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公開日 2023/09/16 13:33

中国・深センのポタオデイベントを体験!水月雨やFiiOなど“温故知新”を感じる展示多数【詳細レポート1】

「第17回深セン国際オーディオショウ」が9/15-9/17に開催
野村ケンジ
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中国・深センにて「第17回深セン国際オーディオショウ」が、9月15日から17日の3日間にわたり開催されている。主催は近年、ネット通販などでも知名度を高めている「シンセンオーディオ(Leiyin Audio)」と中国の配信者「Headphones and Miscellany」で、リアル開催のオーディオイベントだ。その名の通り、今年で17回目の開催となる。

「第17回深セン国際オーディオショウ」が15日より開催

温故知新。縁あってこのイベントを取材する機会に恵まれ、会場を回って真っ先に思い浮かべたのがこの言葉だ。会場ではポータブルタイプのCDプレーヤーが新製品としていくつかお披露目されていたほか、静電型ヘッドホンに注目が集まり、イヤホンも有線モデルが大半を占めていた。様々な製品が日本国内に先駆けて登場し、未来をうかがい知ることができるイベントだっただけに、さらなる潮目が変わる予兆なのかもしれないと、興味は募るばかりだった。本稿は速報として、日本で取り扱いのある注目ブランドの新製品を中心にレポートする。

プレスデーの様子

■水月雨/Moondrop(すいげつあめ/ムーンドロップ)
水月雨/Moondropは、「特典」と表示された特別ブースで新製品を多数出展している。

水月雨/Moondropのブース

水月雨/MoondropのCEO兼R&Dディレクター、鄭 瀚鵬氏

「楽園-PARA-」は、平面磁界駆動型振動板を採用する新型ヘッドホン。大型の振動板にはボイスコイルをプリントするのではなく、振動板全体に通電するという画期的なアイデアを採用。加えて、振動板前後に強力なマグネットを配置することで、特性に優れた上質なサウンドを実現するという。予価は1,999元で、今秋にはメーカー出荷、日本でも発売が予定されている。

水月雨「楽園-PARA-」

開発中のモデルを実際に試聴したが、まるでボーカルが目の前で生声を披露してくれているかのようなリアルサウンド。ひずみ感が徹底して抑えられS/Nも良好。迫力があるのに聴き心地がよい、絶妙なチューニングに仕立て上げられている。この音質で1,999元という予価は驚きでしかない。

楽園のイヤーパッドを外した様子。ドライバーが見える

「DISCDREAM」は、まさにこのイベントで感じた“温故知新”の代表例。天面の蓋を開けてCDを再生するトップローディングタイプのCDプレーヤーだ。簿型ボディながらバッテリーを内蔵し、デスクトップはもちろん屋外に持ち出すこともできる。出力は3.5mmのステレオミニ。独立したヘッドホンアンプを内蔵。単体で楽しめるほか、DAC機能も搭載。USB Type-CでPCと接続すれば、USB DACとしても活用できる。microSDカードスロットも用意され、ハイレゾ音源を楽しむこともできる。予価は999元で、発売は年内を予定。日本での発売も予定されている。

水月雨「DISCDREAM」

「FREE DSP」は、iPhone15も採用したUSB TypeC端子を採用するデジタルリケーブル。コネクターは0.78mmの2pin端子を採用する。リクエスト次第で他の端子も検討するという。特徴は独自のスマホアプリで音質チューニングが行えることで、9バンドのPEQ(パラメトリックイコライザー)などインテリジェントな調整機能を備える。同社は「古いイヤホンも蘇らせる」と胸を張る。169元というハイコスパな予価もうれしいポイントだ。発売時期は未定だが、日本での発売も予定されている。

水月雨「FREE DSP」

■FiiO(フィーオ)
FiiOのブースでは発売時期が未定の新製品が多数展示されている。本稿では、注目モデルを厳選してご紹介する。

「Q15」は、旭化成エレクトロニクスのDAC「AK4191」と「AK4499EX」を搭載するポータブルヘッドホンアンプ。「Q5」のアップグレードモデルという。最大1500mWの出力を誇るほか、パラメトリックEQなどの調整機能も備えているそうだ。

FiiO「Q15」

「KA13」は、イベント当日に発売されたスティック型ポータブルUSB DACの新モデル。DACにはシーラスロジックの「CS43131」をデュアル搭載。384kHz/32bitPCM、11.2MHzDSDのハイレゾ音源に対応する。ヘッドホン端子は3.5mmと4.4mmの双方を採用。

FiiO「KA13」

「BR13」は、小型の据え置きBTレシーバー。Bluetooth SoCに「QCC5125」を採用することで良音質コーデックLDACなどに対応しつつ、別途独立して「ESS9018K2M」DACを搭載する。

