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【特別企画】ヒット製品の背景を探る連続企画

マランツ「11シリーズ」大ヒットの舞台裏(1)フラグシップ機に込めた思いとは?

2013/06/07 取材・構成/ファイル・ウェブ編集部
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新回路採用で飛躍的に音質向上した
プリメインアンプ「PM-11S3」



プリメインアンプ「PM-11S3」¥451,500 大きく進化したSA-11S3の表現能力を受け止めるために同時期に開発されたプリメインアンプ。長年の基礎開発の成果が贅沢に投入されている
プリメインアンプ「PM-11S3」は、パワーアンプと電源部が大きく進化。本機の開発を担当したCEエンジニアリングユニット 設計本部の中野 綾氏は「特に機能が増えたわけではないですし、スペックの数字もほぼ一緒。けれど、セパレーションや聴感上のS/N感が飛躍的に向上しています」と胸を張る。


PM-11S3の開発を担当したCEエンジニアリングユニット 設計本部 中野 綾氏
「この鍵となったのは、本機に新採用した回路『SA Driver』。V/Iサーボ方式電流帰還型パワーアンプのプリドライバー段にHDAM-SA3を応用した新回路は、当初は上位モデルのパワーアンプ『MA-9S3』となるモデルに搭載しようと考えていたものです。空間表現力やディテールの再現力は高いものの、じゃじゃ馬のように扱いが難しい回路でもありました…まとめあげるには、かなりの苦労がありました」(中野氏)

苦労を重ねつつも、「評判が良かった前モデルを超える製品を出したい」という信念は変わらなかった。新アンプのほかにも、電源回路や各種パーツをブラッシュアップ。容量フィルターコンデンサーと音質を吟味したブリーダー抵抗により高調波ノイズを抑制することで、トランスケースに内蔵していたプリアンプ電源用のチョークコイルを取り外すことに成功。この分のケース内空きスペースを用いてトロイダルコアのサイズを上げ、容量を高めた。

新回路「SA Drive」を搭載し進化したパワーアンプ部

ケース内スペースを活用しトロイダルコアトランスの容量を高めた

澤田氏は「セパレートアンプのようにそれぞれの機能に特化するのは理想のかたち。でも、プリメインアンプだからこそできることというのも、あると思うんです」と言う。「セパレートだとプリ/パワーのゲイン配分は常識的な範囲にしないといけません。ですが我々のプリメインは導線一体型なので、信号を増幅させるのはプリに全部任せ、パワー部は電力増幅だけに専念してもらうという作り方ができました。そういう意味では、ある意味セパレートアンプを超えていると言えると思います」。

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