4K UHD BD『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』、全編が見どころ・聴きどころ! 精緻を極める映画世界に酔いしれる
大橋伸太郎現行最高クオリティのパッケージメディア、4K Ultra HD Blu-ray。そのなかでも、ホームシアターのリファレンスにぴったりな「画と音」に優れた1本を、大橋伸太郎氏がピックアップしてご紹介する。今回は現在発売中の『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』。オーディオビジュアルファン必見の見どころ・聴きどころをチェックしよう!
『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』
最先端映像技術と俳優の身体性が融合した一大叙事詩
ジェームズ・キャメロンの当初の構想では『アバター』は3部作で構成され、第1部でアバター(分身)の姿で惑星パンドラに進出した地球人とナヴィ族の最初の抗争を描き、第2部はナヴィ族の一員となった元海兵隊員ジェイク・サリーと家族の物語である。第2部は前後編の2作で構成の予定だったが、製作を進めていくうちに構想がふくらみ、3作で構成されることになった。
前作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』、本作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』に加え、さらなる一作が2029年に公開予定である。いっぽう次に控える第3部は物語の新たな出発点となる。つまり『アバター』は全5部作構成で、惑星パンドラを舞台にした大河ドラマ、一大叙事詩なのである。
『アバター』は、CG&デジタルシネマの表現の可能性を最大限追求し、3Dムーブメントの中心となった。本作の視聴にあたり、第1作を見直したが、17年の映像技術の進歩は歴然たるもので、CGキャラクターのクローズアップでの顔立ちの立体感、表情の豊かさ、自然光(順光/シャドウ)の階調表現は第一作から長足の進歩を遂げている。
4Kビデオグラムとしての情報量、精細感、色彩表現も最高水準で3Dを前提にした映像設計もあり、2Dで視聴してもキャラクターが画面から浮き上がる自然な立体感がある。惑星パンドラの陸海空の事象のファンタスティックな描写も精緻を極め美しい。
「この惑星は奥が深い」と語るキャメロンの言葉通り、観る者みなが未経験の世界観を共有するというコンセプトは成功したといっていい。
しかし、その一方で第1作の映画としての面白さ、充実にあらためて気付かされる。それはひとえにシガニー・ウィーバー、ミシェル・ロドリゲス、サム・ワーシントンらが実写で登場するからなのだ。俳優の肉体と演技の感性がいかに豊かなものを映像にもたらすか、気付かされずにいられない。
本作ではシガニー・ウィーバーやケイト・ウィンスレットにスタジオで演技をさせ、パフォーマンスキャプチャーでCGキャラクターに置き換えている。「CGでの演技の後付けはしていない。役者の演技がつねに第一」「姿だけが大きく青くなった」とキャメロンは語るが、映像に登場するのはウィーバーやウィンスレットでなく、やはりCGキャラクターである。技術で創造できないものがあるのだ。
しかし、後戻りすることはできない。俊英キャメロンのことである。新たな出発点となる第5作で私たちへの回答を出してくることだろう。
夜のパンドラの美しさは映像の白眉。大迫力音声は視聴室を揺るがす
4K Ultra HD Blu-rayの画質音質クオリティは今期の最右翼、全編が見どころ、聴きどころである。
映像はDolby Vision採用。CH5ロアクとスパイダーがパヤカン(海棲動物)に乗るシーンの明部階調、海中描写の透明度の生む深い奥行き、CH6/7風の商人の飛行機の虹色の翼(↓の画像)の透明感は前半のポイント。
惑星パンドラの夜のシーンの美しさは『アバター』の映像の魅力。CH13密林の逃避行は、暗部階調が潰れないか、描画の濃やかなディテールが潰れないか、ディスプレイの試金石。CH26ルックのワンパターンでない豊かさは新境地。ヴァランの秘術が大佐の光の幻覚を生み、1960年代サイケデリック風映像は全編のアクセント。
音声Dolby Atmos。広大な空間の表出、アクション描写とも素晴しく、CH29密林の逃避行では矢が音場を飛び交い、CH32ロアク、パヤカンとシオンのバトルは音場の空気が変わる音の密度と浸透力がある。
CH37海洋生物学者ガーウィンの操縦する小山のようなブルドーザーが施設を蹂躙しロアクを助けるシーンは移動表現、LFEの重量感が圧巻で全編屈指の聴きどころ。CH39/40巨大なトゥルクン(鯨)が続々と海面に現われるシーンは量感豊かに音像がそそり立ち、重低音が視聴室を揺るがす。CH43トゥルクンの巨体が量感豊かにRDAの母船にのしかかり、破壊する全編のクライマックス。
3D映像(同梱BD)も視聴した。色彩バランスの変化が最小限でフリッカーがなくなめらかで自然な立体映像に3Dも進歩し続けていることを確認した。『アバター』とジェームズ・キャメロンの「リアルを求める旅」は続く…
SPEC
●製作:2025年/米 ●ジャンル:洋画SF ●監督:ジェームズ・キャメロン ●出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ ●本編ディスク:約197分、ビスタ、Dolby Vision ●本編音声:英語Dolby Atmos、英語DTS-HDマスターオーディオ2.0ch、英語ファミリー向けオーディオ・トラック、日本語Dolby Digital Plus 7.1ch、バリアフリー日本語音声ガイドDolby Digital2.0ch ●字幕:英語、日本語、日本語吹替用 ●特典ディスク:作品の舞台裏、ジョン・ランドーへ、RDAのオリエンテーション・ビデオ、予告編&ミュージックビデオ