7.1ch再生とHDオーディオに対応し、“フルスペックYSP”と称される「YSP-4100」。2名のホームシアターのプロフェッショナルに登場してもらい、本機の魅力と可能性について語っていただいた。

▼YSPを知り尽くしたホームシアターのプロたち



ホームシアター専門店アバック 営業企画部長が語る
YSP-4100は“元ホームシアターファン”を
呼び戻すきっかけとなるアイテム


株式会社アバック
営業企画部 部長
詫摩 武彦氏
国内最大級のホームシアター専門店アバックが、この度YSP-4100の取扱いを開始することになった。カスタムインストールを強みとし、これまで数多くの本格的なホームシアター環境を手掛けてきた同社が、なぜ簡易型システムであるYSPを販売するに至ったのか。(株)アバック営業企画部 部長の詫摩氏にお話を伺った。

(インタビュー・構成 Phile-web編集部)



壁反射を利用したYSPは他のフロントサラウンド製品とは
一線を画していると感じた


ーーYSP-4100のどのような点に魅力を感じていらっしゃいますか

これまでもワンボディでサラウンドを再現するというフロントサラウンドシステムはいくつかありましたが、そのほとんどが耳の錯覚を利用したバーチャルサラウンドの製品でした。

YSPシリーズの場合は、内蔵する複数の小型スピーカーユニットから発生した音を壁に反射させて背後からも音を届けるという構造を採用しています。擬似的な音ではなく実際にリアルな音の良さを体験できるという点で、他の製品とは一線を画していると感じました。

   
 
「YSP-4100」はHDオーディオ&7.1ch再生に対応
 
内部には最大出力20Wのビームスピーカーを40個、2Wのウーファー2基を搭載している
 


また調整によって音を広げたり音の高さを上げたりということもできる。YSPはテレビ向けの製品だととらえられがちですが、私はスクリーンでの使用も肯定的にとらえています。サラウンドをテレビで楽しむ際には、テレビ下にスピーカーを設置しても台詞がある程度口元から出ているように聞こえるのですが、スクリーンくらいの大きなサイズになると、スクリーンの下に置いたセンタースピーカーと映像の距離間が大きくなりどうしても違和感が生じてしまいます。

YSPは音の高さをピッタリとあわせられるので、この落差の問題も解決できます。いわばサウンドスクリーンのような効果が得られるのもメリットです。

ーー音質面はどのように評価しますか。

YSPが内蔵するスピーカーは全て同じユニット構成なので、音のつながりが優れているのと、包囲感の良さが特徴だと感じています。

我々のメイン業務はカスタムインストーラーなので、本心を言えばやはり単品スピーカーを設置してリアルなサラウンド環境を整えてほしいという気持ちはあります。ただ、実際の5.1chなどのリアルなシステムとYSPを同列に並べて比較するのはナンセンスです。YSPにはYSPの良いところがあるので、そこは棲み分けを図って訴求していきたいと考えています。

ーーYSPならではの良さというのは具体的にはどのようなところでしょうか。

例えば様々な種類のスピーカーを組み合わせてサラウンドをつくるのは非常に難しい。セットのスピーカーを組み合わせれば音の繋がりは割と簡単に獲得できますが、AVアンプの音場補正機能を駆使して音のバランスなどを調整していく必要があります。YSPはワンボディで完結しているので、すでに最適化された音を再生することができるというメリットがあります。

ーーHDオーディオにも新たに対応してきました。

HDオーディオ対応は大きな魅力です。以前のフラグシップYSP-4000もハイスペックなモデルでしたが、YSP-4100でHDオーディオに対応したことで、性能だけでなく音質も追いついてきたと感じています。


再びホームシアターをはじめるきっかけになると期待している




YSP-4100で新規顧客層を開拓していき
たいと話す詫摩氏

ーー御社がYSP-4100の取扱いを決めた理由をお聞かせください。

YSPで新規顧客層を開拓していきたいという狙いがあります。我々はコアなホームシアターファンのお客様には一定の支持を得ていると思っていますが、テレビに小さいスピーカーを合わせてマルチチャンネルを楽しんでいるようなお客様にはまだまだ提案が足りていないのが現状です。そのような層をYSP-4100で獲得していければと考えています。

