THORENS「TD124DD Ex」やTAKTのアクセサリーも注目!シマムセンの真空管アンプ&アナログ試聴会レポート
筑井真奈大阪・日本橋の老舗オーディオショップ シマムセンにて、5月の第4週、第5週の週末4日間にわたり「真空管アンプ・アナログ試聴会」が開催された。前半の24日(日)に取材させてもらったので、気になる製品を中心にレポートしよう。
第1週目には14社が集結、「Hi-end Audio Room」と「Event Room」の2ルームに分かれて45分ごとのデモンストレーションが行われた。EMTとのコラボでも話題のトーレンスのアナログプレーヤーから、10年以上のロングセラーとなっている真空管アンプまで、多くの製品が登場し来場者の耳を潤していた。
Hi-end Audio Roomのトップバッターは国産真空管ブランドのエアータイト、Sonus Faberの「Amati G5」をメインスピーカーに、モノラルアンプ「ATM-2211J」と、ステレオアンプの「ATM-2 Plus」をさまざまに鳴らし分けしていた。
「ATM-2 Plusは“KT-88”という、ギターアンプにも使われる真空管を使って、エアータイトならではのこだわりを投入しています」と社長の三浦さん。三浦さん自身も愛聴するTOTOの『ハイドラ』や、ディープ・パープルの「ハイウェイスター」など、バリバリのロックサウンドを爆音でかき鳴らす。炸裂のギター、乱舞のキーボード、腹に迫るドラムに開始早々ノックアウト!
Event Roomのトップバッターはフューレンコーディネートが担当。OCTAVEのプリ「HP300SE」、パワー「RE320」は、いずれも10年以上も発売され続けているロングセラーモデル。長く愛用できることも真空管アンプならではの楽しみで、PIEGAのブックシェルフスピーカーを組み合わせ、石川さゆりやアラン・パーソンズなどを情感豊かに再生する。
ソウルノートは光カートリッジにも対応するフォノイコライザー「E-3」を中心に紹介。スピーカーにはALBEDOの「Achema」を組み合わせる。エヴァ・キャシディは、製品開発や評価にも活用している開発の加藤秀樹さんにとって大切なアルバム。「これで泣けなきゃダメなんです!」と、まさに音楽家の魂を抉り出すサウンドを聴かせてくれた。プリンスのデモテープ音源ではヒスノイズの存在を忘れるほどの濃密な時間が流れる。
ウエスギの時間では、昨年登場したパワーアンプ「U・BROS-120RX」をメインに紹介。OTL(アウトプットトランスレス)に、サークロトロン回路を搭載と唯一無二のサウンドを追求している。2011年からブランドを引き継いだ藤原さんは、「OTL方式には、現代のトランジスタにも、通常の真空管アンプにもない素晴らしい音がします」と熱弁を振るう。
またウエスギが目指す音として「写実性」があるとしながらも、その上で「芸術性」も高めたいと訴える。プリアンプは「U・BROS-280R」、メンデルスゾーンでは強靭な立体造形を思わせるサウンドにしばし耽溺。
タクトシュトックの時間では、新たに取り扱いを開始した韓国のアクセサリーブランドTAKTを初紹介。YouTubeなどではすでに紹介されており、シマムセンスタッフも大注目のアクセサリーだという。
スピーカーの上に設置する「Dice Cube」や、横に設置する「Cubit」の有り無しデモを実施。Cubitはヒートシンクのような形状をした縦長アイテムで、TMD(チューンドマスダンパー)と呼ばれる免震技術が採用されているという。EPOSの横に設置すると、声の定位感が俄然良くなるから不思議!
