価格は60万円前後の予定

<HIGH END>T+A初のヘッドホン「SOLITAIRE P」開発発表。平面駆動型採用のハイエンド機

2019/05/10 オーディオ編集部・浅田陽介
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T+Aは、現地時間の2019年5月9日(木)より開幕したMunich HIGH END 2019にて、同社初となるヘッドホン「SOLITAIRE P」の開発をアナウンスした。秋の正式発表へ向け開発が進められており、価格はまだ未定なものの、日本円にしておよそ60万円前後での発売が予定されている。

T+A初のヘッドフォンとなる「SOLITAIRE P」(画像はプロトタイプ)

数年前からトップエンドに位置するハイエンドコンポーネント、「HVシリーズ」や「Rシリーズ」、そしてコンパクトなサイズにハイエンドのエッセンスを凝縮した「8シリーズ」の取り扱いが始まり、日本でも着実に評価を高めてきたT+A。Munich HIGH ENDが開催される地元ドイツでは「国民的オーディオブランド」とも言えるほどの人気を誇るブランドで、昨年、創業40周年を迎えさらなる発展へと向け新たなスタートを切った。

SOLITAIRE Pは、その長い歴史の中でもT+Aとして初めて開発するヘッドホン。今回、そのプロトタイプが一部のメディアに公開された格好だ。

イヤーカップ内部からみたところ

ドライバーは平面駆動型を採用した。実は同社、前述のエレクトロニクス製品のほか、ケーブルからスピーカーまで手がける総合オーディオブランドであり、トップエンドに位置するスピーカーシリーズ「SOLITAIREシリーズ」では、長年に渡りエレクトロスタティック型の振動板を採用し続けてきた。型番からも分かるとおり、SOLITAIRE PはT+Aが40年に渡り培ってきたスピーカー技術をヘッドホンへと存分に投入した製品となっている。

T+Aの製品の特徴のひとつとして、「質実剛健」という言葉がふさわしい、非常に精巧なデザインをまとうことが挙げられるが、SOLITAIRE PもそんなT+Aらしいデザインコンセプトが採用されている。

SOLITAIRE Pのコアパーツ達。振動板フィルムも含め、全て自社工場内にて生産される

最大の注目点となる平面振動板は、ドイツ・ヘルフォルトにある自社工場内にて徹底的に研究を重ねた上で開発され、すべて自社内で生産されるもの。非常に薄い振動板には、精密に加工された複数のマグネットが1点1点手作業で接着されている。

振動板フィルムには、複数のマグネットが組み合わされる。これも自社にて手作業で行われる

一般的なダイナミック型振動板よりも軽く、理想的なピストンモーションを実現できる平面駆動形のメリットを最大限に引き出すべく設計が行われていることも特徴で、その結果8Hz - 54kHzという高い周波数帯域を実現。インピーダンスも16Ωと低く設定されている点も、大きな注目点ということができるだろう。

現時点ではプロトタイプとなるため写真は量産型とは仕上げ面等で異なる予定だ。ケーブルも脱着式を採用するとのことで、6.3mmステレオ標準プラグに加え、バランス駆動に対応した4.4mmペンタコン端子を用意する予定となっている。

ハウジング等はプロトタイプとのことで、今後大きな変更の可能性もある

同じくMunich HIGN ENDにて大きな注目を集めているT+Aの新たなフラグシップ・プリアンプ「SDV 3100 HV」にも4.4mmペンタコン端子が用意されていることからも、SOLITAIRE Pが最高峰のヘッドホンを目指して開発中の製品であることがうかがえる。

同社にとっては初めてのヘッドホンとして開発が進められるSOLITAIRE Pだが、T+Aの創業者でありCEOを務めるジークフリート・アムフト氏は、ドイツを代表するヘッドホンブランド ゼンハイザーの創業者、フリッツ・ゼンハイザー氏にオーディオエレクトロニクスを習っていたという経歴を持つ。こうした背景から考えても、SOLITAIRE Pはハイエンドヘッドホンにおける新たな注目機として期待を寄せて間違いない製品と言えそうだ。

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