また、昔はホームシアターシステムを組んでいたが設置等の問題でシステムを組むのをやめてしまったという方や、結婚して子供ができてホームシアターにかまっている時間がなくなったというホームシアターから遠ざかってしまった方にとって、設置スペースや配線の問題をクリアして手軽に使用できるYSPは、再びホームシアターをはじめるきっかけになると期待しています。

HDオーディオ対応になったことで、HDオーディオ対応機器に切り替えないままシステムを組むのをおっくうに感じてしまった方がYSPで買い換えを図る可能性もあります。YSPで完結してもいいですし、その後システムを拡張するきっかけにもなればいいなと思います。

ーー地デジ化に伴い、映像面では大型で高画質の製品が簡単に手に入るようになっているのに、これまで音声面でクオリティを求めると、AVアンプなど操作が難しい製品が中心になってしまい、誰でも簡単に高音質を楽しめる環境とはいえませんでした。テレビは子供からお年寄りまで幅広く使用するものですから、用途によってYSPとAVアンプ+スピーカーを切り替えると2ウェイでの活用法なども提案できそうです。

確かにテレビ番組を視聴するときにもAVアンプを接続して・・・という手間は少し重いですよね。家族でテレビ番組を視聴するときにはテレビのスイッチを入れるだけですぐ使用できるYSPは最適ですし、ブルーレイソフトで本格的な映画を観るときはAVアンプで、といった使い分けはできると思います。



インストーラーが部屋の環境にあわせてYSPの最適な調整を行うこともできる。専門店の強みを生かせる商材


ーー般家庭のリビングは、ダイニングと繋がっていて壁がなかったり、部屋の設計が左右対称ではなかったりすることが多いと思います。YSPの壁面反射は使用可能な部屋が制限されてしまうというデメリットもあるように思うのですが。

YSPは狭い面積でも壁さえあれば、その部分に焦点を絞って反射をあてられるようになっているので、部屋の環境にとらわれず楽しむことができます。

 
 
YSPのフロントサラウンド技術の概念図。壁反射を利用して7.1chを実現する
 



YSPの自動音場補正機能はよくできていますが、自動でそこまでの設定をするのが難しいのも事実です。我々のような専門店がYSPを扱う強みもそこにあります。自動音場補正だけでなく、さらに追い詰めてYSPの実力を最大限まで引き出したいというこだわりの方がいらっしゃったら、インストーラーの専門知識を持っている社員がご自宅に伺って調整することができるので、安心してご使用いただけます。



今はホームシアターを楽しむのに最適な時代。多くの方に楽しんでいただきたい

ーー家庭でホームシアターを楽しむポイントを教えていただけますか。

テレビ、スクリーン問わず、画面は大きいほうがいいですね。これは実体験でもありますが、画面の大きさイコール感動の大きさと言えると思います。部屋に適したできるだけ大きなものを是非使用してほしいです。

テレビがフルHD化し、地上デジタル放送がスタートし、ブルーレイソフトの販売数も増え、10年前では考えられないほどホームシアターを楽しむのに最適な時代になってきました。少しお金をかけるだけで、大きな感動を得ることができますので、是非大画面&高音質で多くの方にホームシアターを楽しんでいただきたいです。

アバック店舗のご紹介

ホームシアターの設計・施工・設置、プロジェクターやスピーカーなどオーディオ・ビジュアル機器販売の専門店。GRAND新宿店、秋葉原本店、横浜店 本店、横浜店 ANNEX01の4店舗を構える。取材に訪れた秋葉原本店はシアタールーム、オーディオルーム、プロジェクタースタジオを完備するなど試聴スペースが充実している。専門店というと初心者には敷居が高そうなイメージだが決してそんなことはなく、経験豊富な販売員のアドバイスをききながら安心して製品を購入できる雰囲気だ。(Phile-web編集部)

■アバック 秋葉原本店
住所 東京都文京区湯島3-14-9 湯島ビル1階
電話 03-3837-9745 
営業時間 平日11:00〜20:00、土日10:00〜19:00
http://www.avac.co.jp/

