【インタビュー】Shokz「OpenFit Pro」が切り開くオープンイヤーの新境地。騒がしくても集中できる「フォーカスモード」
編集部:竹内 純VGP2026 SUMMER受賞インタビュー Shokz Japan
VGP2026 SUMMERで“今期を代表するモデル”と高い評価を得て、満場一致で「ライフスタイル大賞」に選出されたShokz「OpenFit Pro」。イヤホンの世界に“ながら聴き”の文化を根付かせたShokzが、さらに一歩先のステージを切り開く新技術「フォーカスモード」を搭載し、大きな話題を集めている。オープンイヤーをもっと身近な存在へ。その牽引役として期待が寄せられるShokz Japan冨田健斗CMOに話を聞く。
Shokz Japan株式会社
CMO(Chief Marketing Officer)
冨田健斗氏
プロフィール/1977年、神奈川県生まれ。2020年 株式会社ベクトルへ入社、同年、株式会社アンティルへ出向し、コミュニケーションプランナーとして、マーケティング、PR、クリエイティブ領域の企画・制作に携わる。2025年 Shokz Japan株式会社へ入社。現在はCMOとして、日本市場におけるブランド戦略をはじめ、マーケティング、クリエイティブ、PR活動を統括している。座右の銘は「自分の行いは、必ず自分に返ってくる」。
確かな自信を胸に日本市場へ挑んだ「OpenFit Pro」
―― VGP2026 SUMMERにおきまして、周囲のノイズを低減する「フォーカスモード」を搭載した革新的なオープンイヤー型イヤホンとして、 Shokz「OpenFit Pro」がライフスタイル大賞を受賞されました。 おめでとうございます。“ながら聴き”が大きく躍進するイヤホン・ヘッドホンですが、今の市場をどのように分析されていらっしゃいますか。
冨田 耳掛け型のイヤホン市場は非常に大きく成長しています。2025年1月から11月までのデータで、売上金額・販売台数ともに前年同期を上回り、Shokzではさらにそれを超えるペースで売上金額が伸長しています。
ただ、価格帯別に細かく見ていくと、まだ十分に開拓されていない領域も見受けられます。それが2万5千円以上の価格帯です。Shokzではこの価格帯のラインナップも充実していますが、耳掛け型イヤホン全体では現在、1万円台の商品が中心になっています。
イヤホン市場全体では、3万円以上の商品が実に約30%を占めており、価格が少々高くても、機能や品質に納得した“欲しい”と思う商品であれば出費を惜しみません。そこで我々が着目しているのは、現在、1万円台の商品が中心となっている耳掛け型においても、3万円以上の価格帯の需要をもっと顕在化していけるはずだということ。
―― 一言に“ながら聴き”が伸びていると言っても一様ではないわけですね。
冨田 それではなぜ、高価格帯が伸びていないのか。その背景として、オープンイヤー型のスタイルがイヤホンではまだ新しいため、高価なものに手が出しづらい面は否定できないと思います。そこへ、「Shokzなら安心」という価値を率先して創造していくために、高価格帯のブルーオーシャンに満を持して投入したのが「OpenFit Pro」になります。
―― 現在は高い評価を集め、販売も大変好調な「OpenFit Pro」ですが、市場投入前の自信のほどはいかがだったのでしょうか。日本では長引く物価高で節約志向も高まり、消費行動にも影響が出ています。
冨田 製品そのものの価値には大きな自信を持っていました。一方で、物価高を背景にお客様の消費行動が慎重になるなか、その価値を実際にどこまで感じていただけるかについては、期待と緊張の両方がありました。
そうしたなか、日本に先駆けて発売された欧州市場で高い評価をいただけたことは、私たちの自信をさらに後押ししてくれました。
オープンイヤーという新しい市場の商品に約4万円という単価が日本市場でどのように受け入れていただけるのか、大きなチャレンジでした。日本でも「OpenFit Pro」がこんなにもヒットして、こうしたアワードまでいただくことができ、携わった関係者の皆様に本当に感謝しています。
ノイキャンが使えない課題を解消するフォーカスモードが高評価
―― オープンイヤー市場の高額ゾーンに風穴を空けた「OpenFit Pro」。Shokzでは一貫して「音楽を楽しみながら周囲の音も自然に聴くことができる新しいリスニング体験」を訴えられています。今回「フォーカスモード」など新たな機能も提案されています。改めて本モデルが多くのお客様から支持を得たセールスポイントについてお聞かせください。
