スリムで便利なオンウォールスピーカー3機種を比較レビュー! DALI/KEF/MONITOR AUDIOの音質傾向を紹介
佐藤太郎オンウォールスピーカーは意外と便利? 3ブランドを比較試聴
スピーカーシリーズの中にはマルチチャンネルに展開するモデルがある。一般的なトールボーイやブックシェルフといったモデルから構成されていることがほとんどだが、中には壁掛け用のオンウォールスピーカーもラインナップするシリーズが存在する。
オンウォールスピーカーは薄型で場所を取らず、見た目もスッキリしおり、生活に溶け込ませやすい。背面にはフックを引っかける穴があり、壁掛けできるのが特徴だ。一般的なハイトやサラウンドの利用はもちろん、壁掛けテレビと組み合わせれば、床に機器を置かないスタイリッシュな2chシアターを構築することもできる。
本稿では、KEF、DALI、MONITOR AUDIOという3ブランドのオンウォールスピーカーを用意して、それぞれのモデルをハイトスピーカー用途と2chテレビシアター用途の2パターンで音質のチェックを行った。
KEF「Q4 Meta」
KEF「Q4 Meta」は、同社エントリーライン“Qシリーズ”の第9世代モデル。「MAT(Metamaterial Absorption Technology)」といったプレミアムラインの技術を継承し、12世代目のUni-Qドライバーを搭載している。
「Q4 Meta」は2ウェイのオンウォールスピーカーである。ブックシェルフよりも奥行きはないが、MAT搭載25mmアルミ・ドーム・トゥイーター+130mmアルミ・ドーム・ミッドウーファーによるUni-Qドライバーで、通常のスピーカーと遜色ないパワーがある。バスレフポートはエンクロージャーの右側面にあり、壁によってポートを塞ぐ恐れはないが、横壁や壁掛け時計などの物体には気を付ける必要がある。
<ハイトスピーカー> 解像感が高く、映画の雰囲気をニュートラルに再現する
まずは、ハイトスピーカーとして使った際の音質から見ていこう。『トップガン マーヴェリック』では、CH2の戦闘機がテイクオフするシーンで、放つアフターバーナーの天井方向への移動感が巧みで、バランスもよく、音の広がりが良い。
CH5、格納庫でベイツ少将が訓練生にマーヴェリックを紹介するシーンでは、ベイツ少佐の声が優れた精細感をもって響く。日中の乾いた空気とも相まってリアルな緊張感が味わえる。
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』では、CH6の海に近い街での戦闘シーン、街の自然音と銃撃音や足音などの細かい音をしっかりと拾い上げてくれるので解像力の高さを感じた。特に自然音との相性は良い。
CH27のアークエンジェル級強襲機動特装艦の上をローラシア級MS搭載艦が横切るシーンでは、その横切る際の音がやや静かで若干物足りなさを感じるが、ニュートラルな良さがあるとも言えるクオリティである。
<2ch+テレビ> セリフとBGMの切り分けや抜け感が見事。音楽は丁寧な再生
次に2chテレビシアターを見ていこう。アニメ「ぐらんぶる」Season 3より第3話「パスポート奪還作成」20:20〜カリーナと結婚報告するシーンでは、セリフが明瞭で聞きやすく繊細で美しい。ダイナミクスやフォーカス感も優れており、セリフとBGMの切り分けや抜け感も満足する。このドライバーユニットはセリフと相性が良い。
そして音楽は、YoutubeでAdoの「うっせぇわ THE FIRST TAKE」を再生。ボーカルの定位が良く自然な音色で耳元まで届けてくれる。ハイト用途で使用したときに感じていた繊細で爽やかさもあり、見通しも良いのでボーカルだけではなくバックバンドを含めた音の全体バランスまで伺える。音ひとつひとつをしっかり丁寧に鳴らしてくれるので長時間でも聴き疲れしにくい。
DALI「SONIK ON-WALL」
DALIの “SONIKシリーズ”は従来の“OBERONシリーズ”を置き換えるかたちで登場したエントリーラインのスピーカーである。フラッグシップ「KORE」の開発を通して培われた、音響工学技術および設計思想を継承している。特許技術「SMCマグネット・システム」や、「Clarity Cone(クラリティ・コーン)ドライバー」を搭載している。
