BD『さらば愛しきアウトロー』で追悼ロバート・レッドフォード!俳優引退作は紳士なアウトロー
映像ソフトがVHSからDVD、Blu-rayへと進化するなか、過去の名作映画もそれぞれのパッケージで発売されてきた。そんな旧作ソフトの中から、米谷紳之介氏が特におすすめする作品をご紹介。今回お届けするのは現在発売中の『さらば愛しきアウトロー』(BD)。何年経っても色褪せない名作の魅力をホームシアターで再発見しよう。(PHILE WEB編集部)
『さらば愛しきアウトロー』(BD)
●製作:2018年/米 ●ジャンル:洋画ドラマ ●監督:デヴィッド・ロウリー ●出演:ロバート・レッドフォード、ケイシー・アフレック、シシー・スペイセク ●本編ディスク:93分、スコープ、●本編音声:英語DTS-HD Master Audio 5.1ch、英語リニアPCM2.0ch/MPEG-4 AVC ●字幕:日本語 ●特典:キャストインタビュー集、日本版予告
サンダンス映画祭を立ち上げた、ハリウッドの元祖イケメンスター
端正なマスクにブルースカイの瞳、ブロンドの髪。ロバート・レッドフォードの容姿に漂うのはさわやかさである。アクの強さや嫌味は少しも感じられない。ゲイリー・クーパーやグレゴリー・ペックの系譜を受け継ぐ、ハリウッドの正統派二枚目俳優といってもいい。
しかし、下積みの時代もあった。『明日に向って撃て!』でブレイクしたのは32歳のときだ。その2年前に『卒業』のオファーを受けたときは、「ぼくが女性を知らない男に見えますか」と、毅然と断っている。気骨の人である。
1980年には監督業にも進出し、『普通の人々』でアカデミー監督賞を受賞。当時、「これから若くなることはできない」と語っていたのが印象的だった。翌年には若手クリエイターの育成を目的にサンダンス・インスティテュートを設立し、やがてサンダンス映画祭を主催。コーエン兄弟やジム・ジャームッシュら多くの映像作家が「サンダンス」から巣立っていった。
最後まで気骨のある映画人。俳優引退作は実在の紳士強盗を演じた痛快作
そんなレッドフォードは自らの引退作『さらば愛しきアウトロー』の監督に「サンダンス」で脚光を浴びた新鋭、デッヴィッド・ロウリーを起用した。豪華スターが共演する大作などではなく、インディペンデント映画のようなつくりの作品を選んだところに彼の映画人としての生き方や矜持を思う。
演じるのは実在した人物フォレスト・タッカー。83歳で亡くなるまでに60回以上の銀行強盗を実行し、脱走や脱獄も18回繰り返した。ところが、手荒なことを一切しなかったという。一応、銃を持ってはいるが一度も使わなかった。
被害者であるはずの銀行員も犯人について「とてもいい人」「礼儀正しい」「幸せそうでした」と語り、たまたま非番で強盗の場にいた刑事(ケイシー・アフレック)も、何一つ異変に気づかなかった。それどころか、フォレストの事件の担当になると、彼の生き方に惹かれてしまう。ひょんなことからフォレストと知り合った女性(シシー・スペイセク)も彼がカタギでないと気づきながら、どんどん心を奪われていく。
監督のデヴィッド・ロウリーは説明的な描写をしない。抑制を効かせ、悠揚迫らぬタッチで物語を紡ぎ、映画は他の映画では味わうことのない不思議な緊張感に包まれている。
原題は『老人と拳銃』。邦題はいささかセンチメンタルに過ぎるが、レッドフォードにアウトローが似合うのも事実だ。最後も「老いたアウトロー」を幸せそうに演じ切った。





