冨田 「OpenFit Pro」は大きく3つのセールスポイントを備えています。まず、1つめが今話に上がった「フォーカスモード」。こちらが最大の特長となります。
今までの耳掛け型イヤホンでは、電車やカフェでも集中してコンテンツを見たいといったケースで、「どうしても雑音が気になる」という声が数多く寄せられていました。オープンイヤーのこの大きな課題に対し、深センにある本社の開発チームが徹底した分析・検証を繰り返して作り上げたのが「フォーカスモード」です。
オープンイヤーという開放的なものでありながら、周りの雑音や環境音を和らげることができる、ノイズキャンセリングのように外部の音を遮断するのではなく、“抑える”機能となります。
少し特殊な技術を使っており、感じ方に個人差があるため、専用アプリで強度を調整できる設計になっています。Shokzの一番の持ち味である開放感や快適さを損なうことなく、ノイズを抑えることを実現しました。
ノイズキャンセリングではなく、あくまでノイズを抑える機能ですから、「フォーカスモード」というネーミングにも、ノイキャンと差別化し、フォーカスすることでノイズを“抑えられる”“低減できる”ことをイメージしやすくする効果も表れています。
セールスポイントの2つめは「音質」です。最新のShokz SuperBoostや超大型デュアルダイアフラムドライバーを搭載し、従来のオープンイヤー型イヤホンより数段階レベルアップしたサウンドをお届けすることができます。低音から高音まで歪みのない音質をきちんと提供できるところがポイントです。
そして最後の3つめが、1日を通して使える安心設計です。単体で最大約12時間、充電ケースを併用すれば約50時間の使用が可能で、さらに、人間工学に基づく設計のイヤーフックで、長時間着けていても快適に使い続けることができます。「快適さ」「フィット感」「充電の持ち」の総合力で、1日中でも使いやすい、これ1台で完結するモデルを作り上げました。
―― 2026年4月の発売からここまで、ユーザーや最前線で販売されている販売員の方からの評価・反響はいかがでしょう。
冨田 想定していた期待以上の反応でした。多くの方にこの商品の音質や機能を体験していただき、認めていただくことができ、ほっとしています。
調査を行っているユーザーレビューの現時点での評価は、星5つの5点満点で平均4.67点と高く、星4つ以上が94%を占めています。評価が特に高い項目は「音質」、さらに、開放的で長時間にわたり使える点やフォーカスモードも高い評価をいただいています。
各家電量販店でも販売は大変好調です。「オープンイヤーだとノイキャンが使えない」という課題に応えたフォーカスモードは、専用の展示・試聴ディスプレイに設けた「フォーカスモード」のボタンひとつで、賑やかな店内で一目瞭然に違いを確認することができ、「素晴らしい」「大変便利」といった声を数多くいただいています。
アンバサダー・サカナクション山口一郎さんの言葉が届ける意味
―― お客様が実際に商品に触れ、試すことができる場は重要となりますが、イベントや店頭施策の取り組みについてお聞かせください。
冨田 オープンイヤーという形状がゆえに、「音質が悪い」「音漏れする」といったイメージがどうしても拭えないという課題があります。時間を経て、徐々に浸透していくことで理解は深まっていくとは考えていますが、「音漏れ」については少しでも不安を解消することができるように、いろいろ工夫を凝らしていきたいと思います。
一方、「音質」は人によって感じ方はそれこそ千差万別ですから、ここは、「音質がいい」ということと、「聞こえやすい」「聞きやすい」ということが全然違う評価軸であることを理解していただく取り組みにさらに力を入れていきます。そのひとつの施策として、今年2月からサカナクションの山口一郎さんを新たなアンバサダーに起用し、彼の言葉を通してShokzの音質の素晴らしさを伝えていく取り組みをスタートしました。
4月6日に開催した「OpenFit Pro」新商品発表会にも登場いただき、Shokzを日常使いしている山口さんの言葉で、音質をはじめとする魅力をアーティスト目線で語ってもらいました。皆さんが求めていた重要なメッセージで、ユーザーの懸念や不安を少しでも取り除けたらと、ホームページや家電量販店の売り場からも発信させていただいています。
―― 店頭ではさきほども話に出た専用の展示ディスプレイで気軽に体験することができるのは大変便利ですね。
冨田 オープンイヤー型イヤホンはインイヤー型と違い、やはり耳を塞がないところが最大の特長です。使ったことがない人はやはり不安がありますから、当たり前の話かもしれませんが、実際に試していただくことが一番だと思います。
