公開日 2007/10/03 20:50

<CEATEC2007:東芝>Cellを使った超高解像技術やDLNA無線伝送などをデモ

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
東芝は、AV機器関連エリアのほか、デバイスゾーンにもブースを設け、システムLSIなど各種デバイスモジュールの展示を行っている。

中でも注目したいのは、同社とソニー、米IBMが共同開発した「Cell」だ。PS3に搭載されていることで有名な超高性能LSIで、その処理能力は“スーパーコンピュータに匹敵する”とも言われる。東芝は、将来的にCellをデジタルAV機器に内蔵する計画を明らかにしており、今回のデモにも、その実現を予感させる内容が見られた。

なお同社は先日、“Cell Broadband Engine”(Cell/B.E.)の技術を用いた新型メディアストリーミングプロセッサー「SpursEngine」の開発発表を行っている。プロセッサーコアであるSPE4個と、MPEG-2、H.264方式のエンコード・デコード専用回路を備えたプロセッサーだ。CellにはSPEが8個搭載されているため、SpursEngineはCellの小型版といった位置づけとなる。その代わり消費電力は10W台と低く抑えられており、様々な機器に搭載できる。

SpursEngineと同チップを搭載した基板

ブースでは、このSpursEngineを使った「超高解像技術」のデモが行われていた。SD映像を分析し、フレーム間の重ね合わせ処理を行うことでHD映像にアップスケーリングするものだ。元映像との比較も行えたが、静止している被写体では明らかに解像感が向上するのに対し、動きの多いシーンでは若干ノイズが気になる場面もあった。今後のアルゴリズム改善による、さらなる高画質化を期待したい。

超高解像技術のデモ

SpursEngineをノートPC「Qosmio」に内蔵した試作機も展示。この試作機では、「FACEMATION」という興味深いアプリケーションを体験できた。数年前のCEATECではCellで実行されていたソフトだが、今回はSpursEngineで動作させている。キャプチャーした顔写真から、目や鼻などの特徴点を抽出し、顔を3Dモデリングする。3Dモデリングした顔に、メイクやカツラを被せることができるうえ、顔を動かすと、リアルタイムでカツラやメイクを施した顔が動くというもの。デモ環境では、Intel製CPUとSpursEngineのどちらで処理させるかを切り替えることができたのだが、Intel製CPUではフレームレートが10fps強、処理パワー占有率が80%台だったのに対し、SpursEngineでは30fpsで動作し、占有率も30%程度に収まっていた。同プロセッサーの処理性能の高さが実感できた。

「FACEMATION」の画面。写真は顔をキャプチャーし、特徴点を抽出したところ

3Dモデリングした顔は髪型やメイクを自由に変えられ、しかも顔の動きにリアルタイムで追従する

また、本家本元のCellを使ったH.264エンコーダーのデモも行われ、PCを使ったソフトウェアエンコーダーとの比較もできた。このCellを使ったエンコーダーは、ネットワーク上で分散処理を行うことが可能で、3台のCell搭載機器でエンコードを行った場合、実時間の3倍以上でのエンコードが可能となる。迅速なエンコードが求められるソフト制作現場などでの応用に期待したい。

Cellを使ったH.264エンコーダーのリファレンスシステム

複数台のCell搭載機でH.264エンコードを分散処理しているところ

Cell以外では、DLNA用の無線LAN LSIが目を引いた。IEEE802.11a/b/gに対応したもので、18MbpsのMPEG-2 TSハイビジョン映像と、2MbpsのQuickTime映像を同時に送受信するデモが行われていた。受信側でバッファー管理を行い、送信側に送り出しのタイミングをフィードバックするなどの工夫により、映像のコマ落ちを防いでいるという。

DLNA用の無線LANモジュール

(Phile-web編集部)

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 BRAVIAが空飛ぶ時代? 動画コンテンツの楽しみ方に押し寄せた大きな変化を指摘するソニーショップ店長。超大画面はさらに身近に
2 ネットワークオーディオに、新たな扉を開く。オーディオ銘機賞の栄えある“金賞”、エソテリック「Grandioso N1」の実力に迫る
3 Nothing、最大40%オフのウィンターセール開催
4 LG、世界初のDolby Atmos FlexConnect対応サウンドバー「H7」。オーディオシステム「LG Sound Suite」をCESで発表へ
5 「ゴジラAR ゴジラ VS 東京ドーム」を体験。目の前に実物大で現れる“圧倒的ゴジラ”の臨場感
6 衝撃のハイコスパ、サンシャインの純マグネシウム製3重構造インシュレーター「T-SPENCER」を試す
7 AVIOT、“業界最小クラス”のANC完全ワイヤレス「TE-Q3R」。LDAC、立体音響にも対応
8 ソニー「WH-1000XM5」に“2.5.1”アップデート。Quick AccessがApple Music/YouTube Musicに対応
9 「HDR10+ ADVANCED」が正式発表。全体的な輝度向上、ローカルトーンマッピングなど新機能も
10 クリプトン、左右独立バイアンプ機構のハイレゾ対応アクティブスピーカー「KS-55HG」新色 “RED”
12/19 11:02 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX