ダイレクト・カットをA面に、DSD11.2MHz録音をB面に配した

川上さとみのダイレクト・カッティングLP『Sensibilities』、本日発売

2024/01/17 季刊・アナログ編集部・野間美紀子
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2023年9月13日に行われた川上さとみピアノトリオのダイレクト・カッティングLP『Sensibilities』が、本日1月17日に発売される。

川上さとみ『Sensibilities <DIRECT CUTTING vs DSD11.2MHz 1bit>』6,380円(税込)


ダイレクト・カッティングは2chステレオ録音を行いながら、同時にレコード用のラッカー盤にカッティングをするという一発録りの手法。通常ならラッカー盤に刻む前に、テープやハードディスクに録音し、編集、ミックス、マスタリングを経てマスターを完成させてからラッカー盤に刻むが、その工程を飛ばして演奏と同時にラッカー盤に直接刻んでいる。

技術的にも熟達し、かつ肝のすわったミュージシャンでなければこのダイレクト・カットに臨むのは不可能だが、それをやってのけるジャズピアニストとして選ばれたのが、ジャズ・ピアニストの川上さとみである。


今回、ダイレクト・カッティングに挑んだ川上さとみ。巨匠ハンク・ジョーンズからも絶賛されている
9月の演奏・収録時のリアルタイム配信では、途中機械トラブルによって一度演奏を中断し演奏をやり直す様子も公開されていた。そんなアクシデントをものともせず、その実力と度胸を見せつけた川上さとみ。


レコーディング・エンジニアの高田英男氏がマイク・セッティング。ピアノのメイン・マイクは、ノイマン「M149 Tube」(高域、低域)。やや上部にSCHOEPS「CMC 64V Ug」を配置し、倍音成分を拾う

天井高10mのキング関口台スタジオのホールにてピアノ録音
共演者に、べーシストはカナダ出身のブレント・ナッシー、ドラマーは田鹿雅裕とベテランが揃う。収録されたのは、川上自身のオリジナル4曲である。


ベースはブレント・ナッシー。収録にはノイマンの真空管マイク「U 67」を2本使用。高田氏によると、名匠アル・シュミットのマイク・セッティングを参考にしたという

ドラマーは田鹿雅裕。ドラムスのマイクは、基本コンデンサー式を使い、シンバル系のかぶりの音もきれいに表現。キックドラムのマイクは「AE2500」をダイナミック・マイクとして使用した
現場ではラッカー盤へのダイレクト・カットのほか、同時収録していたDSD11.2MHzのデジタル録音も行われていたのだが、LP制作の最終段階で、最高のクオリティでリスナーに届けることを検討した結果、A面はダイレクトカッティングされたマスタースタンパーを使用し、B面はDSD11.2MHz 1bit録音のデジタルファイルから新たにカッティングしたマスタースタンパーを使用することになった。


ダイレクト・カットに使用したカッティングマシンはノイマン「VMS70」
同じ日、同じ場所でダイレクトカッティングした音とデジタル録音した音を聴き比べ、それぞれの特徴も楽しめる現代ならではの希少なレコードが誕生した。

180g重量盤、数量限定プレス。録音エンジニアは高田英男、カッティングエンジニアは日本コロムビアの田林正弘がそれぞれ担当。

ダイレクト・カットというトピックスと共に、川上さとみの創り上げるジャズの音世界を堪能できる素晴らしいアルバムとなっている。

また、現在発売中の「季刊・アナログvol.82」にはオーディオ評論家・小原由夫氏によるダイレクトカッティングの現場レポート&音質レビューも掲載されているので、こちらも合わせてお楽しみいただきたい。




発売中の「季刊・アナログvol.82」

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