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オーディオテクニカ「ATH-DSR5BT」レビュー。フルデジタル・ワイヤレスイヤホンの実力とは?

公開日 2018/03/15 08:00 岩井 喬
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■無線環境を意識させない、ナチュラルかつクリアな表現を実感

試聴時はaptX HDでペアリングした。サウンドは制動性が高く清涼な傾向で、オーケストラもきめ細やかで澄んだハーモニーを聴かせる。ローエンドは締まり良く、レスポンスが良い。ジャズのホーンセクションやピアノはアタックの硬質な響きが清々しく感じられ、個々の楽器が一つ一つ明瞭に浮き立つ。Bluetoothモデルにありがちな粗さを感じさせないナチュラルな質感で、フォーカスの良さが際立っている。

ロックサウンドにおいてもエレキギターのザクザクとした厚みあるリフも小気味よくまとめ、リズム隊もナチュラルな密度感を持たせ、安定感あるビートを演出。ボーカルもハリ良くキリっとした芯のある描写となり、分離良くスッキリと浮き立つ。

装着図。非使用時はスライダーによってケーブルがぶらつかないようまとめられる

EDM系のベースは制動良くタイトな表現となり、アタック感の良いスピーディーなサウンドを楽しめる。DSD 11.2MHz音源においても、密度も伴った付帯感のない澄んだ音色であり、重心の落ちたS/Nの良さを実感できた。このあたりは送り出しのプレーヤーが持つ変換能力と安定度の高さがBluetooth伝送にも反映されているのだとろう。じっくり耳をそばだてて聴いていたとしても無線環境であることを意識させない、完成度の高いサウンドだ。

女性ボーカルやクリストファー・クロスのようなハイトーンな男性ボーカルの質感においても声の透明感、爽やかなリヴァーブ表現をしっかりと聴かせてくれ、キレ良いリズムの沈み込みにより生まれる音場のクリアさと相まって、高域の澄んだテイストをより強く感じさせてくれる。こうした表現も従来のBluetooth機では難しかったが、本モデルの持つポテンシャルの高さを改めて実感できた。

付属のソフトケースは本体をしっかりと覆えるサイズ。安心して携帯できる



フルデジタル構成であること、そしてDUAL PHASE PUSH-PULL D/A DRIVERSが実現する理想的なダイナミック型ドライバーの駆動能力、進化したピュア・デジタル・ドライブに加え、aptX HDコーデックがもたらすハイレゾ相当の高解像度かつ分離の良いリアルなサウンドを、ワイヤレスイヤホンの世界に収め込んだ。実に意欲的なプロダクトである。

(岩井 喬)

■試聴ソース
・デイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
・KOTOKO「→unfinished→」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
・飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章(96kHz/24bit)
・『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜届かない恋(2.8MHz・DSD)
・Suara「キミガタメ」11.2MHzレコーディング音源
・Whitesnake『Whitesnake(30th Anniversary Remaster)』〜Here I Go Again 87(96kHz/24bit)
・Christopher Cross『Another Page』〜「Nature Of The Game」(192kHz/24bit)

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