「クルマの音もこだわりたい人に」DSP内蔵アンプも注目、カロッツェリアの新製品発表会
パイオニア(株)は、同社が展開するカーオーディオ関連機器「カロッツェリア」ブランド製品の新製品発表会を開催した。カーナビやディスプレイオーディオ、DSP内蔵アンプなどの詳細を担当スタッフが語るとともに、実際の使い勝手や音質を体験できるようになっていた。
カロッツェリア渾身のDSP内蔵アンプ
発表会の冒頭、市販カーエレクトロニクスの市場動向について、マーケティング推進部ブランドマネージャーの紺野賢一氏は、「カーナビは純正品から交換できなくなっている車種が多いが、一方でオーディオの別設定ができる機種も増えており、揺り戻しが来ている印象もあります」と解説。
続けて「クルマに対する趣味嗜好性がさらに高まっている」とし、カーナビやディスプレイオーディオについても「こだわって選んでもらう」提案が必要になってきていると分析する。またスマートフォンが当たり前の時代になっていることを踏まえて、スマホを活用しながらカロッツェリアならではの良質なサウンドを楽しんでもらいたい、と新製品の狙いを解説する。

特にカーオーディオ的な視点で注目のアイテムとしては、クラスDアンプを搭載するDSP内蔵アンプ「DEQ-7000A」と「DEQ-2000A」。それに9インチサイズのディスプレイオーディオ「DMH-SF600」。それぞれについて担当者のコメントも交えて紹介しよう。

DSPアンプは、いまのカーオーディオ市場の話題のトピックのひとつ。車内においては、リスニングポジションが左右スピーカーの中心に確保できないこと、またガラスや座席シートなどさまざまな内装素材の複雑な反射の影響を受けてしまう。そのため、DSPを用いてタイムアライメントやレベル調整を行い、音質を追求するという趣味性の高い取り組みが広がってきている。海外ブランドからは多くの単体DSP、あるいはDSP内蔵アンプが登場してきており、国内ブランドからの発売も待望されていた。パイオニアとしてはDEQ-1000A以来、久しぶりの登場となる。

上位グレードのDEQ-7000Aは8ch in/10outで120W×8出力という本格仕様、DEQ-2000Aは4ch in/6outで、80W×4出力。DEQ-2000Aは「初めてDSPにトライしたいユーザーにも手軽に手に取っていただけるよう開発した」と東北パイオニアで開発に携わる松下 寛さんも強く訴える。「自分の手で車室内の音を作りあげる喜び、音楽を楽しむ世界観を提案していきたいと考えています」と製品の狙いを解説する。

2000Aは手軽にスタートしてもらえる一方、7000Aの方がチャンネル数も多く、外観もより高級感のある仕上げとなっている。多くの場合DSPアンプは座席下などの見えないところに据え付けられてしまうのだが、それでも所有感を満たす仕上げの美しさは嬉しい。


設定用のソフトウェア「DSP Controller」は共通で、WindowsPCのほかスマートフォンアプリも無料で提供。スマホからも設定ができるというのも大きなポイントで、しっかり音質を追い込みたいときはPCから、ちょっとした設定変更やプリセットの聴き比べなどはスマホから行うといった使い分けも可能。ソフトでは、タイムアライメントの調整のほか、イコライザー、ローパス/ハイパスフィルター、カットオフスロープの設定も可能で、かなり細かく音質を追求できるようだ。


また代表的な20車種(アルファードやカローラ、プリウス、ジムニー、レヴォーグ、ロードスター等々)については、それぞれの車室内音響特性に合わせてチューニングした「サウンドチューニングデータ」をホームページ上で将来的に無料で公開していく。データをダウンロードしてDSPアンプに読み込ませれば、推奨の音質設定をすぐに実現することができる。そこからさらに手を加えて好みの音質を追い込んでいくことも可能だ。
発表会では、トヨタのアルファードに2000Aを装着した車の音質を体験、デフォルトの状態と、設定を作り込んだプリセットをボタンひとつで聴き比べできるようになっていた。その差は歴然、低域がグッと締まったと同時にダッシュボード上に展開するステージ感も豊かに広がり、より音楽のディテールを引き出してくれる。野田愛実の歌詞も明確に聴き取りやすくなっており、DSPアンプ導入のメリットが感じられた。

スピーカーは純正の状態から、DSPアンプを追加する、という比較的シンプルな調整でここまでのアップデートができるというのは嬉しい。クルマをカスタムするように、音も好みに合わせてカスタマイズしていく。カロッツェリアのDSPアンプはその第一歩に寄り添ってくれる存在といえそうだ。

使いやすさにこだわったディスプレイオーディオ
もうひとつ発表されたのはディスプレイオーディオの「DMH-SF600」。1DINの9インチフローティングタイプの製品となる。カロッツェリアのディスプレイオーディオ製品としては、昨年秋に発表されたフラグシップの「DMH-SF900」、音質にこだわった「DMH-SF700」「DMH-SZ700」、6.8インチサイズの「DMH-SZ500」「FH-8500DVS」と幅広く展開している。「ディスプレイオーディオの市場が多様化し、ニーズも多様化していることから、自分に合ったものを選んで欲しい、という思いで開発しています」とマーケティング推進部海外マーケティング課の八尾瑞希さんが解説する。

ディスプレイオーディオの開発ポイントについて、八尾瑞希は「Apple CarPlay/Android Auto」を軸として、より使いやすい設計を目指している」点をアピールする。ワイヤレスでも利用できるため、最初に設定してしまえば、ケーブルを繋がなくても車に乗ったらすぐに利用できる点もユーザーから好評価を得ているそうだ。


そのほか12バンドのイコライザーや48bitDSPも搭載しており、「手軽に臨場感のある音質を楽しめる」点もカロッツェリアの強みだという。スズキのハスラーに装着されたクルマを体験したが、音質はもとより操作性もよく、音楽再生画面や設定画面が選びやすい点も注目したい(クルマによっては音の設定が深い階層に作られており、探しにくいものも多い)。

デモカーエリアでは、楽ナビのラインナップに加えて、先日発表されて話題を集めているパイオニアブランドのフラグシップスピーカーユニット“GRAND RESOLUTION”「TS-Z1GR」も展示。こちらも全国の専門店を中心に引き合いが強いそうで、パイオニア-カロッツェリアの双方のブランドから、「音」の世界の追求が深まることを楽しみにしたい。



関連リンク
トピック