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公開日 2026/08/18 06:30
NCF(ナノクリスタルフォーミュラ)の制振、静電効果

システム全体のグレードを底上げする。フルテックの電源ボックス&インラインフィルターの効果検証

井上千岳

NCFを活用した電源関連アクセサリーで話題をさらうFURUTECH(フルテック)。特にいま注目が高いのが、電源ボックス「e-TP609 NCF-N1」と、電源ケーブルと機器の間に挿入するインラインフィルターの最上位モデル「Flux-C15 NCF Filter」である。それぞれの魅力と、組み合わせた場合のさらなる音質変化を、井上千岳氏がレポートする。



FURUTECH 電源ボックス「e-TP609 NCF-N1」(価格:248,600円/税込)、インライン・パワー・フィルター「Flux-C15 NCF Filter」(価格:138,600円/税込) 


インライン・フィルター -静かで透明な空間が現われる


フルテックの電源関連製品を2機種紹介したい。ひとつはインライン・パワーフィルター、もうひとつは電源タップである。


「Flux-C15 NCF Filter」はフルテックが力を入れてきた内蔵型フィルターの最新モデルで、電源ケーブルと機器本体や電源タップの間に接続する。


内部に直列コイルとコンデンサーによるフィルター回路が収納され、電源ラインからのノイズを除去する。コモンモードとノーマルモードの双方に有効で、また電磁波吸収体GC-303も内蔵している。


電極部はロジウムメッキの純銅製。内部配線はα-OCCとし、そしてインレットプラグには同社最高級のCF-C15 NCF(R)を採用している。


ステンレス合金のハウジングに制振性を持つ特殊樹脂を備え、独自の静電防止素材NCFが強力な効果を発揮する構造。その他シールドはα導体編組、シースはカーボンパウダー配合PVCなどによる2層構成である。


まず本機単体を電源ボックスに接続してみると、背景がすっと静かになったのを感じる。空間が透明でざわつきがない。音調にひっそりした感じがあるのは、音に絡んでいたノイズが洗い落とされてしまったからだ。


バロック・ヴァイオリンやチェロの質感がすっきりと引き締まり、瑞々しさがいっそう引き立つ。空間にしみ込むような響きが、しっとり潤って心地好い。


ピアノはそれがさらに顕著で、一種のやかましさが消えて当たりが柔らかく、タッチのニュアンスがきめ細かく変化する。その動きが柔軟で緻密だ。


オーケストラも楽器それぞれの音が柔和な弾力を持ち、フォルテでも棘がない。休止時の静寂感にとりわけ違いを感じる。


電源ボックス -清廉な質感と静かな背景


電源ボックスは昨年のオーディオアクセサリー銘機賞を受賞した「e-TP609 NCF-N1」。受注生産機「NCF Power Vault」を別にすれば、現在の最上位機である。


筐体はアルミブロック削り出し。本体とカバーに非共鳴コーティングを施し、底部に電磁波吸収体GC-303を装着する。


インレットはFI-09 NCF(R)とし、コンセントは2口タイプのGTX-D NCF(R)。純銅ブレードに非磁性ステンレス鋼スプリングを組み合わせた米国特許取得済みの製品で、これを3個装備し、インレットから別々に配線している。


シャーシ内部はこのコンセントを取り付けたゾーンともうひとつのゾーンに分離し、遮音性とノイズの抑制を高めている。また随所に静電防止素材NCFを使用し、ノイズ排除に万全の態勢を整えた設計である。


本機はフィルターを内蔵していないが、不思議に先のインライン・フィルターに似た音質を感じる。汚れの落ちた清廉な質感と静かな背景が、ノイズ排除の効果を確実に示すのである。


しかし本機の特徴はそれだけではない。なによりも鮮度が高く、音調が溌剌としている。バロックでは古楽器の音色が艶やかさを増して切れがよく、細かな起伏に富んでニュアンスが濃厚だ。チェロやチェンバロなど楽器どうしがくっきりと分離され、アンサンブルが奥行の深い音場にきれいに浮かび上がる。


ピアノはタッチの当たりが強まり、響きが豊かになって色彩感が非常に鮮やかだ。ここでも強弱の幅が広く、ダイナミズムに富んだ表現が雄弁である。


オーケストラも音数が増して、表情の変化がずっとしっかり感じられる。陰影が深く、実体感が高まった印象である。


組み合わせでさらに強力な効果を発揮


ではここで先ほどのインライン・フィルターを挿入してみる。相乗効果があるのは当然だが、これは予想以上に強力だ。ノイズ除去とエネルギーの双方が利いて、音場全体が生きて動く感覚である。バロックは楽器それぞれが実在感を持ち、生命力に溢れている。ピアノも同様に空間の中に存在している感触が、まるでライブのように生々しい。


そしてオーケストラは奥行の深さがリアルに感じられ、ダイナミズムに富んで隅々まで緻密に彫り込まれている。静寂なうえに信号が精密なのである。


システムが一気に2つか3つ、グレードを上げた印象が忘れ難い。


(提供:フルテック)




本記事は『季刊・アナログ vol.92』からの転載です

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