試してもらえれば、そのよさをわかっていただける自信があります。実際に家電量販店でポップアップイベントなどを開催すると、より多くのお客様に実際に試していただくことができ、販売も大きく伸長する傾向が見受けられます。
Shokzの製品を皆さんにもっと手軽に手にしていただけるように、9月16日に“Airシリーズ”新製品2モデル「OpenFit Air 2」「OpenRun Air 2」を発売しました。より幅広い方に手に取っていただきやすいエントリーモデルで、新しいShokzファンをさらに増やしていきたいですね。
オープンイヤーは“日常使い”であらゆるシーンへ
―― オープンイヤーのさらなる普及へ向け、現在、大迫傑さんとサカナクション山口一郎さんの2人をアンバサダーに起用され、“スポーツ”と“音楽”の両面からアプローチされていらっしゃいます。
冨田 スポーツと音楽については、例えば「骨伝導と言えばShokz」、スポーツでも特に「ランニングと言えばShokz」というイメージが定着し、オープンイヤーのなかでも「音質と言えばShokz」という認識が着実に浸透しつつあります。
今後、イヤホンがライフスタイルのどんなシーンにも“日常使い”できるものであるとの認識をもっと深めていきたい。コンテンツの使い方も非常に幅広くなり、イヤホンの使用用途もより細分化されていくはずです。そこでの可能性を見据え、よりわかりやすいメッセージを発信できる取り組みにさらに力を入れて参ります。
―― 使用用途のさらなる細分化では、どのようなイメージが浮かんでいますか。
冨田 単純に新しいところへ手を伸ばすのではなく、コミュニティと一緒になって創り上げていくイメージです。ブランドとして「社会性」を強く意識しており、社会から求められるブランドであることが理想となります。
昔は音楽を聴く時に装着するものでしたが、今は音楽だけでなく、YouTubeをはじめとする動画にポッドキャスト、オンラインの音声コンテンツなどいろいろなシーンで使われています。生活のなかでデジタル化がどんどん進めば、その役割はもっと変わっていくはずです。
例えば、イベントを担うスタッフや駅員さんのように、周囲の状況を把握しながら音声情報を受け取る必要がある業務など、オープンイヤー型イヤホンが役立つ場面は今後さらに広がっていくと考えています。
耳から情報を取り入れられるイヤホンが非常に大きな役割を担うようになります。なかでもオープンイヤーは非常に可能性が大きく、成長の余地があるカテゴリーとなります。もはや特定の場面に限らず、いろいろなシーンに活躍の場が広がっていく。弊社でも「ウェアラブルデバイス」と称しています。
オープンイヤーへの認知は着実に高まりつつありますが、「知ってはいるけど、まだ試したことがない」という人が非常に多い。次のチャレンジはそこへの接触を増やしていくこと。認知の段階をもっと広く、厚くしていくことです。
これまでスポーツや音楽で認知を広げてきましたが、より幅広いジャンルへ、スポットではなく面で認知を高めるフェーズに入ります。それぞれのアンバサダーの強みを活かし、さまざまなコミュニティに対して適切な情報を発信していく。これから登場する新しい技術を搭載した商品を、どのような人に届ければ社会がもっとよくなるのかを意識しながらコミュニケーションをとっていきたいと思います。
―― 大きな可能性を秘めたオープンイヤーのさらなる躍進へ向けて、市場創造への意気込みをお願いします。
冨田 オープンイヤーを一時的なトレンドではなく、いろいろなシーンで誰もが当たり前に選べるものなることを目指しています。耳を開放的に使いたい方、耳を開けている状態がすごく好きな方、また、こういった形状が好みだという方にきちんとメッセージをお届けするのはもちろん、イヤホンにはもっといろいろな用途があるはずです。
そこで大事になるのが先ほどもお話ししたコミュニケーションです。いろいろなコミュニティの人と組むことで、今まで気づかなかった「こんな使い方がある」という例がもっとたくさん出てくると思います。例えば歌舞伎や博物館で「日本の文化を守っていく」という切り口からの提案もできるのではないかと考えています。
Shokz本社で使っているものすごく好きな言葉があります。「Shokz will be the future of audio」。Shokzが未来のオーディオになる。もっといろんな方にShokzを知っていただき、イヤホンを選ぶときに「オープンイヤーならShokzを選ぼう」と思っていただけるような世界観を実現していきます。
- トピック
- S21 クローズアップインタビュー
- SHOKZ