FiiO「BR13」

「FT5」は、直径90mmという大口径の平面磁界駆動型振動板を採用する開放型ヘッドホン。強力なマグネットを採用するほか、392芯の銀コート銅線やフィット感に秀でたイヤーパッド&ヘッドバンドを採用するなど、隅々まで徹底したつくりに対するこだわりがみられる。

FiiO「FT5」

すべて価格や発売時期、日本での展開も未定だ。

■SHANLING(シャンリン)
DAPで名を馳せるSHANLINGでは、据置型Eシリーズに属するポータブルタイプのCDプレーヤー「EC mini」が見られた。バッテリーを内蔵し、10〜13時間程度の連続再生できるように開発中とのこと。充電用とデータ入力用とわけたUSB TypeC端子とmicroSDカードスロットを備える。4.4mmヘッドホン端子、RCA出力端子を備えており、ポータブルDACアンプとしても活用することができる。CDはスロット式を採用する。価格は未定だが、2,000元程度にしたいとのこと。日本での展開は未定。

SHANLING「EC mini」

■TANCHJIM(タンジジム)
アイコニックなデザインと確かな技術力で日本でも人気を集めるTANCHJIM。有線イヤホンのラインアップが多いが、完全ワイヤレスイヤホンもラインナップする。

TANCHJIMのブース

TANCHJIMのゼネラルマネージャー、姚 遠氏

新製品の「MINO」は、専用ケースの蓋にクリアパーツを採用。しかもカラーによって微妙に色合いが変えられている。外音取り込みとノイズキャンセリング機能も備えている。予価は200元前後。日本での展開も予定しているという。

TANCHJIM「MINO」

TANCHJIM初となる静電型ヘッドホンのプロトタイプモデルも展示されている。大型のドライバーが特徴で、実際に試聴したサウンドは静電型ヘッドホンならではの繊細かつクリアなキャラクターが確認できた。アンプは自社で開発は行わず、中国ではToppingのアンプとコラボを行う予定。STAXのドライバーも使用可能とのこと。価格は未定で、3000〜4000元での発売を目論んで開発中という。なお、外観は大きく変わる予定とのこと。日本での展開は未定。

TANCHJIMの静電型ヘッドホンのプロトモデル

■Tipsy(ティプシー)
Tipsyからは、新しいフラグシップという有線イヤホン「DUNMER PRO 4」が展示されている。10mmのパッシブ駆動の骨伝導ドライバー1基に加えて、6.5mm口径のチタンドーム・ダイナミック型ドライバーを1基、Knowles製のバランスド・アーマチュア型ドライバーを2基搭載する。0.78mmの2pinコネクターを採用。プラグは3.5mm。価格、日本での展開は未定。


Tipsy「DUNMER PRO 4」
■TANGZU(タンズー)
コスパが高く個性溢れるイヤホンで日本でも知名度を上げているTANGZUは、新製品「哪吒(NEZHA)」のモックアップモデルを展示。6基のバランスド・アーマチュア型ドライバーに加え、1基の静電型ドライバーを備える。価格は3,000元程度を目標に開発しているという。中国での発売は年内。日本での展開は未定だ。

TANGZU「哪吒(NEZHA)」

■NF AUDIO(エヌエフ・オーディオ)
人間工学に基づく小型筐体が好評の「RA10」をベースに再設計を施したUSBイヤホン「RA05」が展示されていた。ダイナミック型ドライバーの口径は6mm。3色のカラーバリエーションを用意する。価格は249元。日本での展開も予定されているという。

NF AUDIO「RA05」

■DITA(ディータ)
DITAでは、日本でも発売するポータブルUSB DAC「Navigator」を展示するほか、ダイナミック型イヤホン「PERPETUA」の弟分といえそうな開発中の有線イヤホンが展示されている。ダイナミック型とバランスド・アーマチュア型のハイブリッドドライバー構成を採用。このうちバランスド・アーマチュアはノズル部に配置することで、位相のずれを極力抑え込んでいるという。また、イヤホン本体は不要振動などを排除し、よりピュアなサウンドを追及している。価格は未定だが、2,000から2,500元程度の価格を目指して開発中とのこと。

DITAの名称未定のプロトタイプ

ノズル側の様子


DITAの創立者、Danny Tan氏
このように、興味をひかれる製品がずらりと並んでいた「第17回深セン国際オーディオショウ」だが、製品そのものの魅力もさることながら、新しい製品を次々と生み出そうとする参加メーカー各社の仲がよく、様々な場所でコミュニケーションを取っている様子が散見された。こうした環境だから、新しい潮流が生み出されるのだろう。今後もこのイベントには注目していきたいところだ。


取材する野村ケンジ氏

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