「SONIK ON-WALL」は2ウェイのオンウォールスピーカーであり、29mmソフトドーム ・トゥイーターと130mm SMCウッドファイバーClarity Coneドライバーを搭載している。エンクロージャーはスリムでバスレフポートもないため設置に困らないのが良い。
<ハイトスピーカー> ナチュラルな響きで映画の芸術性も伝わる
『トップガン マーヴェリック』では、CH2の戦闘機がテイクオフするシーンで放つアフターバーナーの威力が太く、地上から天井に向けて音が過剰に追加されることなくナチュラルに広がってくれる。
CH5のベイツ少将のセリフは、声に程よい解像力と重心の低さが加わって、キャラの野性的な性格まで再現されるようなサウンドを感じた。芸術性に優れているといっても良い。
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』、CH6の海に近い街での戦闘シーンでは、街の自然音と銃撃音や足音などの細かい音が肉厚で芯があり、例えるなら「カツカツ」というよりも「コツコツ」という響き方をしてくれる。
CH27のアークエンジェル級強襲機動特装艦の上をローラシア級MS搭載艦が横切るシーンではスケール感があり、重厚的なサウンドを演出しながら横切っていく。
<2ch+テレビ> あたたかさのあるセリフ再生。音楽は上品に鳴らす
次に2chテレビシアターを見ていこう。アニメ『ぐらんぶる』では、セリフは程よく明瞭で、アナログサウンドを彷彿とさせるあたたかな鳴り方をしてくれるので心地よい。本機のサイズでは難しいであろう低域の要素もしっかり出てくれるので、十分楽しめる。
Adoの「うっせぇわ THE FIRST TAKE」で音楽再生を確認。ボーカルの低域から高域にかけて豊かで太く艶やかで上品さが伺える。フォーカスや繊細感はあるので、バックバンドの細かな動きや音色という部分も聞こえるが、彫りが深いという訳ではないので、好みが分かれる所ではある。ただし、音楽との相性の良さは「さすが」というべきところ。
MONITOR AUDIO「Bronze On-Wall-7G」
「Bronze Series 7G」は、MONITOR AUDIO(モニターオーディオ)のエントリークラス・スピーカーシリーズの第6世代。上位モデル譲りのテクノロジーを投入しており、すべてのユニットにアルミニウム・マグネシウム(C-CAM)ドライバーを採用。そのほかトゥイーターの、新世代「UD(Uniform Dispersion)ウェーブガイド II」によるタイムアライメント向上技術も特徴。
「Bronze On-Wall-7G」は2ウェイのオンウォールスピーカーであり、25.4mm C-CAMゴールドドームトゥイーターと、152.4mm C-CAMバスミッドドライバーを搭載。バスレフポートは底面にある。
<ハイトスピーカー> 映画の迫力は随一。野太いパワフルなサウンドが魅力
『トップガン マーヴェリック』は、CH2戦闘機がテイクオフするシーンで放つアフターバーナーは、荒々しいほどに図太く、地上から天井に向けてアグレッシブに鳴り、音の質感をパワーで引き上げていくように広がってくれる。
CH5、ベイツ少将のセリフに力強い解像力と重心とキレが加わって、役者の声が持つエネルギーが存分に発揮され、躍動感がある。サウンドの骨格の彫りが深い。
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の戦闘シーンは、細かい部分の音を耳元までダイレクトに音をビームのように届けてくれるので作品を見ていて満足感が非常に高い。
そしてローラシア級MS搭載艦が横切るシーンでは艦の存在感が凄まじく、風圧や重力を感じるほどの大迫力だ。
<2ch+テレビ> セリフに表現力に優れる。音楽はオンウォールとは思えない迫力
次に2chテレビシアターを見ていこう。アニメ『ぐらんぶる』は、セリフは明瞭であるとともに、柔らかい部分と硬い部分の両方を感じるところから、表現力の高さが窺える。セリフとBGMが盛り上がる場面でも力強さを発揮し、興奮度が高い。
Adoの「うっせぇわ THE FIRST TAKE」を視聴。これまで感じていたパワフルサウンドはここでも健在。ボーカルの力強さがよく表現されている。凄みの効いた低音の響きは馬力があり、高域も伸びも良い。程よい解像力とフォーカス感もおおむね良く、オンウォールとは思えないクオリティを発揮する。
三者三様のサウンドでどれも十分なクオリティ。好みとサイズで選ぼう!
