【毎月連載】 オーディオ・ビジュアルファンのためのエンターテインメントコラム
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毎月連載のPhile-web特別企画「Sound Adventure(サウンド・アドベンチャー)」では、オーディオ・ビジュアルエンターテインメントの最前線で活躍される評論家の方々を「ナビゲーター」に迎え、いま最も注目を浴びるデジタルエンターテインメントのスタイルを徹底探求します。最新オーディオ・ビジュアル製品のレビューやハンドリングレポートも毎回紹介して行きます。
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今回は9月にドイツで開催されたIFA2006の取材に当たって、ボーズのノイズキャンセリングヘッドホン「QuietComfort 3」を試す機会を得ることができた。私は普段からiPodをはじめ、ポータブル機器でよく音楽を聴く方と自負しているが、普段はイヤホンを主に使っている。ノイズキャンセリングヘッドホンについては、これまでに本格的に使い込んでみたことがなかったので、じっくりと試す絶好の機会となった。
レポート:Phile-web編集部 山本


私にとってIFAベルリンショーを取材する機会は2003年、2005年に続いて今回が3回目となる。今年もエキサイティングな出展内容を期待しながら胸を躍らせつつも、飛行機での長旅には未だ慣れることができず心が重かった。ベルリンは国際的な大都市にもかかわらず、東京からは直行便がどこの航空会社からも飛んでいない。今回
私は乗り継ぎを含めて約14時間と、比較的短時間でベルリンまで辿り着けるスカンジナビア航空(SAS)で旅をすることに決めた。

往路の便は正午近くに日本を飛び立った。離陸後間もなくして、私は早速「QC3」の入った専用キャリングケースを開けてみることにした。キャリングケースの中にはヘッドホン本体、ケーブル、充電器・充電池のほかに、ヘッドホンを機内エンターテインメントシステムに接続するための専用プラグが同梱されている。このプラグは、デュアル、またはシングルの3.5mm出力ジャックの両方に対応する便利な2Way仕様となっている。今回SASのシステムにはデュアルタイプで装着することができた。

飛行機が無事離陸したことを確認した後、早速「QC3」のセットを取り出した。専用のキャリングケースには本体をはじめ、付属品一式を整然と収納することができる 機内エンターテインメントには付属の専用プラグでつなぐ。今回はデュアルタイプで装着できた

まずは本体の電源スイッチをONにして、「QC3」のノイズキャンセリング効果の程を確認してみる。なるほど、飛行機特有の「ゴー」と鳴り響く飛行音がすっと消え、心地よい静寂が訪れた。これに気を良くした私は、続いて「QC3」で映画鑑賞を楽しんでみることにした。

機内エンターテインメントでは、10本前後の映像タイトルから好みの作品が楽しめる。今回は、結局劇場公開を見逃してしまった映画『ダ・ヴィンチ・コード』をみることにした。こちらは本編収録時間が約2時間半という大作だ。私は普段、ヘッドホンを長時間使うとすぐに頭が痛くなる質なので、家庭での映画や音楽鑑賞にヘッドホンを用いることは少ないのだが、驚いたことに「QC3」での鑑賞時にストレスを感じることは一度もなかった。「QC3」はイヤーパッドを耳に直接押し当てるオンイヤータイプのヘッドホンだが、耳から頭全体を押しつけられるような感覚はない。その上、ノイズキャンセリングについては映画の音声が流れると同時に効果を増し、飛行音が全く聞こえなくなるほどだった。

イヤーパッドに採用される超低反発ウレタンをはじめ、人間工学に基づく快適な装着感が追求されている。おかげで映画2本を鑑賞した後も疲れることはなかった 飛行機の騒音もノイズキャンセリング効果によりシャット・オフされるので、心地よく眠ることができた

『ダ・ヴィンチ・コード』を心地よく楽しめたので、立て続けに映画『X-MEN:ファイナル ディシジョン』も鑑賞した。「QC3」は専用の充電式リチウム電池を採用しているが、こちらは2時間ほどのフル充電で約20時間の連続使用ができるので、長旅で使う際には頼もしい限りだ。