   
 


秋葉原本店は千代田線湯島駅 徒歩2分、銀座線末広町 徒歩5分と好立地。上野御徒町や秋葉原からも徒歩圏内だ
>> 地図はこちら

 
電動スクリーンとディスプレイの2ウェイシアターを体験できるシアタールーム「MECHALIA」
 
         
   
 
オーディオシステムがズラリと配置されている「GRAUDIO」
 
リビングにおけるホームシアターの楽しみ方も提案している。YSP-4100はリアルスピーカーを設置した5.1cシステムと聴きくらべができるようにするという
 
         



ホームシアター専門誌「ホームシアターファイル」 編集長が語る
リビングでの視聴環境トレンドを徹底的に考察した
薄型テレビの強力なパートナー


株式会社音元出版
ホームシアターファイル編集部 編集長
川嶋 隆寛氏
ホームシアター専門誌「季刊ホームシアターファイル」の編集長として、長年様々なスタイルのホームシアターを取材し提案してきた川嶋に、YSP-4100の魅力とおすすめの使い方をレクチャーしてもらった。

(執筆 川嶋 隆寛)


あの紅白も!地デジの醍醐味 5.1chサラウンド放送が増加中

たとえば「紅白歌合戦」。日本に住んでいるならば、知らない人はいない、いまだ国民的を冠せられるこの番組が、数年前から5.1chのサラウンドで放送されていることはご存知でしたか?

実は、2011年7月に全面移行となる「地デジ」、あるいは「BSデジタル放送」には、AACという5.1chサラウンド放送がフォーマットされており、映画や音楽番組、スポーツ中継を中心に、5.1chで放送される番組が増えています。知らぬ間に、わたしたちの身のまわりにはサラウンド放送が増加しているのです。

デジタル放送時代のいま、テレビの両脇にあるスピーカーだけではデジタル放送の可能性を享受できません。サラウンドシステムをそろえてこそ、初めてデジタル放送の楽しみを十全に味わうことができます。

気軽に、本格的にサラウンドを楽しむのにお薦めのYSP-4100

では、サラウンドシステムを何が何でも導入しないとならないのでしょうか?確かに、リアスピーカーがあると、あたかも映画館やコンサートホール、あるいはスタジアムのような、臨場感を体感できます。しかし、日本の住環境を鑑みると、リアスピーカーの導入が現実的ではないケースも多々見られます。特にリビングで楽しみたいという方にとって、リアスピーカーの設置は、ケーブルの引きまわしや取り付けの問題を含めて、ハードルが高いのではないでしょうか?

もっと気軽に、でも本格的にサラウンドを楽しんでみたい方にお薦めしたいのがヤマハのYSP-4100です。

 
 
YSP-4100の設置例。別売のワイヤレスサブウーファーキットを利用して市販のサブウーファーをワイヤレスで接続できる。この配線の少なさもYSP-4100の魅力
 


YSP-4100は、ワンボディで7.1chサラウンドが楽しめるデジタル・サウンド・プロジェクターです。いま、7.1chサラウンドと記しましたが、これはブルーレイに採用されているHDオーディオのサラウンド規格のひとつであり、次世代の新たなフォーマットです。

このYSP-4100がなぜお薦めなのか?その理由を説明する前に、少々遠回りになりますが、YSPシリーズの簡単な来歴について説明しましょう。その方がYSP-4100をより深く理解できるでしょうから。


ブルーレイ時代に相応しいスペックを備えたYSP最新モデル

YSPシリーズは2004年に登場しました。ワンボディながらもリアルなサラウンド音場を実現する、フロントサラウンドシステムです。内蔵する多数の小型スピーカーから発生した音を壁に反射させて、サラウンド音場を創り出すというスタイルを採っています。室内の音響特性を測定して、音を放射する方向を自動的に調整して、空間に最適な音場を創り出すことができます。

