テーブル出展で参考出品多数

<OTOTEN>ナガオカが「カートリッジ自作体験」を実施/MUTECがクロック“世界初展示”

公開日 2023/06/24 16:27 編集部:平山洸太
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日本オーディオ協会による、オーディオとホームシアターの祭典「OTOTEN2023」が開幕した。イベントでは、ナガオカがレコードカートの自作イベントを行ったり、ジェネレックは7.1.4chのシステムを展開したりするほか、MUTECやDVASなどは未発売の製品を参考出品。取材に訪れたのは初日午前中だったが、セミナーには立ち見が出るほど多くのユーザーが訪れており、盛り上がりを感じた。

ナガオカでは、MMカートリッジを自作できる体験イベントを実施。OTOTENの2日間合わせて5回実施され、各回3人の狭き門となっている。あす25日は11時から、14時からの2回で、1時間前からブース前で受付を開始する。

カートリッジの自作は顕微鏡を覗きながら行う

顕微鏡を覗くとこのように見える。細かな位置の調整が音に影響するとのことだ

カートリッジを自作できるというのは、同社としては初めての試みとのこと。もともと昨年くらいからインターンシップで行われていたものだが、評判が良いことから、今回OTOTENでの実施を決めたという。

自作できるカートリッジは「NT-500M」。手順としては顕微鏡を覗きつつ、ノブにダンパーゴムを入れ、ダンパーゴムにある穴にカンチレーバーを差し込む、といった具合だ。シンプルではあるが位置調整が重要で、それによって音が変わってしまうという。完成したカートリッジはブースに設けられた機材ですぐ試聴でき、その後ケースに入れて梱包し、売っている製品と同じ状態で持ち帰ることができるそうだ。

そのほか同ブースには、ナガオカの歴史を感じられる展示を用意。祖業である時計の軸受石をはじめ、レコードクリーナーやリボン型のカートリッジなど、同社の歩みを実際の製品とともに体感できるようになっている。

ナガオカの歴代製品が並ぶ

エムアイセブンジャパン/ジェネレックジャパン/シンタックスジャパンは合同でブースを展開。ブースには7.1.4chのスピーカーシステムを用意。スピーカーはジェネレック製のもので、フロントのLRには8361A、それ以外の平面には8351B、ハイトには8341A、サブウーファーには7370Aを使用している。DACはRME製のものとなる。

ジェネレックのスピーカーで7.1.4chシステムを構築

また、部屋にはVICOUSTICの調音パネルを使用してルームチューニングを実施。Cinema RoundやCinema VMTで吸音しつつ、Multifuserで音を拡散、角には低音用のSuper Bass Extreme Ultraを設置するなど、細かな調整が行われていた。

ブースの後方には、デスクトップやリビングを想定したシステムを展開。DACにはRMEのADI-2/4 Pro SEを使用しつつ、スピーカーにはジェネレックの8320Aや6040R、ヘッドホンにはAustrian AudioのHi-X60やHi-X65などが用意され、体験できるようになっていた。

RME「ADI-2/4 Pro SE」を使用しシステムを構築

様々な製品で賑わうテーブル出展ブース



OTOTENには大規模な各メーカーのブースの他に、1つの部屋に複数のメーカーが集うテーブル出展ブースが用意されている。スピーカーによる試聴は行えないものの、その代わりにヘッドホンを使った試聴が体験でき、ゆっくりと試聴できるのが魅力だ。

まずヒビノインターサウンドは、同社が取り扱うMUTECのクロックジェネレータ「REF 10 NANO」を “世界初展示” として参考出展。こちらは既存モデル「REF 10」からサイズ半分の1Uを採用しているモデルとなり、税込20万円台で近日発売予定だという。

「REF 10 NANO」

REF 10 NANOは10MHzのクロックジェネレータで、75Ωと50Ωのインピーダンスに対応。基本的にはREF 10と同様の性能を実現しているという。電源については小型化によりREF 10から変わっているが、低ノイズの電源を採用しており、特に20Hz以下の低周波に最適化している。またDC電源にも対応するため、「さらに音を探求」することも可能とのことだった。

