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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第160回】良いメンテナンスが良い音を作る!ポータブルオーディオの “お手入れ法” 徹底解説

公開日 2016/07/08 10:00 高橋 敦
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■お手入れの基本は乾拭き

さて、お手入れの基本は「拭き」だ。汚れを拭き取り清潔さを保つと同時に、そのものを手にして近くで見ながら拭くことで、何か異常があったときには早めに気付ける。機器の本体等全般、あとイヤホンやヘッドホンの端子のプラグ側(挿す側)も基本は拭き掃除でOKだ。

ごしごしというほどではなく普通に拭きつつ、何か異常がないかも確認。iBasso Audio「DX80」

プラグもつまんで包んで拭いておく。あとそもそもプラグの接点部分は皮脂汚れを防ぐため、普段から指で触らないほうがよい

その「拭き」。現在には多種多様なクリーニング剤もあるが、基本は液剤等を用いない「乾拭き」だ。液剤は液なので湿気が不可避だし、化学作用で汚れを落とすタイプは樹脂素材やディスプレイのコーティング処理との相性が悪い場合もあるし、研磨剤を使っているものも気分はよくない。

なので、やはりいちばん安心できるのは乾拭き。ならば重要なのは、その乾拭きに使う布等の選び方だ。

お手軽でおすすめなのは眼鏡やディスプレイ向けのクリーニングクロス。どこでもお安く手に入るし、サイズ感もポータブルオーディオを拭くのにちょうどよい。傷が目立ちやすく反射防止等の特殊コーティングが施されていたりもする繊細なアイテムの眼鏡やディスプレイのために用意されているものなので、大切なオーディオ機器に使うにも安心だ。「マイクロファイバーうんちゃら」とかのおかげで拭き取り性能も高い。

眼鏡等のクリーニングクロスは手軽で無難

Fenderの無処理コットンクロスもおすすめ

他、別にクリーニングアイテムではなくとも、綿100%とかの布切れが手近にあればそれをほどよいサイズに切って使ってもよい。着古してへたった無地シャツとか。着古し綿シャツは自転車や自動車のメンテナンスでも基本アイテムだ。

愛情が高まりすぎて、道具を拭くこと自体に喜びを覚え始めてしまった方にはセーム革をおすすめ。鹿皮を処理した伝統的な革製品だが、最新クリーニングクロスを上回る性能を持ち、カメラの高級レンズやビンテージ楽器、宝飾品などの手入れにおいては今でも定番だ。そしてそれ自体が良質な革としての魅力を持つ。

最終兵器セーム革。もうセーム革自体の手触りが気持ちいいレベルなのでメンテのモチベーションも上がる

表裏で手触りが異なり、手触りがややさらりとした表ではなく、ややしっとりとした裏の方が磨き効果は高いらしい

普通に通販されているし、オーディオ売り場と近しいところでは大手家電量販店ならカメラコーナーにも陳列されているだろう。楽器店にも置かれている。

しかし、時には乾拭きでは落ちにくい汚れもあるだろうし、もっとしっかり汚れを落としたいときもあるだろう。その場合「普通に水道水で濡らして固く絞ったクロス」を使い、その後に乾いたクロスで拭き取る。もしくはPCのディスプレイ用やOA機器全般用として販売されている、強い化学作用のないクリーニングリキッドなどを用い、やはりその後に乾いたクロスで拭き取る。といった方法なら問題は起きにくい。

クリーニングリキッドを併用する際の、使い捨ての拭き拭きアイテムとしては「キムワイプ」がおすすめ。ティッシュペーパーのようなものだが、毛羽立ちや粉屑が少なく耐水性も高いので、メンテナンスグッズとして多くの場面で活躍。常備しておいて損はない。

筆者はエレコムのOA機器用とディスプレイ用のリキッドを常備

メンテナンスグッズ的にはティッシュペーパーの上位互換ともいえる存在がキムワイプ

次ページブラシとブロワーも用意しておきたい

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