まったく新しいジャンルのAV機器でしたが、リビングで気軽に、しかし本格的なサラウンドを楽しみたいというニーズに応えて、広く受け入れられるようになりました。

YSPシリーズは、モデルチェンジごとに、少しずつ進化を遂げてきました。特に一昨年の秋に発売されたYSP-4000は、音質の高さとセットアップの容易さで人気を博し、薄型大画面テレビ時代にマッチするフロントサラウンドシステムとして認知されました。

そして、今秋、その後継機として、「フルスペックYSP」と名付けられた最新モデルYSP-4100が登場しました。前述したとおり、HDオーディオに対応し7.1chサラウンド再生を実現するなど、ブルーレイ時代に相応しいスペックをまとっての登場となります。

 
 
YSP-4100を視聴する川嶋氏
 


リビングにおける視聴覚環境を徹底的に考え抜いてつくられた

さて、サラウンドが必須となりつつある‘いま’という時代に、なぜYSP-4100が相応しいのでしょうか?ごく単純に、テレビ下に設置して1台でサラウンドの音場を楽しむことができるから、ということもあります。こうしたフロントサラウンドと呼ばれるシステムの中でも群を抜いて音質に優れているから、ということもあります。もちろん、7.1chという最新のスペックを装備しているから、ということもあります。

しかし、それ以上に、わたしがここで注目したいのは、リビングにおける視聴覚環境について徹底的に考え抜いた結果が反映されている点です。ここ数年テレビの薄型化、大画面化が進行するにつれて、テレビボードも変化してきました。かつてはコーナーに置かれていたテレビボードが、いまでは壁面の中央部に置かれるようになり、デザイン的には「幅が広く、奥行は狭く」という、壁面にそってフラットに広がるスタイルになってきています。

YSP-4100は奥行をわずか9cmに抑えていますが、テレビボードに納めるのに最適なサイズといえるでしょう。

     
  奥行き9mmを実現し、より柔軟な設置が可能になったYSP-4100   YSP-4100を内蔵したシアターラックYSP-LC4100も発売。脚部のピアノフィニッシュが高級感を演出している  
   
 
オプションも充実。ワイヤレスサブウーファーキット「SWK-W10」はワイヤレス伝送技術「AirWired」に対応し、市販のサブウーファーをワイヤレスで接続できる
 
オプションのiPod/iPhonワイヤレスレシーバー「YHT-W10」。おなじくAirWiredに対応し、iPod内の楽曲を非圧縮伝送してYSP-4100で再生することができる
 



映画、スポーツ番組、ゲーム・・・
どんなコンテンツにも適応するマルチプレーヤー

また、リビングという空間は、マルチパーパスな空間でもあり、そこに置かれたテレビもさまざまな使われ方をします。映画視聴やスポーツ観戦にとどまらず、ゲームで遊ぶこともあれば、テレビを「ながら見」することだってあるでしょう。YSP-4100は、こうしたマルチな使われ方に対応しています。

もともとYSPシリーズには、視聴ジャンルに最適な音場を創出するヤマハ独自のシネマDSPが搭載されていましたが、今回、YSP-4100には新たにゲームモードが装備され、サラウンド音声が収録されたゲームを最適な音場で楽しむことができます。もちろん、映画やスポーツ、音楽などに適した音場も引き続き用意されています。


AV機器メディアセンターとしても活躍

さらにいえば、テレビがマルチに使われるがゆえに、レコーダーやプレーヤー、ゲーム機など、複数のAV機器がつながるようになってきていますが、HDMI入力端子を4系統も装備しているので、多彩なAV機器をまとめて接続し、テレビに一括して出力する、メディアセンターとしても使うことができます。

いま、いくつかYSP-4100の特長を記しましたが、リビングにおける視聴覚環境のトレンドを徹底的に考察していることがおわかりになるでしょう。

ホームシアターファイルのご紹介
ホームシアターファイル

ホームシアターのある住まいの最新実例、住まいと連動したホームシアターのつくり方、ホームシアタープロデュースのプロフェッショナルである全国インストーラーの紹介、さらにはブルーレイやAVアンプ、スピーカーなど最新プロダクト、気になるブルーレイソフトの見どころまで、この1冊で夢のホームシアターのすべてがわかります!

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