MUTECではこの他にも、クロックケーブルを参考出展。こちらは昨年に発表されたものではあるが、ようやく近日発売できるようで、まずは75Ωのケーブルから投入していくとのこと。単線/銀コーティングとなっており、「かっちりした音で情報量が多い」のが特徴だと担当者は話していた。そのほかヒビノのブースには、AKGのヘッドホン「K712-Y3」「K812-Y3」が用意され、こちらも試聴できるようになっている。

MUTECのクロックケーブル

続いてエービーシーは、同社が取り扱うechowellの一体型真空管オーディオを出展。こちらも既存モデル「echoElite Vi」に加えて参考出品として、廉価版の「echoStream Vi」を展示している。基本的な機能は同様でアンプについても全く同じだが、ユニットサイズは4インチから3インチに小型化、CDがスロットイン方式からトレイ方式に変わっているなど、細かなコストダウンが図られているという。

「echoElite Vi」

「echoStream Vi」

オーロラサウンドでは、真空管ハイブリッドプリメインアンプ「HFSA-01」、および同社VIDAシリーズの組み合わせによるシステムを構築し、ヘッドホンでアナログサウンドを楽しめるようになっている。また参考出品では、LUNDAHL製トランスを採用したMCステップアップトランス「AFE-12」を展示。内部には綿を詰めて振動防止を図っており、9月ごろに5〜6万円くらいでの発売を予定しているとのこと。

「HFSA-01」

「AFE-12」

金井製作所では、奏KaNaDeブランドで展開するオーディオアクセサリーを各種展示。素材の配合を改良したインシュレーター「KaNaDe5S」や、仮想アース「Konadeアース02S」など、リニューアルされたばかりの製品も並べられ、実際にヘッドホンで効果を体験できるようになっている。担当者によると「02Sは効果が4倍くらいになったため、ヘッドホンでも効果がわかりやすい」とのこと。ヘッドホンはXLRでバランス接続するなど、ヘッドホンでも効果の分かりやすい展示を心がけたという。

「KaNaDe5S」

インシュレーターや仮想アースの効果を体験可能

DVASでは、ヘッドホンパワーアンプ「Model 2」を参考出品しており、こちらも発売前ながらも実際に音を体験できるようになっている。Model 2は完全差動アンプとなっており、電源にはトロイダルトランスを使用。ヘッドホンアンプにはボリューム搭載やDACを内蔵しているモデルも多いが、あえてそれらを搭載しないことにより、「音質に全振り」したという。100万円前後で秋までには出したいとのこと。

「Model 2」

MACKIEを取り扱う音響特機では、各種モニターヘッドホン、モニターイヤホン、完全ワイヤレスイヤホン「MP-20TWS」などを展示。その中でも、参考出品としてアピールされていたのが、初心者からプロまで使えるという配信向けのミキサー「DLZ Creator」だ。こちらはEasy/Enhanced/Proの3モードが用意されており、モードによってパラメトリックEQが3バンドEQになるなど、操作感も大きく変わるようになっている。またEasyモードでは、フェーダーの位置やマイク接続などをナビゲートし、マニュアルを見ないで設定が行えるほか、ゲインも自動調整できるとのことだ。こちらは税抜111,500円で7月から8月くらいに出せる準備を進めているという。

「MP-20TWS」

「DLZ Creator」

サザン音響では同社が展開しているダミーヘッドマイクを使用し、来場者のイヤホンやヘッドホンが「本当にハイレゾに対応しているか」測定するサービスを実施。またトライオードでは、CROSSZONEの頭外定位ヘッドホンを、真空管アンプ「TRV-88SER」などで視聴できるようになっている。

ヘッドホン/イヤホンを持ってくれば測定してもらえる

トライオードのブース

そのほか、プレシードジャパンはCambridge Audioのプリメインアンプ「EDGE A」を使って、平面磁気駆動型ドライバー採用のヘッドホン “ピッドホン”こと「WA-Z1PNK」を駆動。あえて大型のアンプを使うことで、WA-Z1PNKのポテンシャルを最大限まで引き出すことを狙ったという。またGlanzのブースでは、各種トーンアームが展示されるとともに、それによるサウンドをヘッドホンでじっくり体験できるようになっていた。

WA-Z1PNKは用意されたハイレゾデータだけでなく、持ち込みのCDでも再生可能

Glanzのブース

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