公開日 2018/01/24 09:30

ラズパイ・オーディオにバーブラウンのDACチップ「PCM51xx」シリーズが適している理由

海上忍のラズパイ・オーディオ通信(40)

ラズパイに「PCM5122」が向いている理由

PCM51xxシリーズには仕様の異なるDACチップが複数あり、中でも「PCM5102(A)」と「PCM5122」の採用事例が多い。この2つのチップは、コンポーネントオーディオにも多くの実績を持つが、搭載デバイスをRaspberry Pi用DACボードに限定すると後者に軍配が挙がる。

PCM5122搭載のDACボード「DAC 01」

理由の1つは「マスターモード」のサポート。PCM5122は、I2Sのモードをマスターとスレーブに切り替えることができるのだ。I2Cで通信するなどしてPCM5122をマスターに(Raspberry Piをスレーブに)設定すると、入力したクロック発振器の信号をもとに生成したBCKとLRCKを合わせてRaspberry Piに供給、Raspberry Piはこれに同期する形でI2Sの「DATA」を送出できる。

つまり、MCLK/BCK由来のジッターを考慮する必要がなくなり、気にすべきジッター(クロックジッター)はDACボードに搭載したクロック発振器由来のものだけになる、というわけだ。この切り替え機能を持たないPCM5102の場合、スレーブモードでの動作とせざるをえず、ジッターという点ではPCM5122に比べ不利となる。

マスター」と「スレーブ」の概念図

もう1つ、「ハードウェアボリューム」も見逃せない。ボリュームコントロールを持たないDACボードの場合、WEBインターフェイスやアプリを利用して音量調整することになるが、PCM5122ではI2Cで通信することにより、内蔵の電子ボリュームにアクセスできるのだ。音量を絞ったときのソフトウェアボリュームとの音質差は明らかで、基板サイズの制限によりボリュームコントロールの搭載が難しいRaspberry Pi向けDACボードには救いとなる。

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