”はCDショップなど音楽をしっかり聴かせたいという商業施設向けに、音量も出せて音質にもこだわりたいといった用途に適したものである。ボーズには「101シリーズ」という11.5cmフルレンジドライバーを用いたロングランヒット・モデルが存在していることはご存知であろう。この101シリーズは知名度が高くオールマイティな存在であるがゆえに、一方ではその性能が正しく発揮されない使われ方がされているケースもしばしば見られる。しかし今回の「DS16S/SE」と「DS100SE」のように、その両翼方向を担う存在が登場したことで、より広い活用方法が提案できるといえよう。
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| ▲多彩な音響レイアウトと簡易な操作性を実現した、多機能デジタルミキサー・アンプ「DXA2120」。本体正面にチャンネルごとのボリュームノブを搭載するほか、パネル内インターフェースではより詳細な操作が可能になる |
▲「DXA2120」のオプションとして販売される、専用ボリュームコントローラー「DXA
VC」。本体から離れた場所でも「DXA2120」の操作が可能になる。「DXA VC-AB」はゾーンごとの独立したボリューム調整と2系統までのソースの切り替えにも対応する |
このスピーカーの幅広い活用方法を具現化する強力なツールが「DXA2120」である。一つのゾーンに向けて、4つの入力からの音声をミックスして届ける“ミキサーモード”、音質優先指向で一般的なステレオアンプとして活用する“ステレオセレクトモード”、そして2つのゾーンに向けて各々違う内容のソースを送る“デュアルモノセレクトモード”という、3つのモードを設け、システムプランの構築が可能だ。コントロールは本体の操作に加えて、オプションとして専用のボリュームコントローラー「DXA
VC/VC-AB」が用意され、機器の操作に詳しくないユーザーでも、単純な切り替えでオペレートできるようにした手軽さも製品の魅力である。これまでのラインナップには“ControlSpace”「ESP-88」という、大規模な施設に向けて詳細な入出力設定ができるコントローラーも存在しているが、システムが複雑で専門知識を持ったユーザーでもない限り操作が難しいという課題があった。しかし「DXA2120」はこの「ESP-88」の機能性を縮小・簡略化しながら、アンプも内蔵したイージーオペレーションモデルであり、小規模な店舗でも手軽に扱えるところが最大のメリットとなっている。 |