新製品や試作機も登場

北米の注目オーディオショウ「AXPONA」レポート【前編】アナログ再生やヘッドホンの最新動向を探る

公開日 2017/04/26 14:25 島幸太郎(エミライ/OPPO Digital Japan)
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■レコードからテープへ。さらに深化するアナログ音源へのこだわり

AXPONAで印象深かったことのひとつが、オープンリールのテープマシーンの人気だ。数年前からCESでYG Acousticsが展示を始めたのがきっかけと筆者は記憶しているが、昨年のRMAFでもTechnicsがブースでテープマシーンを使った展示を試みており、先ごろアメリカでテープマシーンのレストアサービス業者が登場するなど、アメリカでは今テープマシーンが流行の兆しを見せている。

MBL North Americaはどのショウでも驚異的に音の良いデモを聞かせてくれるが、今回はオープンリールテープで再生したMichael Jacksonの「Thriller」がAXPONAで最も優れたデモだったように思う

AXPONAでは複数のブースがテープマシーンを使った製品デモを実施しており、どのブースも中域の力強さ、全帯域に渡るダイナミックさ、広い音場感を存分に感じさせる大変素晴らしいサウンドだったことが印象深い。AXPONAではファイル再生を主体とするブースが大変多かったこともあり、展示のインパクトという意味ではレコードプレーヤー以上だったのではないだろうか。

確かにアナログ収録の場合、マスター音源はテープ音源なので、アナログ再生の究極を目指すのであればテープに行き着くのは必然なのかもしれないが、筆者としてはまさかテープマシーンがこれほど「流行る」とは正直思わなかった。ハイエンドオーディオブランドのブースがテープマシーンでのデモに注力し始めているのは、レコード再生を飛び越えたある種のエンスージアズムを感じ、今後の趨勢が気になるところだ。


■真空管アンプの時代再び?

今回のAXPONAでは真空管アンプシステムの展示が多かったのも印象的であった。近年スピーカー設計はコンピューターシミュレーションを駆使したものとなり、広帯域化、周波数レスポンスの平坦化が進んだ結果、各社とも、やや均質な音作りになっている点は否めない。アンプが持つ音色と組み合わせることで目指す音を作り込むという意味合いでも、真空管アンプの魅力が再評価されている。

新興ブランドの注目株Zesto Audio。アメリカの新興ブランドは真空管を採用した製品を作るケースが多い。やはり音色の魅力ゆえだろうか

真空管アンプブランドは今でも新興ブランドが多く誕生してきており、注目株も徐々に生まれてきていることから、今後日本で取り扱われるブランドも出てくることだろう。

(後編へ続く)

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