記憶喪失 × プロレス?! 佐藤隆太主演の青春ガチンコ☆グラフィティー
ミヤザキタケルサブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2008年公開の『ガチ☆ボーイ』をご紹介します!
◇
『ガチ☆ボーイ』(2008年・日本)
(配信:U-NEXT)
発売元:フジテレビジョン・ROBOT・東宝/販売元:ポニーキャニオン
人気劇団モダンスイマーズの舞台「五十嵐伝〜五十嵐ハ燃エテイルカ〜」を、『ちはやふる』シリーズや『父と僕の終わらない歌』などで知られる小泉徳宏監督のメガホンで映画化した青春コメディ。
弁護士を目指し大学でも“秀才”として知られる青年・五十嵐(佐藤隆太)は、事故が原因で眠るとその日にあった出来事をすべて忘れてしまう障がいを背負うことに。大学卒業後は実家の銭湯を手伝う以外の道がなく、せめて残された学生時代は好きなことをしようと、憧れであったプロレス研究会の門を叩くのだが……。
『メメント』『50回目のファーストキス』『一週間フレンズ。』など、限られた時間や期間しか記憶を維持できない登場人物が主軸となる作品がいくつかある。大抵はサスペンスや恋愛ものとして描かれがちだが、それらの要素を用いて“青春もの”を描いているのが本作最大の魅力であり見どころ。
日頃からポラロイドカメラと手帳を持ち歩き、部長の奥寺(向井理)やマネージャーの麻子(サエコ)らに障がいがバレないよう奔走したり、段取りを覚えられないながらも学生プロレスに奮闘したり、まともに言葉も交わさなくなった父親に対して葛藤したり、五十嵐の一挙手一投足が目にする者の心を揺さぶり続けていく。
基本的にはコメディタッチに描かれてはいるものの、根底に宿るドラマの骨太さが支柱となり、やがて大きな感動をもたらしてくれることだろう。記憶には残らずとも、練習に打ち込んだ時間が身体に刻まれていくことで大きな一歩を踏み出す五十嵐の姿が、きっとあなたの背中を押してくれるはず。
(C)2008 フジテレビジョン/ROBOT/東宝
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
| ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 宝島社sweetでの連載をはじめ、WEB、雑誌、ラジオなどで、心から推すことのできる映画を紹介。そのほか、イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30 人のシネマコンシェルジュ」など、幅広く活動中。 |
- トピック
- ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