公開日 2018/06/30 08:00

アイ・オー・データ「Soundgenic」を純正アプリと組み合わせて検証 ー 実売3.5万円で充実のネットワーク再生

【特別企画】USB-DAC接続にもこの価格で対応
アイ・オー・データ機器のオーディオ用NAS/ネットワークトランスポート「Soundgenic」を土方久明氏がレビュー。同社の操作アプリ fidata Music Appを組み合わせることで実現するその使い勝手をレポートする。

アイ・オーデータ「Soundgenic」を、fidata Music Appと組み合わせ、その実力を検証した

fidataの機能性を継承したエントリークラスのネットワークオーディオサーバー

アイ・オーデータがfidataブランドのネットワークオーディオサーバー「HFAS1シリーズ」をひっさげ、オーディオ界に本格参入したのは2015年だ。

筆者はそれまでPC周辺機器を中心に手がけてきたメーカーが、ハイエンド製品に相当する音質対策を施したサーバー製品を投入したことに驚いたが、同社はさらにその先のビジョンまで描いていた。HFAS1は発売後もアップデートを重ね、ネットワークオーディオの音質と使い勝手を追求した新機能を次々と追加していった。

fidata「HFAS1シリーズ」

ただ、HFAS1はハードウェアの面で音質を徹底追求した結果、価格的には初心者やライトユーザーには“高嶺の花”という感があった。アイ・オーデータの開発陣にも、HFAS1の優れたユーザビリティや多機能性をより多くのオーディオファイルに体感してもらいたいという思いがあったようだ。

そこで登場したのがアイ・オー・データ「Soundgenic」(サウンドジェニック)である。USB-DAC接続にも対応し、最強の国産操作アプリと筆者が評価している「fidata music App」の機能がフルで使える、コストパフォーマンスに優れたネットワークオーディオサーバーである。

“Soundgenic”「HDL-RA2HF」(2TB HDD搭載モデル):¥OPEN(予想実売価格35,000円前後)。オーディオ専門店向けモデル「RAHS-S1」(1TB SSD搭載モデル、実売83,000円前後)も用意する

本機が発売されるやいなや、大きな注目を集め供給が追いつかないほどの売れ行きになったことは記憶に新しい。そこで、今回の記事では「Soundgenicで何ができるのか」「なぜSoundgenicは革新的な製品なのか」「Soundgenicを運用することでユーザーが受けられるメリット」について、詳細に解説したい。


SoundGenicで何ができるのか

まずはSoundgenicで何ができるのかを整理したいのだが、一言で行ってしまえばfidata「HFAS1」でできることはほぼ全てできる」のである。

オーディオ用に最適化されたNASとしてはもちろん、この価格帯でUSB-DACを接続してのネットワークトランスポート機能に対応。同社の操作アプリ「fidata Music App」との組み合わせによって、OpenHome対応の快適な再生操作はもちろん、PCレスでCDリッピングや楽曲のメタデータ編集まで行うことができる。

Soundgenicはこうした機能を実売3.5万円(2TB HDDモデルの価格)で実現してしまったのだから、オーディオ界に与えた衝撃は大きい。これまで高級機を導入することでしか味わえなかった、ネットワークオーディオならではの優れた操作性、音楽管理、リスニング体験を、エントリーレベルにまで提供できるようになった点で、Soundgenicは革新的な製品と言える。

“実用レベルでのPCレス環境”を実現していることも大きい。今まで同様の機能を目指したオーディオ製品は数多く登場したが、実用レベルの完成度を備える製品は数少ないと感じる。一方でSoundgenicは、fidata Music Appと組み合わせることで、音源の取り込みから管理、再生までをPCレスで快適に行うことができるのだ。


ハードウェアもオーディオ用を加味して設計

Soundgenicのラインナップは、通常モデルである2TB HDD搭載「HDL-RA2HF」と、専門店向けの1TB SSD搭載モデル「RAHF-S1」の2種類でスタートした。

ハードウェアの仕様はHDD/SSDモデル共で共通する。オーディオ向け仕様のポイントはシャーシ厚で、同社のPC用NASのシャーシ厚が0.8mmなのに対して、Soundgenicは1.5倍の1.2mm厚板金を採用。剛性を高めて振動を抑制し、同時に放熱効率も高めてファンレスを実現した。さらに外部振動を抑制するラバー製インシュレーターや、輝度を押さえて音楽再生中にNASの視覚的存在を低減するLEDの採用など、オーディオ用途を意識した設計だ。

Soundgenicの背面端子部

さらに6月末には、fidata「HFAS1」のHDDモデルと同じく、高い制振性を実現したWD社のHDD「WD AV-GP」(3TB)を搭載したHG(ハイグレード)モデル「HDL-RA3HG」がラインナップに加わる。本機では筐体にさらなる制振対策も施され、アプリから本体電源のオン/オフが行えるWake On LAN機能もサポートする。

機能やソフト面については、fidata Music Appとの連携をはじめ、前述の通りfidata「HFAS1」に準じる内容を備えている。e-onkyo musicからの自動ダウロードやUSBストレージを接続しての楽曲インポート機能などにも対応している。


fidata music appに対応/PCレスで完結するライブラリ管理

Soundgenicの大きなアドバンテージとなるのが、アイ・オー・データが自社開発した操作アプリ「fidata Music App」のほぼ全機能を利用できる点だ。

fidata Music App(iPad版)

ネットワークオーディオにおける操作アプリの重要性については、これまでも筆者は積極的に解いてきた。ネットワークオーディオを楽しめるか否かは、操作アプリの仕上がりがキモとなる。

そんな筆者からしても、fidata music appはたいへん優れた使い勝手を備えたアプリだと評価できるし、国産アプリとして初めてOpenHomeに対応したことも注目に値する。また、fidata Music Appは汎用アプリとして、UPnP/OpenHome上で動作する様々なNAS、ネットワークプレーヤーなど同社製品以外との組み合わせでも使える。

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