【HIGH END】CDプレーヤー再ブーム?eversolo&Shanling&AURALiCブースレポート
中華系メーカーによる新しい“CDプレーヤー”の提案は日本でも大きな話題となっているところだが、ミュンヘン・ハイエンドでも、eversoloとShanlingからお手頃価格のCDプレーヤーがお披露目された。
eversoloから初のCD対応機登場
Android OSを搭載し、AmazonやQobuz等のアプリをインストールできるネットワークプレーヤーとして日本でも大ヒットを飛ばしているeversolo。新たに「eversolo play」が初登場、CD再生機能のないStandard Editionと、側面にディスクドライブが搭載されたCD Editionと2モデルで展開される。CD再生については、CDならびにCD-ROM再生のみで、SACDには非対応。海外報道ではCD Editionが799ユーロとなっている。

eversolo playは、コンパクトサイズの筐体にネットワーク機能とクラスDアンプまで内蔵されており、スピーカーを繋ぐだけで各種ストリーミングサービスとCD再生を楽しめる。DACチップには低歪みで評価の高いAKMの「AK4493SEQ」を搭載、ストリーミングサービスとしてはQobuz、TIDAL、Amazon Music等に対応する。
フロントパネルは5.5型のLCDタッチスクリーンで、Androidベースとなっておりアプリ等をインストール可能。外付けUSBストレージからの再生、MM/MCの双方のフォノ入力に対応するなど、メディアを問わない各種再生に対応した非常に強力な仕様が見て取れる。ぜひ国内導入を期待したいところだ。
またブランド初のトランスポート「T8」も登場。eversoloはストリーミング機能に定評があるため、すでに良質なDACを所有している人にはこちらも選択肢になりそうだ。さらに、フラグシッププレーヤーである「DMP-A10」とデザインを揃えたパワーアンプ「AMP-F10」も登場。クラスABアンプで強力な駆動を実現する。デモブースではEPOSのスピーカーを組み合わせ、来場者の耳を楽しませていた。


ShanlingのポータブルCDプレーヤーは真空管アンプとR-2R DAC搭載
一方のShanlingからは、真空管アンプを搭載したポータブルCDプレーヤー「EC Zero T」が登場。「春のヘッドフォン祭 2025」で参考出品されていたモデルの世界お披露目となる。ブラックを基調としてデザインもクールで、手前の操作パネル側に真空管の淡い光も見える。

DAコンバーターには独自構成のR-2Rを搭載する点も興味深く、R-2R+真空管という組み合わせもかなり珍しい。Bluetoothも搭載しており、ワイヤレスイヤホン等とも連携できるが、3.5mmと4.4mmのヘッドホン出力も搭載する。同じくShanlingのヘッドホン「HW600」で聴いてみたが、非常に艶やかで明るく華やかな音色と感じられた。

ブースには、日本では未展開のCDプレーヤー「CD-T35」なども展示。宇宙船のような奇抜なデザインが特徴で、AndroidベースのOSを搭載しておりネットワークプレーヤー機能も持つ。トップローディングのCDプレーヤーで、右の足はボリュームコントール、左の足はインプットセレクターになっている。ポータブル機を超えた完全な据え置きモデルとして設計されており、幅広い商品開発力を見せつける。

ブースには、ほかにもCDトランスポート/リッパーの「CR60」やSACDプレーヤー「SM1.3」なども展示。ShanlingブランドとしてCDプレーヤーに力を入れる理由について尋ねると、「やはりオーディオ好きの方にはいまもCDを愛好されている方も多く、そういった方々にも届けられるプロダクトを作りたいと考えています」とグローバルマーケティング担当のフランキーさん。そこに加えて、「R-2R方式のディスクリートDACや真空管など、新しいアイデアを加えて、他のブランドにはない、Shanlingならではの製品展開に力を入れていきたいです」と語ってくれた。

一方でDAPやストリーマー、ヘッドホンなど、新しい世代のオーディオファンに向けたプロダクトも展示。新世代の「オーディオブランド」としての存在感を強く感じさせてくれた。
AURALiCからはハイエンドグレードのCD/ストリーマー
もう一社、海外のオーディオショウでよく見かけるAURALiCブランドからも、ストリーミング機能とCD再生機能を一体化した「AQUILA X3」も展示されていた。DACを搭載しないトランスポートで、電源別の2筐体式。「Tesla G3」という独自のストリーミングプラットフォームで動作している。14,999USドルと、こちらはよりハイエンド価格帯のプロダクトである。SACDは非対応。


光学メディアの未来は厳しい、ということに疑いの余地はないのだが、その一方で、趣味性の高いオーディオ市場においてはいまも高い支持がある、ということをあらためて認識した。
CDという光学ディスクメディアが誕生して40年余り。アナログレコードが、SP盤も含めると100年を超えてなお再生が可能なことを考えると、失われるにはあまりに惜しいテクノロジーである。
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