PR 公開日 2024/03/13 06:30

ヘッドホンでもスピーカーでも実力を発揮! HIFIMANの多機能アンプ「Goldenwave SERENADE」レビュー

ネットワークストリーマー機能も搭載!


■プリアウト機能を搭載するためスピーカー接続もできる



セレナーデにはもうひとつ大きな魅力がある。それがスピーカー環境へ投入できることだ。RCAおよびXLRのライン出力があるので、1台のソース機器としてハイファイオーディオシステムに組み込んだり、ボリューム調整機能を利用して単体のパワーアンプと組み合わせたりして、一般的なパッシブスピーカーを鳴らすことが可能だ。さらに小型シャーシの設置性のよさを生かして、近年存在感の増しているアンプ内蔵アクティブスピーカーと組み合わせたデスクトップシステムも構築できる。


薄型の筐体だが、太めのケーブルの取り回しも容易だ。
そこで、編集部と相談して、ライン出力およびプリアンプ部の音声品質と使い勝手も検証することにした。

■超ド級のスピーカーとアンプと組み合わせても「予想を超える実力を発揮」



取材当日、音元出版の試聴室に入った僕は予想外の光景に驚いた。目の前に設置されていたのは、市場価格約370万の英国Bowers & Wilkins社のハイエンドスピーカー「803 D4」ではないか。そしてパワーアンプは日本が誇るハイエンドメーカー、アキュフェーズのA級ステレオパワーアンプ「A-80」。ソース機器&プリアンプとして使用するセレナーデにとって不足はない組み合わせともいえるが、「このハイエンドシステムとバランスは取れるのであろうか?力不足にならないか」と一抹の不安もある。

しかし、結果から話すとセレナーデは僕の予想を超える実力を発揮した。

取材は音元出版の試聴室にて実施した。

まずはNASに保存されたハイレゾファイルから、クラシックのオーケストラ楽曲、グスターボ・ドゥダメル,ロサンゼルス・フィルハーモニック『ドヴォルザーク:交響曲第7・8・9番』(96kHz/24bit FLAC)を聴く。楽曲冒頭のトッティは全楽器が壮大に音を出すが、低音域を担当するコントラバスに厚みがあり、トランペットなどの金管楽器は艶やかで色彩感に溢れる。楽曲全体の分解能は価格以上のものがあり、コストパフォーマンスに優れた音だと気が付く。ヴァイオリンやチェロなどの弦楽器は艶やかかつ生楽器らしさもあり、表現力不足による人工的な音とは無縁の音だ。


試聴に使用したスピーカーはBowers&Wilkins「803D4」。
女性ボーカル、アデルの『30』(44.1kHz/24bit FLAC)は、SNの高さに裏付けられた、素晴らしく透明感のある声質でバックミュージックに対するディテールがシャープだからアーティストとの距離感が近く感じる。ピアノの音色は艶やかで音場も広い。

2曲を聴いて気がついたのだが、セレナーデのソース機器、プリアンプとしての音質は全体的にディテールがシャープで音が早い。そしてこの音がさらに活きてくるのが現代のJ-Popだった。YOASOBI『アイドル』(96kHz/24bit)は、エレクトリックシンセサイザーの粒立ちがよく、音色のよさと相乗効果により、かなりの好印象。本楽曲の特徴であるエレクトリックベースの重量感とスピードをしっかりと表現しつつ、音が団子にならない。メロディアスかつノリのよい本楽曲を理想的に近い形で表現してくれる。もちろんパワーアンプの力も大きいが、DAC部やプリアンプ部のよさを感じ取ることができた。

さらに、セレナーデは話題の統合型再生ソリューションroon(ルーン)のエンドポイントとして使用できる。ここではアイ・オー・データのオーディオサーバー『HFAS2-X40』をroonサーバーとして使い、サブスクのストリーミングサービスのQobuzより、男性ボーカルのグレゴリー・ポーター『ナット・キング・コール&ミー』を再生した。先述した音のよさに加え、ここではiPadの画面上に表示されるroonのグラフィカルユーザーインターフェイスに気持ちが高鳴る。グレゴリー・ポーターのアルバムやシングル、参加楽曲がデザインセンスよく表示され、音楽の海へ飛び込むように縦横無尽に楽しむことができるのだ。

セレナーデはRoonのエンドポイントとしても使用できる。

最後はセレナーデに備わるライン入力端子を利用して、アナログレコード再生を行った。ターンテーブルはテクニクスの「SL-1000R」、カートリッジはフェーズメーション「PP2000」を使い、 アキュフェーズのフォノイコライザー「C-47」とセレナーデをRCAラインケーブルで接続して、ハードバップJazzの名盤、ソニー・ロリンズ『ニュークス・タイム』のリード曲に針を落とす。セレナーデのデジタル再生は現代的な描写力を持つハイファイな音づくりだったが、アナログ入力はそれに加え、中音域を含むアナログのよさを惹き立たせる手抜きを感じさせない再生音だった。ソニー・ロリンズのテナーサックスは太く適度な色彩があり、全体域の音調表現も安定している。


テクニクス「SL-1000R」を使いレコードの再生音もチェック。
機能的には、ハイレゾ、ストリーミング、アナログ再生までソースへの対応力があり、使用していて満足度は高いはずだ。このコンポーネントに感じた唯一の小さな問題は、ボタン1つでプリアンプモード、DACモードが切り替えられるのが便利な反面、試聴中にそのボタンを押していくと、ボリューム可変からフルボリュームに音量が変わってしまうことだ。メニュー上で DACモードへの変更を、一度確認を促すUIを求めたい。


プリアンプモードとDACモードの切り替えは天面にあるボタンからワンタッチで変更できる。
◇◇◇


総評となるが、セレナーデはR-2Rの良質なDAC部を持ち、その音を注目度が上がるroonも含め多様なソースに対応するDAC/ネットワークプレーヤー/プリアンプとして楽しめる。スピーカー環境においてはBowers&Wilkinsとアキュフェーズのハイエンドシステムに組み込めるクオリティも保持していた。無論、これ以上の価格の製品を投入すれば音の再現力は上がるはずだが、グルーブのよさやスピード感のある音も含めて、音質/機能的なコストパフォーマンスはかなり高いと断言したい。

(提供:HIFIMAN JAPAN)

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