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BenQのフルHD対応DLPプロジェクター「W6000」の実力に林正儀氏が迫る!

林 正儀

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2010年09月01日

■素材の鮮度を活かしながらBenQならではの味付けを施したモデル

視聴は最新のBDソフトをメインとしながら、BS/地デジのオンエアーや録画したものなど、幅広く行うことにした。

それに先立って画質関連のメニュー構成だが、シンプルでありながらBenQならではのこだわりをみせる。ピクチャーモードは「シネマ」「ダイナミック」「標準」のほかに、「ユーザー1」から「ユーザー3」を装備。


メニュー画面
輝度、コントラスト、色、色あいなどの基本設定から高度な設定に移ると、0/7.5IREのブラックレベルや色温度のほか、ユーザー用の微調整としてRGDのケインおよびオフセットが自在に調整でき、さらに色管理(カラーメネージメント)ではシアン、イエロー、マゼンタを含む6軸による範囲と彩度までキメ細かくチューンニングできるのだ。


「高度な設定」画面ではブラックレベルなど様々な設定が可能

「色管理」の設定画面
そして得意のブリリアントカラー(ON/OFF)と、ガンマの選択がキメ細かい。通常のガンマ1.6〜2.8のほか、独自のBenQ1、BenQ2モードまで用意していて、これらはスマートな自照式のリモコンでサクサクと行えるのだが、調整画面のホールド時間はやや短めと感じた。

そして、プロジェクターユーザーとして嬉しいのはアスペクトの選択にアナモフィックが含まれていることで、4:3やLB、ワイドのほか、REAL(実寸)などをダイレクトキーで選ぶことができる。


アスペクトの選択にアナモフィックが含まれている
さすがにDLPらしいハリと色の豊潤さ、緻密なテクスチャー感を持っているというのが第一印象だ。BSの海外紀行ものや自然の風景など、したたるような色の美しさといってよいだろう。この色彩感は液晶モデルでは出せない。またレンズ性能も優秀なためか、フォーカスがキチっとして隅々まで視力が行き届く解像度の高さを実感させた。

極彩色の宮殿や壁画などソースによってはブリリアントカラーONで、さらに色の鮮度感を高めて見たい場合もあったり、また逆の場面もあり、このあたりはユーザーが好み次第で選んでいけばよい。

さて、8月にはNHK BS hi「スターウォーズ6部作」が一挙放映されたが、この録画データをBD-Rに移したものも視聴した。「EP3シスの復讐」のダークサイドに堕ちてゆくアナキンの壮絶なラストシーンが見所だ。W6000の放つ色と重厚なコントラスト描写に圧倒された。

さて本命のBDソフトである。「アバター」はまさにピタリとマッチする色の透明さや、吸い込まれるような深度感がすばらしい。CGで描かれたパンドラの森。そこには色とりどりの生物たちが棲息しており、幻想的な映像美の世界へと誘う。ダイナミックに旋回する怪鳥たちのビビッドな色合いや、精霊の透明でやわらかな感触など、W6000の光のペンがさえまくる感じである。

光のペンといえば近未来を描いた「マイナリー・リポート」の、銀とばしによるくすんだようなザラ付き感も上々だ。自らは極めて高S/Nでありながら、映像にあるノイズだけをしっかりと浮き上がらせて生々しいタッチで描く。不思議な透明感だ。流れるようなラインのハイウェイや垂直移動体がリアルに描かれ、これも観て欲しい作品である。個人的に「ハート・ロッカー」を近々入手する予定なのだが、同作品での殺伐とした戦場の風景も本機で観てみたくなる。

一方で「ココ・アヴァン・シャネル」のような自然光のおいしい作品も、本機はその魅力を引き出していた。これはガンマモードのBenQ1がぜひお勧めだ。もうひとつのBenQ2では肌に赤みがさし、映像にハリがでる感じでどちらかというとハリウッド系作品にマッチしていたが、ここはふわっとやわらかく、コントラスト感と色を浅めにしたBenQ1が、フランス映画に合うと感じた。ほかのパラメーターはほとんどいじらなくてよいほどの会心のできばえだ。

冒頭の孤児院にむかうシーンでの木漏れ日はキラキラと美しく、建物の遠近感がすこぶる自然。白階調が丁寧で、ベッドや衣装の重なりがサラリと表現される。

そしてまた、父親と別離するシーンでのみごとなシルエットも印象に残る。オドレイ・トトゥの強い目線や浅黒い肌の感触、様々な色と素材の生地が楽しめる後半にかけての滑らかなタッチ。みごとなフィルムルックぶりである。

アニメーションでは3D BD(海外盤)でも話題の「くもりときどきミートボール」や「モンスターハウス」などを視聴。こちらでは、こうしたCGアニメ系ならおまかせという感じの、色数の豊富さと鮮やかさを見せた。空からハンバーグやフランクフルト、クッキーなどさまざまな食べ物が降る場面は、ぜひビビッドカラーONで鑑賞したいものだ。ただ鮮やかにするわけではなく、色調がぐっと多彩になりメリハリの効いたカラー映像を堪能させる。

総合的に見ると、本機は様々なソースで素材の鮮度をそのまま活かしながら、BenQならではの高度な味付けを施した魅力的なモデルだと言える。リモコンを含めた操作の快適さも申し分がなく、これは幅広いプロジェクターユーザーに歓迎されるはずだ。フルHDのDLPで実売29万円程度という価格を実現している本機は、間違いなく高いコストパフォーマンスを持っている。


林正儀 プロフィール
福岡県出身。工学院大学で電子工学を専攻。その後、電機メーカー勤務を経て、技術 系高校の教師というキャリアを持つ。現在、日本工学院専門学校の講師で、音響・ホー ムシアターの授業を受け持つ。教鞭をとっている経験から、初心者向けに難しい話題 をやさしく説明するテクニックには特に定評がある。フルート演奏が趣味という一面もある。

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