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何ができる? 使い勝手は?

5年目に突入のアップル「CarPlay」レビュー。iPhone連携はカーライフに何をもたらすのか?

公開日 2018/05/07 08:00 編集部:風間雄介
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電話の発信やメッセージ送信を声で瞬時に行える

何度も書いているが、CarPlayは音声操作がインターフェースの基本にある。この音声操作は、音楽以外にも活用できる。

たとえば電話。電話アプリのアイコンをタップすると、すぐさまSiriが「誰に電話しますか?」と聞いてくる。

「○○に電話」で発信できるのは便利だ

「メッセージ」も同様だ。立ち上げると「誰にメッセージを送りますか?」と音声で指示を求められる。誰に送るか伝えると、次にメッセージの内容を聞かれる。最後にメッセージの宛先と内容がSiriによって読み上げ、最後に「送信しますか?」と聞かれるので、「送信」と言えば送ることができる。

わざわざアイコンをタップしてアプリを立ち上げる必要も、実は無い。ハンドルの音声アシスタントボタンを押しながら「○○さんに電話」「○○に××とメッセージ」と発話すれば、電話やメッセージを送ることができる。これは便利だ。できればLINEやFacebookメッセンジャーなど、ほかのアプリでも使いたい。

CarPlayのナビ機能はかなり貧弱

もうひとつ、アップルのマップを使ったカーナビ機能にも触れておきたい。アップルの地図機能は、ローンチ当初は不具合の多さで話題となったが、その後着実に機能向上を続け、いまではかなりまともになっている。

一方でCarPlayに対応しているカーAV機器は、ほとんどが独自のナビ機能を備えている。つまりこういった場合、対応機器のナビとCarPlayによるナビ、どちらも使えることになる。

ちなみにフォルクスワーゲンの純正ナビ「Discover Pro」の場合、Discover Proのナビを使いながら、CarPlayのナビ機能を起動することはできない。その逆も同様で、どちらか片方のナビを選ぶ必要がある。

そうなると、どちらが便利か、賢いのかという話になる。これを知るためには、iPhoneの「マップ」を使ってナビ機能を試してみると良い。大まかなCarPlayのナビ機能の精度が体感できる。

実際に純正ナビとCarPlayのナビ、二つのナビを使って乗り比べてみると、(めちゃくちゃ狭い場所を無理矢理通そうとするなど)あまり賢いとは言えないDiscover Proであっても、CarPlayのナビよりはるかに精度が高い。

CarPlayのナビ機能は、まずルート探索の精度が低すぎるし、機能も貧弱すぎる。たとえばルート探索時に「距離優先」「時間優先」の結果すら提示されないのだ。

CarPlayの地図機能によるナビゲーション機能はかなり貧弱。ルートの選択肢が少ないのが寂しい

なおアップルの「マップ」アプリには、オプションに「通行料金」「高速道路」を利用するか利用しないか選ぶ機能があるのだが、これを「利用しない」に設定した上で、埼玉県新座市から池袋までのルートを探索したら、「すべての経路で通行料金の支払いと高速道路の利用が必要」と表示された。…そんなわけはない。

CarPlayのナビ機能では唯一、目的地を声で入力できるのが便利だと思ったが、このルート探索精度の低さでは、積極的に使う理由はない。

目的地を音声でかんたんに入力できるのが唯一のメリットと感じた

Apple Musicを使っていたり頻繁に電話するならオススメ

CarPlayの機能を確認してきた。iPhoneを持っていて、Apple Musicやアップルのミュージックアプリを使っている方なら、ハンドルのボタン+声で様々な操作が行える恩恵を感じられるはずだ。

一方、車内で頻繁に通話する方ならどうかわからないが、少なくとも私には、電話やメッセージ機能の利便性はそれほど強く感じられなかった。もう一回書くが、LINEなどの読み上げや送信ができたら、劇的に便利になりそうなのだが…。

カーナビ機能も同様だ。純正ナビの性能がよほど貧弱ならともかく、わざわざアップルのナビを使う理由が見当たらない。

こう書くと、CarPlayには魅力があまりないように思えるかもしれないが、そうではない。筆者は現在、Apple Musicを使っているので、声で手持ちライブラリーやApple Musicを検索・選曲できるのは非常に便利だった。この一点だけで「CarPlay対応ナビで良かった」と素直に思えた。

逆に言うと、「アップルの音楽アプリやPodCastなどを声で操作する」「頻繁に運転中に電話の発信操作をする」「運転中に声でメッセージを出す」という方以外は、CarPlayのメリットはあまり大きくない。

CarPlayはそれなりに魅力的だが、現状では恩恵を強く感じる方は少数派だろう。率直なところ、CarPlayに対応しているからその機器や車種を選ぶ、というほどのバリューは感じられなかった。

冒頭で触れたAmazonやGoogleは、音声操作で車室内の温度を指示したりなど、よりクルマの奥深くまでコントロールしようとしている。こういった動きを受け、アップルが次にどういった手を打つのか、実に興味深い。


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