公開日 2020/06/08 06:00

現代DAPの基準は中華にあり!5万-10万円の“ド真ん中クラス” 中国DAP 3機種の実力チェック!

[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第248回】

FiiOも現在は大半のDAPにAndroidベースのシステムを採用。その上でスマホレベルのSoC/メモリーの搭載によって軽快な動作、ローカル音楽再生以外の用途に対しての余力を確保してある。

持ち応えのあるフルサイズ筐体も、3.5/2.5/4.4mm端子全搭載に加えて、5.15インチ、1,440x720pxというスマホサイズディスプレイ、そして同じくスマホレベルの処理性能を備えるSoC、それらを支えるバッテリー容量や放熱性能が持ち込まれている故の必然だろう。

ボリューム操作はダイヤル式。このダイヤルの配置も含めて左手で持った方が使いやすい印象

ざっくり言えば「スマホサイズで厚みは倍」みたいなサイズ感なので、持ちやすさや携帯性という面に弱みはある。しかし全端子搭載の安心感、ハイレゾストリーミングにも動画コンテンツにも対応できるオールラウンダーっぷり、回路スペースや電源に余裕があるからこそものサウンドクオリティなど、全部詰め込んだからこその強さ!それとのトレードオフと考えれば納得だ。

また最近のFiiOにおいてはソフトウェアアップデートの頻度の高さも注目ポイント。例えばこのM11系列モデルには、昨年末にM11のAmazon Music HD対応、今年春にM11/M11 ProにGoogle Play Store対応という大きなアップデートが提供されている。そのほか細かな不便や不具合も着実に解消されており、発売後も完成度向上に抜かりがない。この点も購入に向けての安心感となる。

実はPCやスマホからWi-Fi経由で本機にファイルを転送することもできたりする

M11 Proのサウンドは総じて、中低域の緩みのない力強さによる安定感を土台として、高域側への抜けのよさや音色の質感や湿度感の表現の豊かさが印象的。

例えばMahaliaさん「Karma」のリズムセクション。ベースもバスドラムを大柄に膨らませずにグッとくる密度感や重みを与えつつ、スネアドラムのスパンッという抜けやキレも良い具合。それがドライな感触だとヒップホップ的なニュアンスが強まるかと思うが、本機の場合は特にベースのしっとりとした印象から、クラブ的あるいはR&B的なニュアンスと感じられるのもポイント。

対して早見沙織さん「yoso」のリズムセクションは、音源側でよりヒップホップ的な感触に作られており、それはその通りに描写。その上でこの曲では上物の浮遊感や歌声の湿度感を見せることで、全体としてのポップスらしさ、歌ものらしさとのバランスもとってくれる。

特にエレクトリックピアノの音色自体の揺らぎ、空間エフェクトの揺らぎを定位も含めて明瞭に見せてくれるところが、その再現に大きく貢献していると感じる。音量・音程・定位といった要素の滑らかな変化への滑らかな追従は、このプレーヤーの表現力のキーポイントとして挙げておきたい。

駆動方式ごとの違いは極端ではない。強いて言えば今回組み合わせたAKT9iE、SE846は共にディープなローエンドまで低域のキャパシティが豊かなので、その中低域のより確かな制動においてはやはりバランス駆動の強みは感じられた。

逆に言えば、低音楽器の音像を締め込みすぎず遊びを残したい場合などには、あえてのシングルエンド駆動も有効。シングルエンド駆動のクオリティもバランス駆動に劣らず確保されているからこその選択肢だ。

Shanling「M6 Pro」

最後にShanling「M6 Pro」(実売目安9万0000円)。こちらも2.5mm/4.4mmのバランス出力端子を両搭載、4.7インチとスマホクラスのディスプレイを搭載するなど、FiiO「M11 Pro」と同じく「フルスペックフルサイズ」という趣きのプレーヤーだ。

普通に持ちやすいラウンドフォルムを採用

USB-C端子を左に振った端子配置。左手で持って使う際、左下にケーブルがないので邪魔になりにくい

Shankingは独自OS「MTouch OS」も用意しており、現行ラインナップでも超小型モデル「M0」や小型モデル「Q1」などは引き続きそれを採用。超軽快動作や長時間駆動に貢献している。

一方、フルスペックフルサイズモデルにはやはりAndroidベースのシステムを採用。Android標準のSRSをバイパスする「Android Global Lossless Output」の搭載など独自チューンが施されていることも、他社の手法と共通。そのAGLOによってハイレゾストリーミングへの対応も万全。

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