3機種を聴き比べてみて、KEFは定位が良く爽やかで抜け感が良く軽快なサウンド、DALIは音が太く艶やかで豊かなアナログサウンド、Monitor Audioはバイタリティにあふれる馬力や表現を押し出していくパワフルサウンドというキャラクターであった。
Dolby Atmosの再生においては、広い空間表現を最も感じられたのはKEF、質感表現に優れるのはDALI、力強いサウンドによって興奮度が高いのはMONITOR AUDIOといった印象。
『トップガン マーヴェリック』のような迫力重視の作品は MONITOR AUDIO、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』のようなセリフに重点のある作品はKEFが相性良いと感じ、DALIはどちらもそつなくこなす万能的な存在であった。
アニメは、温もりのある雰囲気で楽しめるのはDALI、パワフルなサウンドで没入したいのならば MONITOR AUDIO、KEFは精細感が高く、モニター的に楽しめる。
音楽の再生は、オーディオ性が高いのはDALI、熱量のあるサウンドを楽しめるのは MONITOR AUDIO、KEFはモニター的なバランスの良さがある。
いずれも充分なサウンドクオリティ。あとは好みとサイズで選んでよいだろう。今回の取材を通して、筆者はDolby Atmosの再生においてはDALI、アニメや音楽再生にはKEFが好みであった。ぜひ参考にしてみてほしい。
SPEC
KEF「Q4 Meta」
●型式:2ウェイ・バスレフ型 ●ユニット:Uni-Q(MAT搭載25mmベンテッド・アルミニウム・ドーム・トゥイーター+30mmアルミニウム・コーン・ミッドレンジ) ●周波数帯域:52Hz - 20kHz(-6dB) ●クロスオーバー周波数:1.8kHz ●インピーダンス:4Ω ●感度:86dB(2.83V/1M) ●外形寸法:250W×400H×142Dmm ●質量:5.7kg ●カラー:ブラックグロス/ホワイトグロス/ウォールナット
DALI「SONIK ON-WALL」
●型式:2ウェイ・バスレフ型 ●ユニット:2ウェイ ●ユニット:29mm LowLossソフトドーム・トゥイーター×1、130mm SMCウッドファイバーClarity Coneドライバー×1 ●周波数帯域:55Hz - 26kHz ●クロスオーバー周波数:2.4kHz ●インピーダンス:6Ω ●感度:87dB ●外形寸法:245W×385H×121Dmm ●質量:4.9kg ●カラー:ブラック・アッシュ/ナチュラル・オーク/ウォルナット/ホワイト
MONITOR AUDIO「Bronze On-Wall-7G」
●型式:2ウェイ・バスレフ型 ●ユニット:25mm C-CAMゴールドドームトゥイーター×1、152.4mm C-CAMバスミッドドライバー×1 ●周波数帯域:42Hz - 30kHz ●クロスオーバー周波数:3.0kHz ●インピーダンス:8Ω ●感度:88dB ●外形寸法:300W×465H×135Dmm ●質量:7.0kg ●カラー:Walnut/Black/White