KEFの“ラグジュアリー”スピーカーを楽しむ夜。「LS LUXE」発売記念イベントをレポート
筑井真奈スピーカー1組だけで完結するラグジュアリーオーディオ
KEFのアクティブスピーカー「LS LUXE」の発売記念イベントが、表参道のKEF Music Galleryにて7月17日に開催された。オーディオ評論家・角田郁雄氏のナビゲートにより、Qobuzやアナログレコードで、クラシックやロック、ジャズのライブ盤まで深く楽しめる一夜となった。
角田氏は以前からKEFのアクティブスピーカーを高く評価していたが、特に最新の「LS LUXE」にはかつてないほどに惚れ込んでおり、「デザインの良さ、高音質、機能、技術がウェルバランスした素晴らしいスピーカーです」と惜しみない賛辞を送る。
かつてのオーディオマニアは、オーディオ機器をセパレートして、どんどん機材を増やしていく傾向にあった。しかしアンプやスピーカー技術が高まった結果、現代においては「ワンスピーカーでも非常に優れた音質を実現できます!」と角田氏は喝破する。そして音質の高さに加えて、ラグジュアリーな意匠もまとった点が、まさに「LS LUXE」の魅力の核心だと解説する。
KEFの音質技術を手書きのイラストで詳しく解説
イベントの1曲目は、角田氏の“十八番”である2Lレーベル「Quiet Winter Night」をQobuzで再生するところからスタート。この音源をさまざまなシステムで聴いてきた角田氏も、「ここまで伸びやかなトランペットの高域が出せるスピーカーも少なく、また空間描写性も優れています」と高く評価する。
ECMレーベルから発売されているSimin Tanderの「Meena」は、エキゾチックな香りが部屋全体を満たす。マドンナの最新アルバム『CONFESSIONS II』では、年齢(なんと68歳!)を感じさせないアグレッシブで遊び心に溢れたサウンドに心が躍る。
角田氏はLS LUXEの高音質技術について、「徹底した低歪みの追求」があると指摘する。具体的には、回折効果の低減を狙った曲面を活用したキャビネット、点音源再生を狙ったUni-Qドライバー、高域の不要サウンドを消滅させるMAT技術の搭載などがある。その歪み感の低さは、キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」のピアノの自然な響きが説得力を持って示す。
もうひとつLS LUXEの重要な技術が、アンプが電流駆動となっており、増幅時に発生した歪みを、リアルタイムでフィードバックする「VECO」(Velocity Control Technology)である。角田氏は手書きのイラストとともに、その詳細を詳しく解説する。
4つのコイルを持ったフィルム状のセンサーがUni-Qドライバーの背後に搭載されており、このセンサーが歪みを検出しアンプ側にフィードバックするというもので、「音質のためのまさに画期的な技術」と角田氏も衝撃を受けたという。2Lレーベルの『Magnificat』の少女合唱団の透明度高い歌声は、まさにその効果の賜物と言えよう。
Bluetooth再生でもLS LUXEの良さが生きる!
イベント後半はレコード再生の時間。なんとオーディオテクニカのアナログプレーヤー「AT-LP120XBT-USB」から、BluetoothでLS LUXEに飛ばすという新しい試みを実施。「Bluetoothなんて音悪いんじゃないの? と思われる方もいるかもしれませんが、これが侮れない音がするんです!」と角田氏は自信たっぷり。
先ほどQobuzで再生したマドンナ『CONFESSIONS II』から「White Heat」をレコードで再生すると、これが踊り出したくなるようなワクワクに溢れている。自然に身体が動いてリズムを取り始めた参加者もいるほどで、レコード×Bluetoothで新たな音楽の楽しさに出会う。
イベントの締めは、今年生誕100年を迎えたマイルス・デイビス。角田氏はマイルスの魅力について、「決して過去を振り返らない」、演奏が進化していくさまにあると言う。とくに“エレクトリック・マイルス”には深い思い入れがあり、日頃から愛聴しているそうだ。
1989年のライブ盤『ライブ・アラウンド・ザ・ワールド』から「タイム・アフター・タイム」を再生、「ベースとマイルスのデリケートな掛け合い、フィナーレのトランペットの雄叫びを聴いてください」と案内する。聴き進めていくうちに、レコードであることもスピーカーであることも忘れ、ただ89年のマイルスと直接心で対話しているような、不思議な気持ちになってくる。
角田氏はレコードをBluetooth再生するメリットについて、「置き場所の自由度が高まる」と説明。アナログプレーヤーは他の機器の近くに設置すると、ハムノイズなどを発生してしまうこともある。Bluetoothならば離れた位置にも設置できるので、インテリアにもこだわったセットアップが実現できるのだ。
来場者からも、「サブウーファーなしでここまでの低域が出せるなんて!」と驚きの声があがったほか、背面のヒートシンクのようなデザインの細やかさに感嘆する声、より良いセッティングに関する詳細な質問なども寄せられていた。
設置の自由度も高く、1組のスピーカーだけでラグジュアリーな音楽ライフを実現できるLS LUXE。加えてレコード再生への拡張も手軽に実現できる、アクティブスピーカーならではの魅力にじっくり迫ったイベントとなった。