今回の取材期間中に滞在したホテルは、ベルリン市内の真中にあるティアーガルテンという大きな公園にほど近い場所にある。ホテルに到着してすぐの頃はとても静かな場所かと予想していたが、宿泊する部屋に落ち着いてみると、なかなか騒々しい場所だ。ホテルはベルリンでも最も車通りの多い「6月17日通り」に面しており、夜にも救急車のサイレンが騒々しく鳴り響く場所だったのだ。レポート原稿の執筆作業は根気と集中力が必要だ。思いの外賑やかな部屋に戸惑いながらも、作業机の整頓を始めることにした。

イベント初日の取材を終え、私は集中して原稿が書けるよう「QC3」の力を借りることにした。ノイズキャンセリングのスイッチをONにすると快適な静けさを得ることができる。おかげで外を走る車の走行ノイズが気にならなくなった。

原稿書きの合間に気分転換をしたくなった時には、ノートパソコンに「QC3」をつなげてインターネットからダウンロードしたポッドキャストの番組や、保存しておいた音楽を聴いてリラックスする。これで毎日、気持ちよく原稿を書ける環境が整った。

ホテルに到着後、早速電池を充電する。充電器がユニバーサル対応なので、世界中どこを旅しても使えるのが心強い 原稿を書くのに疲れたときは、「QC3」をパソコンにつなぎ、ポッドキャストや音楽を楽しんだ


イベントの取材も2日目にして佳境へと突入した。今日は会場とホテルを何度か往復して、出来るだけ多くのネタ集めとレポートの執筆を進めておきたい。ホテルと会場との間は電車で移動する。地上を走る近郊列車の「Sバーン」と、地下鉄の「Uバーン」の両方を使うことができる。

ベルリン市内を走る地下鉄には窓を開け放って走行する車両も数多い。移動中も音楽を楽しみたいのなら、ノイズキャンセリングヘッドホンは必須アイテムだ

移動時の大半、私は「QC3」と「iPod」を携帯して音楽を聴いていた。ところがベルリンの地下鉄はやたらにうるさい。ドイツの電車にはクーラーが備わっていないので、夏場の暑い日には窓が開けられている列車も多く、電車の走行音や線路のきしむ音が客室に容赦なく飛び込んでくる。普通のイヤホンやヘッドホンではまともに音楽を聴くことができないこの状況で、ノイズキャンセリングヘッドホンである「QC3」は見事な効果を発揮し、快適なリスニング環境を与えてくれた。



この日は原稿を夜中まで書き続け、午前2時頃にようやくベッドに入ることができた。やっとゆっくり眠ることができるというのに、原稿書きでテンションが高まってしまったせいか、なぜか眠りに就くことができなくなってしまった。先述したとおり、ホテル周辺の環境が賑やかなことも影響しているのかもしれない。そこでこの日の夜はiPodの楽曲を「QC3」で聴きながら精神を落ち着かせることにした。

夜もベッドサイドで「QC3」を楽しむ。iPodに入れた楽曲のコレクションをあらためて聴き直してみた

気持ちを静めて音楽を集中しながら聴いていたところ、今更ながら「QC3」のオーディオ的再生能力の高さに気が付いた。普段聴いている音楽が、極めて細かなディティールまで再現されていることに驚く。ロック系のバンドものでは、普段聴いているイヤホンでは完全に埋もれてしまっている楽器の音や、繊細なボーカルの表現までもがしっかりと伝わってくる。ジャズピアノ系のタイトルでは、音と音の間の静寂も表現されているようだ。これまでにiPodに録り貯めていた楽曲を、もう一度全部「QC3」で聴き直してみたくなったほどだった。結局あれこれと曲を聴いているうちに、気が付けば夜中の3時になっていた。



IFA2006の取材も無事終了した。今回の取材期間中は実に様々な場面で「QC3」を活用してみた。帰りの飛行機でも、イージーリスニングのチャンネルに合わせて、心地よい眠りをノイズキャンセリング効果による静かな環境とともに満喫した。

今回IFA2006の取材を通して、欧州のコンシューマーが映像、音楽ともに次世代の高いクオリティを求め始めていることがはっきりとわかった。一方でドイツには様々な年齢層のオーディオファンが存在しており、ベルリンの街を歩いている時も、ヘッドホンで音楽を聴いている人々を数多く見かけたことが印象に残った。「QC3」は欧州でも今年の夏に発売された。その先進性とオリジナリティは、きっと欧州のオーディオファンにも高く評価されることだろう。

(Phile-web編集部 山本)

BOSE
ノイズキャンセリング・ヘッドホン
QuietComfort3
¥47,250(税込)

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