アクセサリーによるグレードアップも提案

“銘機賞”受賞モデルを贅沢聴き比べ! ダイナミックオーディオ4Fのイベントを徹底レポート

公開日 2021/12/07 11:27 ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
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■さらにマニアックに!アクセサリーの投入でさらなるグレードアップを実験

30分ほどのインターバルをおいて第二部がスタート。第一部の最終状態から、さらにまたアクセサリーをどんどん追加してグレードアップしていこうという試みとなる。

冒頭で鈴木氏は、「現代はオーディオにとって受難の時代です。携帯電話やWi-Fi、インバーター電源やマイコンなど、本当にさまざまなオーディオの足を引っ張る機器が増えてしまっています。しかし、そういったノイズ源をひとつひとつ潰していくことで、オーディオ再生はすごく良くなっていくのです。それを体験していただきたいと思います」とイベントの趣旨を解説。

最初に登場するのはオーディオリプラスの電源タップ「STP-6」。100万円オーバーの電源タップという点でも話題の製品だが、特殊な金属パウダーを封入し、ボディの形状にも振動対策が施されている重量感のあるモデルであることが特徴。デモでは、ベルデンの1万円程度の電源タップも用意し、プリアンプ「C-2900」、 「DC-1000」と「DP-1000」の3本の電源ケーブルを差し替えて比較試聴を行った。

AUDIO REPLASの電源タップ「STP-6」

鈴木氏はその違いについて、「空間がきちんと広がることや、音の立ち上がりが良くなったところなどを聴き取っていただけたんじゃないかと思います。また音のしゃがみ、と僕は例えるのですが、音の立ち下がりも向上して、ダンピングファクターが良くなったような印象も感じます」

電源対策について島氏は、「どういった電源対策が有効なのかは、本当にご家庭によってさまざまで、こうすれば絶対良くなる、といった正しい方法はありません」。ショップでの比較試聴や、自宅への貸し出しなどを通じて、それぞれのシステムに適した電源対策法を一緒に考えていこうと訴える。

続けての比較試聴は「アンダンテラルゴ劇場」。アンダンテラルゴが取り扱うオーディオラック、そしてコード・カンパニーの“ノイズポンプ”のありなしによるサウンドのグレードアップを検証する。

アンダンテラルゴ代表の鈴木 良 氏

オーディオラックの比較試聴は、スペースの確保や移動の大変さから、なかなか専門店でも取り上げられることの少ないテーマ。今回は、「DP-1000」「DC-1000」「C-2900」の3筐体が乗ったクアドラスパイアから、アンダンテラルゴの「グランドタワー」に置き換えての比較を行った。

クアドラスパイア(左)からグランドタワー(右)に設置替えをしての比較試聴!

アンダンテラルゴは、もともと2007年に「リジッドテーブル」という一段ラックを生み出したことから会社をスタートさせた、まさにラックのプロフェッショナル。代表の鈴木 良氏によると、「グランドタワー」のポリシーは、軽量かつリジッドであること。といってもここに至るまでには多くの試行錯誤があったようで、パイプの太さやコーナージョイント部の作り込みなどの研究開発を重ねて現在の形に至ったとのこと。

棚板を載せるスパイクによって振動を効果的に逃している

その違いは、まさに腰が座り、ステージが一回り大きくなったゴージャズなサウンド。鈴木氏はラックのことを「振動のデパート」と例え、それぞれの機材そのものが出す振動が、板や支柱を伝わって他に悪影響を与えてしまうことが多くあるという。グランドタワーはそれらを“総合的に解決”してくれるラックとして非常に注目しているという。

もうひとつ、アンダンテラルゴが輸入販売を手掛けるものとして、イギリス コード・カンパニーのノイズポンプを紹介。機器の空き端子に挿入する「グランドアレイ」(端子形状はRCAやXLRなど7種をラインアップ)と、電源の空き端子に挿入する「パワーアレイ」、そしてパワーアレイを更に強化した「パワーアレイプロフェッショナル」を、それぞれ差し替えながら比較実験を行った。

グランドアレイを挿したところ

鈴木氏も、「ノイズはオーディオ機器の外部からだけではなくて内部からも発生します。それを対策するのがグランドアレイの役割です」と解説。実際にありなしを聴き比べると、特に高域の伸びやかさに顕著に違いが現れる。ノイズフロアが一段下がり、低域のドスドスとした質感にもさらなる躍動感が生まれる。耳に聴こえるようなノイズではなくても、空中を飛び交う高周波がこれほどまでにオーディオ信号に悪影響を与えているのか、とショックを受けるような体験でもある。

■ストリーミング&アナログ再生にもアクセサリーの効果バツグン!