アーク・ジョイアの時間ではFranco Serblinの「Ktema」とBurmester「218」の組み合わせ。“普遍”を意味するというKtemaも、17年もの間販売され続けている現代の銘スピーカーのひとつ。リンダ・ロンシュタットの「星に願いを」の伸びやかさ、耳が蕩けるような甘やかさにくすぐられる。「モニタースピーカーではない、音楽をもっと聴いていたい、と没入させてくれるスピーカーです」と牧野社長も強く訴える。
またBassocontinuoのインシュレーター「ULTRA FEET」も、シマムセン注目アクセサリーだそう。アナログ用や小型機器用などサイズ違いでラインナップされており、今回もBurmesterのアンプの下などに設置。「特に抜けの良さに効果があります!」とプッシュする。
PDNの時間では、THORENSのアナログプレーヤー「TD124DD Exclusive」が本邦初公開!(その後「アナログオーディオフェア」でも公開されている)。「TD124DD」をベースに、高級感のあるゴールドとブラウンの仕上げとなっている。ロングアームを搭載し、アームの内部配線も銀線というこだわりの仕様で、カートリッジもEMTとの共同開発による特別モデル。
スピーカーはトリプルウーファー搭載のPARADIGM「Person 5F」を使用。アンセルメの「ロイヤル・バレエ・ガレ」の滑らかで、かつ骨格感がありながらも広い空間表現力には思わず聴き惚れてしまう。ダイレクトドライブ機のS/Nの良さにも改めて感動。
がつんと前に出てくるオーロラサウンドは、今回とても印象的だった音のひとつ。代表の唐木さんは、フォノイコライザー「VIDA Mk2」について、「世界的にもLCR型を採用するフォノイコも多くありません。トランスメーカーのルンダール社に直談判して、専用のトランスを作ってもらいました」とこだわりっぷりを語る。
ヴィオラ・ダ・ガンバ、五輪真弓の「恋人よ」、イーグルスの「Get Over It」など、泣けるメロディを次々に送り出してくるオーロラサウンド。唐木さんは、何千倍もの増幅を行うフォノイコのS/Nの重要性について改めて強調し、「電源を分ける、デジタル機器とは離して設置する」など、使いこなしのアドバイスも説明してくれた。
フェーズメーションはプリメインアンプ「SA-1500」をパワーアンプとして活用し、パッシブアッテネーター「CM-1500」を組み合わせ。「ハイスピードさとピュアさを活かした、現代ならではの真空管アンプを作りたい」という開発者の熱い思いを解説する。
アナログリラックスは、同社のMCカートリッジ「EX2000」「EX1000」「EX700」の貴重な聴き比べを実施。3モデル中、真ん中のクラスとなる「EX1000」のみ屋久杉をボディに採用、ルビーのカンチレバーとなっており、独特の声の温かさや膨らみに心を揺り動かされる。
輸入商社のDIVINEは、“職人集団”MoFi ElectronicsのアナログプレーヤーやPILIUMの大型パワーアンプを中心に紹介。DSオーディオは光カートリッジに加えて、偏心検出スタビライザー「ES-002 Core」の前後比較なども実施した。
Event Roomの最後はデノンのアナログプレーヤーの時間。Bowers & Wilkinsの「805 D4 Signature」をメインに、最新のアナログプレーヤー「DP-500BT」のカートリッジ交換など、レコード再生の魅力を深掘りする。
またトップラインの「DP-3000NE」の腰の座ったずっしりとした低域表現は、やはり良質なアナログプレーヤーならでは。エマーソン・レイク&パーマーの「展覧会の絵」では、おどろおどろしい世界観をステージいっぱいに描き出す。また、日本コロムビアが制作したインバル・マーラー5番の「ラッカー盤」も特別に再生。トランペットの豪快さ、深く沈みゆくベースの低域など、音の深淵をたっぷり味わわせてくれた。
丸一日アナログ&真空管アンプ再生にどっぷり浸かると、ブランドの目指す音の方向性、音楽と向き合うスタイルがさまざまに異なることも見えてくる。さまざまな音に触れることは、自分が好きな音、作り出したい世界観をより深める大きなきっかけとなる。
イベント担当のシマムセン・塩見さんは、「本日気になった製品がありましたら、ぜひスタッフまでお声掛けください」と呼びかけ、熱いイベントを締めくくった。