海上忍のラズパイ・オーディオ通信(38)

続・ASUS「Tinker Board」。ラズパイ用DACボードをI2S接続で使うことはできるのか?

海上 忍

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2017年12月08日
■最新のTinkerOSベータ版が公開

かねてから開発を進めていたヘッドホンアンプ/DACボード「DAC 01」が、ついにマスプロダクション工程に入った。10ヶ月ほど前にDACなど主要パーツと出力端子を選定し、回路図設計を経て6ヶ月前には試作機第1号を完成させていたが、ここまで時間がかかってしまった。音質レビューの結果を踏まえパーツの入れ替えが発生したほか、部品調達と通関処理に手間取ったことが理由だが、甲斐あって胸を張れる音に仕上がっている。どうかご期待いただきたい。

さて、第36回で取りあげた「Tinker Board」(関連記事)。予想を大きく超える反響があり、Raspberry Piと具体的にどこが異なるのかといった基本的な事柄のほか、Raspberry Pi向けに開発された拡張ボード(DACボードなどI2Sを利用したもの)が動作するかどうか、現状動作しないのであれば今後の見通しはどうかといった質問を複数頂いた。ここで、現在明らかになっていることをいくつか説明しよう。

ASUSが開発したパワフルなシングルボードコンピュータ「Tinker Board」

まず、Raspberry Pi向けに開発された拡張ボードは動作する可能性が高い。第36回でも触れたが、Tinker BoardのGPIOはRaspberry Piと(ほぼ)ピン互換であり、少なくともオーディオ用拡張ボードで使うピン(I2SやDC 3.3V、GND)は一致している。ここが異なると動作は望み薄だが、一致していればドライバなどソフトウェアレベルで対処できるかもしれない。

実際のところ、TinkerOS(Debian系のLinux OS)の最新ベータ版「TinkerOS v2.0.3 Beta」では、サポートされるオーディオ用拡張ボードの種類が増えている。こちらの開発者向け掲示板によれば、HiFiBerry DAC+ LightやHiFiBerry DAC+ Standard、IQAudio Pi-DAC+といった製品名がリストアップされている。これは、Raspbian(同じくDebian系)に寄贈されたそれら製品のドライバが、TinkerOS向けに移植されたと見ていい。

ドライバが移植されたとしても、拡張ボードがTinker Boardでもあっさり動くと考えるのは早計だ。Tinker Boardに搭載のSoCは「Rockchip RK3288」で、Raspberry Pi 3(BCM2837)とは異なるため、当然ながらI2S周りの動作は変わってくる。しかもTinker OSでI2Sがサポートされたのはつい数ヶ月前、今年8月に公開されたv2.0.1のことで、Raspberry Piほどコードは安定していないと見るべきだ。

マスター/スレーブの問題もある。「DAC 01」もそうだが、高精度なクロックを搭載する拡張ボードを"マスター"とし、Raspberry PiやTinker Boardが"スレーブ"として振る舞う(マスターに通知したサンプリングレートに合わせて入力されるクロックに従いデータを出力する)仕組みは、マスタークロックを持たないRaspberry Pi/Tinker Board用オーディオボードにとって音質設計の肝となる。そうしなければ、第4回で取りあげたDDFAなど高精度なクロック生成能力を持つチップを使わないかぎり、ジッターに大きく影響されることだろう(関連ページ)。

Raspberry Pi用に設計したヘッドホンアンプ/DACボード「DAC 01」は、Tinker Boardでも動作するか?


まずは設定ファイルの下準備

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