続いてはストリーミング&ファイル再生のグレードアップ、ということで香港の俊英ブランドEdiscreation(エディスクリエーション)のハブ&光絶縁ツールを紹介。ここではエソテリックの特別大賞受賞モデル「N-05XD」を活用し、LAN環境を整えることによるグレードアップのポイントを解説する。

エソテリックの「N-05XD」でストリーミングのグレードアップを実践

再生にはRoonの「Nucleus+」を使用し、TIDALからアデルの「Easy On me」を聴き比べ。バッファローの汎用的なハブを使用している状態から、「Fiber Box2 JPSM」を挿入すると、さらに自然で伸びやかな音質に変化。特にノイズ低減に大きな効果があるように感じられた。今度はネットワークハブ「SilentSwitch OCXO JPSM」に変更すると、今度は音の力感が高まり、アデルの可愛らしさが全面に出てくるよう。ネットワーク環境の整備は予想以上のグレードアップにつながるため、島氏も積極的に提案を仕掛けているという。

エディスクリエーションの光絶縁ツール(左)とネットワークハブ(右)

最後はアナログ再生ということで、SFCの帯電除去アイテム「SK-EX Σ」「SK-FILTER SUS」と、ティグロンのターンテーブルシート「BFA-MAT」とスタビライザー「BFA-CLAMP」を紹介。

「SK-EX Σ」の中にレコード盤を30秒ほど入れるだけで処理完了

レコード盤をケースに収めて30秒で帯電除去が完了する「SK-EX Σ」の効果の程には参加者も息を飲むほどで、背景が静かになるとともに低音がさらに深くなり、リアルで等身大な音場が眼前に現れる。

ティグロンはマットとスタビライザーを同時使用したが、「音楽的なしなやかさやグルーヴがさらに印象的になりますね」と鈴木氏。ここまででイベント開始から4時間以上が経過していたが、参加者もスタッフも、疲労感よりも「音楽から元気をもらったよう」と口をそろえる。

ティグロンのターンテーブルシート&スタビライザーを両方使用したところ

■井筒香奈江さんとともに楽しむオーディオ再生

イベントの最後には、特別ゲストとして歌手の井筒香奈江さんが登場。最新アルバム『Another Answer』の制作秘話を語りながら、CDとハイレゾの聴き比べ、またダイレクトカッティング盤のレコード再生を一緒に楽しむ時間となった。

歌手の井筒香奈江さん。コロナ禍においてすっかり読書が習慣化したと語る

コロナ禍の状況でライブ活動がなかなか難しい状況下で、井筒さんは「5月から半年で200冊以上の本を読んでしまいました」と最近の活動を報告。しかし、人数を絞りながらも少しずつライブ活動が再開できるようになってきており、今後の展開についても色々と計画を進めているところだという。

「竹田の子守唄」のCD再生では、あまりにもリアルで等身大の井筒香奈江がスピーカーの中央に登場することに一堂唖然。井筒さんも「リアルすぎて怖いくらい」とコメント。一方のハイレゾ音源(DSD 11.2MHz)では、細部のディテール感やミュージシャンの細かな表現のこだわりも伝わってくるようで、もう少し分析的に聴くことができる楽しみがある。

ダイナミックオーディオと「オーディオ銘機賞」のコラボイベントは今回初の試みとなったが、普段はなかなかできないこだわりの比較試聴を用意し、非常に活気のあるイベントとして実現することができた。

ダイナミックオーディオ4Fの大きな特徴は、「参加者とともにイベントを作り上げていく」ことにもある。島氏も、「みなさんと一緒にこうやって試聴することで、本当に信頼できる製品をちゃんと紹介しているということを感じてほしいですし、お客さんにも納得して選んでほしい。そのお手伝いができればと思います」と、ショップならではの意気込みを語っていた。

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